by jami jari

さまざまなサボテンのトゲは一見同じように見えて、そのメカニズムが異なることを研究者が明らかにしました。肉に刺さるとなかなか抜けないトゲがある一方で、そもそも肉に刺さりにくいトゲを持つサボテンも存在し、目的によって多様性があることが示されています。

Cactus spine puncture performance | Proceedings of the Royal Society of London B: Biological Sciences

http://rspb.royalsocietypublishing.org/content/285/1891/20182280

Cactus spine shapes determine how they stab victims | Science News

https://www.sciencenews.org/article/cactus-spine-shapes-determine-how-they-stab-victims

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で進化バイオメカニクスについて研究するPhilip Anderson氏らは、新たな研究でサボテンのトゲのメカニズムについて調査を行いました。

研究者は6種類のサボテンのトゲの強度を、ポリマーや豚肉といったさまざまな物質に刺すことで調査。このとき測定されたのは、物質にトゲを刺す際の強さ、圧力、そしてトゲの抜きにくさです。

実験の結果、オプンティア・ポリアカンタ、チェーンフルーツチョヤといったサボテンが持つ微細なトゲは、物質に刺さりやすい一方で、繊維状の組織ともつれやすく、豚肩肉や皮なしの鶏胸肉から取り除くのが非常に難しいことがわかりました。またチェーンフルーツチョヤのトゲは深く刺さるため、トゲを引き抜くとサボテンの一部が本体とは別の場所に落ち、サボテンが生息範囲を広げることが可能であるとのこと。



by Davepape

一方で、キンシャチのトゲは、ポリマーに対しても動物の肉に対してもささりにくくなっています。これは、キンシャチのトゲの目的があくまで動物を遠ざけるという「防御」であるからだと研究者は考えています。



by Karelj

論文の共著者であるStephanie Crofts氏は「サボテンのトゲの形態学には本当にクールな多様性があります。最初は草食動物を避けるためだけのものでしたが、その後、霧に含まれる水を集めたり温度を調節したりといった二次的な使用にも適用していきました」と述べています。