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「またガソリンスタンドがセルフになってしまった。周りはセルフスタンドだらけで障害者ドライバーの私は使えない。お陰で2つ市を超えて給油。セルフスタンド作るとき、使えない人用のレーン作って欲しい。もしくはヘルプボタン押したら手伝って」

これはツイッターユーザーのおそら。(@osora322)さんが、2018年11月20日に投稿した内容だ。27日時点で4万件以上のリツイートを獲得し、話題となっている。セルフ式ガソリンスタンドは1998年に解禁されて以降、増加の一途をたどるが、障害を持つドライバーにとっては必ずしも使い勝手が良いとは限らないようだ。

「声をかけるのも結構勇気がいります」

J-CASTニュースは2018年11月22日、おそら。さんを取材した。

おそら。さんは交通事故によって脳脊髄液減少症、線維筋痛症と胸郭出口症候群を患い、現在はソーシャルワーカーとして働いている。腕が90度までしか上がらず、握力は1桁台(2〜3キロ)、左下肢は麻痺があるという。平坦な場所であれば、装具と杖を用いて短い距離を歩くことができる。

おそら。さんはセルフ式スタンドについて、

「10年程前から使いづらくなり、次第に古スタンド(編注:フルサービスのガソリンスタンドの意)しか使わなくなりました。もしくは人を連れてセルフスタンドで手伝ってもらっていました。特に困るようになったのはここ3〜4年です。古スタンドが廃業したり、セルフスタンドに変わり始めてから困るようになりました。開店当初は外にスタッフがいても、時間が経過して、特に仕事帰りの夕方になると人が外に出ておらず頼むことすら難しくなりました」

と話す。おそら。さんは以前、セルフ式ガソリンスタンドでスタッフに頼んだところ「ここはセルフなんですよ」と言われたことがあり、「声をかけるのも結構勇気がいります」とのことだった。

「フルサービス希望のレーンを作ってサービス料を取るなど対応してくれると嬉しいなと思います」
「頂いたご意見の中に『携帯電話でコールできる番号を表示してある』という物がありました。それもいい意見だなと思います。気兼ねなくサポート依頼ができますし、設備費もいらないですもんね」

「ENEOS」運営企業に聞いてみた

おそら。さんの投稿にはガソリンスタンドのスタッフ経験者と思われるユーザーから、以下のようなリプライ(返信)が寄せられている。

「呼んでくれれば対応いたします」
「心置きなく『呼び出しボタン』を押してください」
「ハザードランプでお知らせくださいって看板立ててる店もあったりする」

一般社団法人日本エネルギー経済研究所「石油情報センター」の発表資料によれば、2018年3月末において、ガソリンスタンドのセルフ化率は32.3%。地域によって差はあるが、最も高い神奈川県では48.9%と約半数を占める。

J-CASTニュースは18年11月27日、全国に1万か所以上の「ENEOS SS(サービスステーション)」を持つことで知られる「JXTGエネルギー」を取材した。

広報担当者にガソリンスタンド全体における障害者対応について聞くと、

「2016年4月施行の障がい者差別解消法に基づき、障がいのあるお客様への対応方針を定めており、ポスター配布や毎年発行するリテールサポートガイドへの掲載、また『eラーニング』を通して、系列SSへの啓発を行っている」
「高齢者や障がい者等が円滑に利用できるように、バリアフリーに配慮した施設づくりを過去から目指しており、(編注:当社が設置する)新設・全面改造SSにおいては、セールスルームにスロープや自動ドア、車いす用トイレの設置を進めている」

との回答だった。特にセルフ式ガソリンスタンドにおいては、

「(編注:スタッフに対して)障がい者の方から要望があった場合には、安全に配慮しつつ給油に協力することをお願いしている」

といった対応をしているとのことだ。