両親・祖母と暮らす自宅から、都内の女児にアプローチしていた

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「先生という立場にありながら、とんでもないことをしてしまったと思っております。本当に申し訳ございません」

【写真】容疑者が利用していたサイトにあった注意書き

 と容疑者の祖母は涙を浮かべながら頭を下げた。そして、

「でも、どうしてこうなったかは、私ども家族にもまったくわからないんです」

 と困惑の表情で語った─。

女児の裸の画像を入手

 東京都内に住む小4女児(9)に裸の画像を送らせたとして警視庁少年育成課と駒込署は11月13日、強制わいせつと児童買春・ポルノ禁止法違反(単純製造)の疑いで、茨城県守谷市の市立小学校講師・篠田泰輝容疑者(22)を逮捕した。

 全国紙の社会部記者は「成長期にある女子児童の心理を突いた卑劣な手口です」と説明する。

「容疑者は自宅で女子小・中学生に人気のスマホゲーム無料アプリ『ポケコロ』で小6女児になりすまし、対話機能を使って被害児童に発育の悩みを持ちかけている。

 自分から“胸が少し膨らんできちゃった”“毛がはえてきたよ”などと打ち明けるふりをして、相手に乳房や陰部の写真を撮影させ、その画像を自分のスマートフォンに送信させたんです。ゲーム内では、最初から話し相手や友達が欲しい子を狙っていたようです」

 犯行動機について、

「うまく騙して裸の写真を手に入れることに、優越感を感じていた」

 と供述しているという。

 この事件が発覚する前、容疑者は別の小6女児にも裸の画像を送らせていたとして、宮城県警に同法違反容疑で10月23日に逮捕されており、2度目の逮捕だった。

 容疑者は隣県の私立大学を卒業した今年4月、実家へ戻って講師として守谷市の公立小学校に着任。れっきとした地方公務員で、3年生のクラス担任を務めていた。

 同校によると、

「無遅刻、無欠勤、まじめでおとなしく、子どもにやさしい先生です。非常に穏やかな人柄で、声を荒らげるシーンなど見たことがありません。教材研究に力を入れ、ほかの先生の授業を見学するなど熱心でしたしね。上司の指導にも素直に従っていました。だから、彼がなぜ? と正直、驚きました」

 と悪くない評価だった。

耳を疑う父親の言葉

 新任のプレッシャーからストレスがたまっている様子もなく、同僚教師とのコミュニケーションもとれていたという。

 私生活はどうだったのか。勤務先の小学校から車で約10分の自宅を訪ねると、冒頭のように容疑者の祖母と父親が取材に応じ、謝罪を口にした。

「10月23日に自宅に警察が来て、いきなり連れていかれたきり、息子と会っていないんです。面会できるのか、どこへ行ったらいいのかさえわからない。われわれ家族も、本人と1度も話していないので、正直言って、何がなんだか、さっぱりわからない状態なんです」

 と容疑者の父親は話す。

 しかし、続けて、

「容疑を認める供述をしていると報道されていますから、被害児童には本当に申し訳ない。若い世代なのでスマホゲームにのめり込むうちに魔が差したのかもしれませんが、やってはいけないこと。教師失格で、魔が差したで許されることではありませんよね」

 と、がっくりうなだれた。

 実家で祖母と両親との4人暮らし。弟は独立生計を立てており、取材時に母親は留守だった。父親によると、大学入学時には教師の道を志すと決めていたようだという。

「親から見ても、昔から素直で、まじめで、おとなしくて、やさしい子なんですね。だから、実家に戻ってきてくれてうれしかった。朝早く出かけ、ときには夜中の1〜2時まで帰ってこない日もあったので、頑張っているな、一生懸命にやっているなと喜んでいたところなんです」(父親)

 家族の前で仕事のグチをこぼすことは1回もなかったという。

 実家周辺での評判もいい。中学・高校時代は柔道に打ち込み、県内で上位の成績を収める有名人だった。近所の主婦は、

「丸刈りで“おはようございます!”とハキハキと挨拶する、とてもいいお子さんでしたよ」

 と話す。

 女性関係や性癖はどうか。父親は、

「高校時代に1度、彼女を家に連れて来たことはあります。事件が起きたあと、兄弟仲のいい次男に、長男(泰輝容疑者)がロリコンかどうか聞いたら、“アニキはロリコンじゃないよ”と言っていました。

 実際どうかまではわかりませんが、そんな素振りはなかったし、ロリコンとは信じられなくて。親子関係も良好で、長男はいまでも私と一緒に風呂に入っているぐらいですからね」と驚きのエピソードを明かした。

 いくら仲がいいとはいえ、成人後まで父親と入浴する男性はそういないだろう。犯行との因果関係は別として、あるいは、どこか大人になりきれていない部分があったのかもしれない。

学校の対応

 学校は大騒ぎだ。

 同校によると、最初に逮捕された2日後の10月25日、緊急保護者会を開いて事情を説明するとともに謝罪。

「児童の動揺が大きかったので、心のケアをしていくなど取り組みを説明しました。保護者から厳しい質問はありませんでした」(同校)

 翌26日には4回に分け児童集会を開き、年齢に応じて言葉を選んで事情説明し、校長以下、全教師が頭を下げて「申し訳ありませんでした」と謝ったという。

 とはいえ、被害女児と在校児童の年齢層は重なっており、校内で不審な言動がなかったかチェックは必要だろう。

「事件後、600人弱の全校児童とその保護者に対して類似するようなことはなかったかアンケート調査をしたところ、該当はゼロでした」

 と守谷市教育委員会。

 また複数の保護者に取材を申し込んだところ、「話したくない」などと協力は得られなかった。

 強制わいせつは懲役6か月以上、10年以下の罪に問われる。児童買春・ポルノ禁止法違反(単純製造)は懲役3年以下、または300万円以下の罰金を科せられる。

 容疑者の祖母は、

「孫が世間さまに顔向けできないような恥ずかしいことをやってしまった。本人も罪を認めているようですから、絶対に悪いんです。それでも、孫がかわいそう。これから先、あの子はどうなるんだろうと思ったらねぇ……」

 と言って急に泣き出した。それを見た父親は、

「親として、今後は反省させて、更生させます。先生への道はこれで絶たれるでしょうが、それ以外の道で頑張るように励ましていきたい」

 と力強く誓った。

 卑怯な犯罪だけに周囲のショックは大きかった。供述どおり、小学生を騙して裸の写真を送らせることで優越感を得ていたのであれば、教師を目指すことじたい間違っていた。最もショックを受けているのは被害女児であることを忘れてはいけない。

 女児の心の傷が癒えることを願うばかりだ。