右足首を痛め全治3週間と伝えられている羽生【写真:Getty Images】

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再発しやすい「足首のケガ」の原因と予防法を専門家が解説

 フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第5戦ロステレコム杯は羽生結弦(ANA)が優勝を飾った。しかし、フリー当日の公式練習で転倒し、右足首を痛めていた。昨年11月のNHK杯前日練習でも右足首を故障。2月の平昌五輪で復活し、五輪連覇を達成したが、今回は全治3週間と伝えられる新たな故障はどんなものなのか、予防法は存在するのか。サッカー元日本代表MF中村俊輔(磐田)の個人トレーナーを務める新浦安しんもり整骨院入船院の新盛淳司院長が解説してくれた。

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 羽生選手の足首のケガは現時点で、「前下脛腓靱帯(ぜんかけいひじんたい)損傷」「三角靱帯損傷」「腓骨(ひこつ)筋腱損傷」の疑いと発表されています。

 前下脛腓靱帯(ぜんかけいひじんたい)とは足の2本のすねの骨をつないでいる前方やや外側の靭帯で、三角靱帯とは足首の内側にある靭帯です。腓骨(ひこつ)筋腱とは外くるぶしの後方を通る腱。つまり、転倒によって足首の内側、前方、外側と複数の箇所を損傷しているということです。

 今後の治療やリハビリについては、既に行っているかもしれませんが、MRIなどの精密検査を進め、靭帯の損傷の程度、骨や軟骨の損傷などの有無を明確することが第一歩になります。精密検査の結果で明らかになった損傷状態を踏まえ、痛みや腫れの状態を確認しながら進めていくと思います。羽生選手の1日も早い回復を願っています。

 今回は一般的なケースでお話しします。足首の捻挫後に「不安定感」を訴えたり、「再発」をしたり、というケースがあります。その理由としては2つ存在します。それは構造の問題と、機能の問題が挙げられています。構造上の問題とは、靭帯が損傷した際、治る過程で何らかの原因により靭帯に緩みが生じた状態をイメージするとわかりやすいと思います。羽生選手は大会後の記者会見で足首の状態を緩いと話していました。

一般の小・中・高生も「たかが捻挫」の認識を持たず、時間をかけて治療を

 機能の問題とは、視覚などに頼らずに、自分の身体の各部がどういう相対的な位置にあるかを判断する感覚を表す「関節位置覚」、そして筋肉の反応時間や筋力やバランス感覚が低下し、不安定感を生じている状態です。

「不安定感」や「再発」の原因については様々な研究がされていますが、原因や対処法が明確になっている訳ではありません。構造と機能の問題が絡み合って生じているのだと考えられています。その問題を一つ一つ改善できるように、治療やリハビリを継続的に進める必要があると思います。

 スポーツを職業にしているアスリート、特に大きな大会に出場するトップアスリートには復帰までに十分な時間を取れない場合もあります。当然専門家として、リスクの説明は十二分に行うことが前提ですが、最終的には選手本人の判断になると私は考えています。

 プロアスリートのみならず、当院にも「初めて足首を捻った」と小・中・高校生が来院されます。特に最初の捻挫の時にしっかりと治す必要があると指導しています。そこで完治させない場合、将来的な構造上、機能上の問題が生まれるリスクが浮上します。「たかが捻挫だから」と軽く見る方もいるかもしれません。ですが、将来的に「不安定感」や「再発」の危険性を防ぐには、特に最初はしっかりと時間をかけて治す必要があると説明しています。

 そのためには、保護者や指導者の方にも「たかが捻挫」という認識ではなく、時間をかけてしっかりと治すことを促すような環境が理想的です。そのために情報発信していく必要があると思っています。(THE ANSWER編集部)

新盛 淳司
新浦安しんもり整骨院入船院、新浦安しんもり整骨院今川院、クローバー鍼灸整骨院代表。柔道整復師、鍼灸師の資格を持ち、関節ニュートラル整体普及協会会員。サッカー元日本代表MF中村俊輔をセルティック時代から支える。関東リーグブリオベッカ浦安のチーフトレーナーも務めている。