小野寺前防衛相(左)と石破氏(C)日刊ゲンダイ

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 国の安全保障政策にまで私情を挟むのか――。防衛関係者からは驚きの声が上がっている。

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 今月、政府が年末に策定する新たな防衛計画の大綱(防衛大綱)に意見を反映させるための与党ワーキングチーム(WT)が発足。20日から議論を本格化させているが、ベテラン防衛族が政策決定のラインから外されているのだ。

「防衛関係の重要なWTには、防衛相経験者が必ずメンバーに入っていました。ところが、第1回会合に中谷元元防衛相と浜田靖一元防衛相の姿はありませんでした。本来なら、ともに防衛族の重鎮であるどちらかが座長を務めるのが筋なのに、WTの座長に就いたのは10月の内閣改造まで防衛相だった小野寺五典氏でした。調べてみると、党の政策調査会が作成したメンバーリストには中谷氏と浜田氏の名前があったのに、官邸からの横やりで急きょ外すことになったようです。2人とも石破茂元幹事長に近いために外されたともっぱらで、あまりに大人げない。もちろん、ベテラン防衛族の石破氏自身もメンバーには入っていません。小野寺氏を座長に起用したのも安倍総理の肝いりです」(自民党ベテラン議員)

■日本版NSCで決めるという意思表示

 防衛政策にかかわる自民党内の主要ポストからも、石破氏に近い防衛族は遠ざけられている。

 国防部会長の山本朋広衆院議員は、小野寺防衛相の下で副大臣を務めていた。部会長代理の福田達夫衆院議員は同じく政務官だった。

「山本氏と福田氏は政務三役になるまでほとんど防衛政策に関わったことはない。ベテラン防衛族の影響力を退け、官邸に従順なメンバーで固めたのは、防衛政策は日本版NSCですべて決めるという意思表示です。NSCは首相、官房長官、外相、防衛相の4大臣会合で意思決定される。直近までNSCのメンバーだった小野寺氏をWTの座長に据えたのも、官邸に都合のいい取りまとめをさせるためでしょう」(防衛省関係者)

 WTでは、防衛装備などに関する5カ年計画を決める中期防衛力整備計画(中期防)についても議論する。前回、2014年の大綱見直しと中期防策定時には、まだ日本版NSCの事務局が発足していなかった。 

 意思決定から防衛族を排し、石破派の影響力をそぐことで、次の5カ年計画は官邸の好き放題になる。米国からの武器調達計画が増大するのは確実だ。