「時給が高い会社」ランキングTOP10

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「計算時給」が高い会社は、高い付加価値の事業を展開している(写真:CORA / PIXTA)

『CSR企業総覧』の最新版である2019年版が11月19日(月)に発売になった。就職四季報プラスワンでは、これまで3年にわたり、『CSR企業総覧(雇用・人材活用編)』に掲載しているさまざまな就職関係の情報を、ランキング形式でご紹介してきた。これからも引き続き就職活動に役立つ情報を提供していくので期待していただきたい。


2019年版データの初回となる今回は、平均年収を年間総労働時間で割った各社の「計算時給」を計算し、4000円以上の166社をランキングした。

1位は総合商社の三菱商事で時給7968.0円だ。2017年度の平均年収は1540.9万円で、総労働時間は1933.9時間。社員の平均年齢は42.6歳なので、このあたりの年齢の時給と考えるとよいだろう。

上場企業の中でも、高収入企業として知られる同社だが、教育制度も幅広く整備されている。自由応募形式の無料講座や資格取得の受講料一部支援、国内・海外留学制度といったさまざまな研修制度を用意。多くの目的にあわせたプログラムが提供されている。

高収入以外にも社内公募やFA制度が魅力

社内公募制度やFA制度なども整備。総合商社は激務のイメージも強いが、有給休暇取得率は年々上昇している。育児や介護との両立支援を含め、ワーク・ライフ・バランスの面でも整備が進む。男性の育児休業も2017年度には1週間以内の取得者を含め94人まで増加。商社マンにもイクメンが増えているようだ。

国連が提唱するSDGs(持続可能な開発目標)にも積極的だ。オランダの洋上風力発電事業、ノルウェー・チリの鮭養殖事業、ミャンマー・ティラワ工業団地開発事業など、SDGsの17の目標と結びつけて、幅広い社会課題解決に取り組んでいる。低炭素社会への移行、持続可能な調達・供給の実現など、総合商社は事業活動を通じて多くの貢献ができる。会社の力を使い、ビジネスで社会課題解決を実現したいと考えている人にとって、魅力的な職場だろう。

2位は同じく総合商社の三井物産で7392.6円。平均年収は1419.9万円、総労働時間1920.7時間だった。同社は社員一人ひとりの生産性や効率性を高くし、メリハリをもって働くことで、企業競争力の向上につながる「働き方改革」を推進。個人単位の時差出勤制度、時間単位の年休、モバイルワーク制度などを導入し、多様な働き方が行えるよう、バックアップしている。

社内公募制度やFA制度は1年に1回実施。2017年度はこの制度で、それぞれ2名、17名が希望の職場に異動している。

一時的に働くことが困難になった従業員の支援も行う。メンタルヘルス不調者への就業支援や、精神科医によるカウンセリングなどで、従業員に寄り添って目配りをしている。

3位も総合商社の丸紅で7173.5円。残業禁止時間の導入、朝型勤務へのシフト推奨、全社的な業務改善プロジェクトの実施などを進めている。

以下、4位伊藤忠商事7109.1円、5位ヒューリック6879.2円、6位住友商事6732.4円、7位JXTGホールディングス6321.7円と続く。

8位は電通の6262.5円で、年間総労働時間は2032時間。部署別のノー残業デー導入やスケジューラーの共有で、効率的な働き方を目指している。有給休暇取得率も2015年度の40.5%から2017年度は64.0%まで上昇。働きやすい職場の風土醸成のために、社員制作のポスター・映像などによる啓発活動を実施したりと、社内の雰囲気も変わりつつある。

今回の上位166社には、誰もが知っている超有名企業が多いものの、学生のみなさんが知らない社名もあるはず。中にはその業界でトップシェアを誇るような会社もある。覚えておいて損はない。

さて、ランキング対象656社の計算時給の平均値は、3520円だった。国税庁「平成29年分民間給与実態統計調査」によると、2017年の正規雇用の平均給与(年収)は493.7万円。年間総労働時間を、上記656社の平均労働時間1997.7時間で計算すると、時給は2471.3円になる。これを見る限り、今回対象の時給4000円以上は、かなり高い水準であることがわかる。

高時給企業は教育や福利厚生も充実

従業員に対して高い時給を払える会社は、高付加価値のビジネスが行えている証拠だ。事業活動で高い付加価値が得られているため、一般的に教育システムや福利厚生も充実している。さまざまな社内の制度を利用でき、能力を高めるチャンスも多い。

ただし、こうしたランキングはあくまで、会社の一面を知るための参考データとして見てほしい。就活ではこれらを基本としてさらに多くの情報にあたり、自分にとって本当に合う会社かどうかを、判断していくとよいだろう。

その際、東洋経済新報社が発行する、『就職四季報』をじっくり見てほしい。そしてより詳しい情報が知りたい方は、ぜひ『CSR企業総覧』をご覧いただきたい。

多くの大学で図書館に置いてあるはずだが、利用が増えているのは、Webから閲覧できる東洋経済デジタルコンテンツ・ライブラリーだ。検索機能も使えるので、導入されているか確認してみるとよいだろう。