現党首のマリーヌ・ル=ペンとの権力闘争に敗れて以降は党内幹部の地位を失ったものの、いまだに党内で一定の支持を集めており、むしろここ数年は再び党内での地位が高まっているようです。

 そして1989年から現在まで継続して、ヨーロッパ連合の立法機関である欧州議会議員に選出されています。

 しかしながら彼を有名にしているのは、その政治的手腕に加えて、カトリック伝統主義と国家主義的に基づいた極右思想に由来する、人種差別的発言や虐殺を否定するようなその歴史認識です。こうした彼の言動に対しては、さまざま批判と責任追及、そして有罪判決がなされています。

 とりわけ彼が教授を務めていたリヨン第三大学で発生した騒動は非常に有名であり、彼の危険性が明らかとなりました。その騒動を簡単に紹介したいと思います。

 実はリヨン第三大学では、ブルーノ・ゴルニッシュのみならず、多くの学生および教員が人種差別思想に染まっていることが長年にわたって問題視されており、ついにフランス政府はこれを解決するための委員会を立ち上げました。この委員会には多くの歴史学者がかかわっていたのですが、ゴルニッシュは彼らの制作した報告書に対して公の場で反論し、そしてその中で多くの問題発言を行いました。

 特にナチスによるユダヤ人絶滅収容所におけるガス室の存在を否定するような発言や、虐殺の犠牲者の数を少なく見積もるような発言に対してはフランス内外から怒りの声が上がりました。また、その委員会の代表者がユダヤ系であることを理由に、「報告書が信憑性に欠ける」と言い張るその姿勢は、明らかに彼のユダヤ人に対する差別的偏見を物語っていました。

 こうした問題行動の結果として、ゴルニッシュに対しては大学から停職の処分が下されました。そしてフランスの「人種差別、反ユダヤ主義その他の排外主義的行為を防止する法律」に違反したとして訴追され、およそ750万円以上の罰金および賠償金の支払いと、執行猶予付きの禁固刑を言い渡されました。

 もちろん彼の差別的な言動はこの事件のみにとどまらず、ナチスの武装親衛隊の元メンバーを大学に招聘したり、イスラーム教徒を中傷するヘイトスピーチを行ったりと、数え切れません。

◆ブルーノ・ゴルニッシュと日本社会

 ところでリヨン大学の教授も務めていた極右政治家のブルーノ・ゴルニッシュは、何の授業を担当していたのでしょうか?政治学?ヨーロッパ史?

 実はそうではなくて、ゴルニッシュは、日本語と日本文化を教える教員だったのです。彼はフランスの東洋言語研究所で日本研究の専門家として学位を取得しており、なんと京都大学での一年半の留学も経験しています。

 そう、極右政治家ゴルニッシュは、日本文化を愛する日本学者であり、日本人女性と結婚し、日本語を話す、そんな日本大好きフランス人なのです。

 日本文化の愛好者が増えるのは良いことですが、それが有罪判決を受けているような危険な極右思想の持ち主である場合は、歓迎すべきではありません。

 特に第二次大戦のナチスドイツによって行われた人道に反する戦争犯罪を矮小化するような言動は、「歴史修正主義」「否定論」と呼ばれ、ヨーロッパでは非常に警戒されています。

 こうした思想の日本版と言われるようなものが、残念ながら日本でも一部の右派の政治家の間で浸透しているのは事実です。例えば、大日本帝国によるアジア各国の戦争被害を否定したり、植民地統治を肯定したりする言動が、しばしば行われています。

 ゴルニッシュのように日本語を話し、日本との交流を望むフランスの極右政治家が、日本の極右政治家と手を結ぶことで、このような歴史修正主義運動が拡大する危険性があります。