和解・癒やし財団の事務所(資料写真)=(聯合ニュース)

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【ソウル聯合ニュース】韓国政府の高官は20日、旧日本軍の慰安婦問題を巡る2015年の韓日合意に基づき設立された慰安婦被害者支援のための「和解・癒やし財団」の取り扱いについて、「今週中に財団の解散決定を発表することを関係官庁(女性家族部)で検討している」と明らかにした。日本政府が財団に拠出した10億円の扱いに関しては、日本との協議を経て決定する予定のため発表内容には含まれないと伝えた。

 

 韓国政府は、同財団の解散までの法的な手続きに6カ月から1年ほどかかると見込んでいるとされる。この間に10億円の扱いについて日本側との協議を試みる方針だ。

 同財団は朴槿恵(パク・クネ)前政権時代の15年12月に締結された慰安婦問題の韓日合意に基づき、日本政府が10億円を拠出し、16年7月に韓国で設立された。財団はこの10億円を財源として慰安婦被害者や遺族への現金支給事業を行い、合意時点での生存者のうち34人と死亡者58人の遺族に計44億ウォン(約4億4000万円)を支給した。

 だが、17年5月の文在寅(ムン・ジェイン)政権発足後、韓国政府は慰安婦合意の検証を行った上で10億円を政府の予算で置き換え、理事も8人のうち民間からの5人全員が辞任したことで財団の機能は事実上停止している。日本側は慰安婦合意の着実な履行を求め、財団解散に反対している。

 韓国大法院(最高裁)が新日鉄住金に対し日本による植民地時代に強制徴用された韓国人被害者への賠償を命じた判決に日本政府が反発し、韓日関係は冷え込んでいるが、韓国政府は同判決への対応と和解・癒やし財団の取り扱いは別問題とみなしている。

 外交部の当局者は「二つを絡めて処理することは考えていない」と述べ、判決に対する韓国政府の立場整理を待たず財団の解散方針を発表することを示唆した。