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 ついに、NHKが2020年10月から受信料を値下げする。27日に発表された。現在の月額1260円(口座振替・クレジットカード払い)の地上契約だと月35円の減額だが、値下げ幅はたったの2.8%程度にしかならない。

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 値下げに踏み切る背景には、2019年度開始予定のテレビとネットの常時同時配信がある。これはNHKの悲願であり、放送法を所管する総務省が容認する“バーター”というのは放送界の周知の事実だ。

 それにしても、なぜ値下げ幅がたったの2.8%なのか。ネット上では「半額はいけるでしょ?」「25%の間違いじゃないの」などと言った声が多数だ。

 それもそのはず、NHKの昨年度の受信料収入は6914億円で4年連続で過去最高を更新。しかも、昨年12月の最高裁判決が追い風となり、受信料収入はさらに増えるのは確実。また、2018年度末には内部留保が767億円になる見込みで、視聴者の「もっと安く」の声は当然といえる。

 NHKは2.8%の値下げに先立ち、来年10月から消費税の増税分の2%を負担し、契約者の負担額は据え置き“値下げ”を先行で実施するという。月額59円の値下げになるが、「ちっともインパクトがありません」と言うのは、放送ジャーナリストの小田桐誠氏だ。

「これでは視聴者は納得しないでしょう。『年間で2000〜3000円下がらないと視聴者は下がった気がしないだろう』というNHK職員の声が実際にあります。今年から始まった、奨学金を受ける学生の免除などを含めても契約者への還元は受信料収入の約6%で年間420億円程度。それに比べ内部留保は767億円あります。内部留保などを全て視聴者に還元すれば、受信料の10%値下げは見込めると思います。また、不動産の売却や関連会社からの還元率を高めれば、計算上はそれ以上も可能です」

 前回の受信料の値下げは2012年の7%だった。今回は受信料収入が過去最高にもかかわらず約4.7%。受信料収入は7年後に1兆円にも達するといわれているのに、なぜ、NHKはそんなにお金を貯め込む必要があるのか。

「豪雨や地震など緊急報道のために資金を積み立てておきたいのは分かりますが、これから始める常時同時配信にお金をかけたいのでしょう。日本民間放送連盟はNHKに対して『ネット事業費の上限を受信料収入の2・5%まで』とクギを刺していますが、無視するかもしれません。背景には若者の視聴者を獲得して、将来の“ネット受信料”徴取につなげたいのでしょう。杞憂かもしれませんが、民放との差がますます広がると、1強支配になり、偏向報道などのリスクも懸念されます」(小田桐誠氏)

 値下げ幅の根拠、内部留保の使い道について発表前にNHKに聞くと「正式発表はしていないので、お答えできません」(担当者)という回答だった。

 わずかな受信料値下げはNHKの悲願達成の目くらましのようなものだ。