新潟で運行されている観光列車「きらきらうえつ」の運行が終了することが明らかになりました。この列車の車両は、かつて全国各地の特急列車で使われていた「485系」という電車。いまも観光列車向けに改造された車両が残りますが、いよいよ最後の日が近づいてきたようです。

現在も臨時列車で活躍中だが

 JR東日本新潟支社が土休日を中心に白新線、羽越本線で運行している臨時快速の観光列車「きらきらうえつ」がなくなります。新潟日報が11月14日に報じたところによると、新潟支社は「きらきらうえつ」の運行を2019年9月末で終了し、車両も廃車にする方針を固めたといいます。


2019年9月末にも運行を終了することが明らかになった「きらきらうえつ」(2017年8月、草町義和撮影)。

 この「きらきらうえつ」で使われている車両の名は「485系」といいます。かつての国鉄とJRでは、赤とクリームの2色で塗られた特急列車が各地で多数運行されていましたが、その特急列車で使われていた車両の多くが485系でした。その姿を記憶にとどめている人も多いのではないでしょうか。

 485系は1964(昭和39)年から1979(昭和54)年にかけ、1453両が製造されました(485系とほぼ同じタイプの481系、483系、489系を含む)。「きらきらうえつ」の車両は車体の色や車内のサービス設備こそ全く異なりますが、485系を観光列車向けに改造したもの。台車やモーターなどの装置は485系そのものです。

 しかし、新幹線ネットワークの拡大や老朽化などにより順次廃車。残った車両も特急での運行から離れて快速列車などで使われてきましたが、2017年3月には新潟〜糸魚川間の快速列車を最後に毎日運転の定期列車での運用が終わりました。

 しかし、485系が完全に消滅したわけではありません。いまもわずかではありますが車両が残っていて、団体列車や臨時列車で使われています。

新潟以外でいまも残る485系は?

 ジェー・アール・アール編『JR電車編成表2018夏』(交通新聞社)によると、2018年4月1日時点で残っていた485系は、JR東日本が所有する54両でした。いずれも車体の塗装を変えるなどのリニューアルが施されていたり、あるいは観光列車向けに改造されていたりして、デビュー時の姿をとどめている車両はありません。


高崎支社の485系「華」。現在使われている485系は観光列車向けに改造されていて車内外とも大きく変化している(2015年4月、草町義和撮影)。

 この54両のうち盛岡支社の青森エリアに残る22両は、いまでは臨時列車でも使われていません。2018年8月には、水戸支社の改造車「リゾートエクスプレスゆう」が引退。実質的に現在残っているのは、盛岡、新潟、高崎の各支社に残る改造車26両だけです。

 盛岡支社には4両×1編成の改造車「ジパング」が残存。新潟支社では先に述べた「きらきらうえつ」4両×1編成が運行中です。高崎支社には改造車が6両×3編成あり、各編成ごとに「宴(うたげ)」「華(はな)」「リゾートやまどり」という愛称が付けられています。このうち「宴」「華」は、車内に畳を敷いた和式車両(お座敷車)です。

「きらきらうえつ」は土休日を中心に一般の臨時列車として運転されているため、比較的見たり乗ったりしやすいといえます。一方で「ジパング」「宴」「華」「リゾートやまどり」は、ごく一部の日のみ運転される臨時列車や団体列車として使われることが多くなっています。

 最初に登場したころとは姿が異なるとはいえ、台車やモーターは改造前とほぼ同じ。いまでも485系のモーター音を聞きながら旅することは不可能ではありません。しかし「きらきらうえつ」の引退が明らかになった以上、残る「ジパング」「宴」「華」「リゾートやまどり」も、そう遠くない時期に引退する可能性が高くなったといえるでしょう。

【写真】上野駅の485系特急「はつかり」


上野駅で発車を待つ青森行き特急「はつかり」。赤とクリームの2色をまとった特急形電車の485系が使われていた(1982年ごろ、草町義和撮影)。