音楽劇『道』でヒロインに大抜擢された蒔田彩珠ちゃん

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近い将来、女優やモデルといった分野の最前線で活躍していくであろう10代の美少女たち。そんな彼女たちの魅力を読者に知ってもらうべく、週プレNEWS&週プレモバイル連載『微熱少女』がスタート!

毎週月曜日に、週刊プレイボーイが注目した美少女が登場するこの連載では、撮りおろし写真とロングインタビューで彼女たちの魅力をお届けします。

第3回目は、12月から始まる音楽劇『道』でヒロインのジェルソミーナ役に大抜擢された蒔田彩珠(まきた・あじゅ)ちゃん! イタリア映画の巨匠フェデリコ・フェリーニの名作を舞台化し、草なぎ剛が主演を務めることでも注目される大舞台に挑む16歳だ。

インタビュー前編となる今回は、初舞台への意気込みのほか、デビューのきっかけや子役時代のエピソードなど、女優・蒔田彩珠の"原点"に迫る!

――12月から始まる音楽劇『道』。今回は、その会場でもある日生劇場で撮影させてもらいました。まだ劇場の中に入ったことがなかったんですよね?

蒔田 はい、初めてです! すごいですね......。想像していたよりも広くて、緊張がいい意味でさらに増しました......本番ギリギリまで見ることがないと思っていたので、"ここに立つんだ"という実感も湧いてきて。

――初めての舞台でヒロイン役、おめでとうございます! 注目作でもあるので、かなりプレッシャーを感じるのでは?

蒔田 そうですね。映画のジェルソミーナは純粋で素直な、すごく素敵な女性なので、どこまでお芝居で表現できるかというプレッシャーはあります。

でも、ジェルソミーナひとりの舞台ではないので、それぞれの役とのセリフの掛け合いを大切にしながらお芝居をしたいです。

――舞台はドラマや映画と違うことがいろいろあると思いますけど、不安はありますか?

蒔田 初めてなので、未知の世界です! 映像は撮り直しができますが、舞台はやり直しがきかないですし。初めてのことばかりなので、「やるしかない!」という気持ちです。

――いつも役を演じるときは、どんなことを意識してます?

蒔田 無意識ですね。まばたきしてなかったなぁって時もありますし、息をするのを忘れちゃう時もあって。頭で考え過ぎるよりも、気持ちで演じてます。

――役に入り込んじゃうタイプ?

蒔田 はい。でも、抜けるのも早いので、次の作品に影響することはないですね。

――7歳で子役デビューし、これまで数々の映画やドラマに出演。そもそも芸能界に入ったきっかけは?

蒔田 兄が子役としてCMに出演するようになったんです。CMに出ている兄を見ていたら、「私もテレビに出たいな」と思うようになって、芸能事務所に入りました。

――お兄さんの影響なんですね。当時から、仕事という感覚はあったんですか?

蒔田 お芝居がどうのというよりも、子どもの頃は人見知りがひどくて大人の人ときちんと会話をすることができなかったんです。オーディションも緊張するので、全然受からない状況が続いてしまっていて。

それで、まずは現場に慣れようということで、大学の自主制作映画に何本か出させていただいたんです。お芝居の勉強にもなるし、現場の方たちと話せるようになるとだんだん楽しくなって。だから、皆さんに遊んでもらう感覚で現場に行っていたので、あまりお仕事という意識はなかったと思います。

――では、女優になりたいと思い始めたのはいつ頃から?

蒔田 10歳の頃に出演したドラマ『ゴーイング マイ ホーム』の撮影が終わってからですね。半年間の撮影を通して、自分の役と真剣に向き合う役者さんたちを間近で見ていたんです。

それまでは、楽しいから現場に行く。みたいな感覚だったんですけど、「私も自分じゃない役を演じたい、女優になりたい」という気持ちが芽生えたのはこの作品からだと思います。是枝裕和監督と出会ったのもこの作品ですし、ここからお仕事する機会が増えたので原点ですね。

――『ゴーイング マイ ホーム』をきっかけに、映画『海よりもまだ深く』、『三度目の殺人』、『万引き家族』と是枝作品の常連に。これまで監督から言われて影響された言葉とかあります?

蒔田 是枝監督って子役に台本を渡さないんです。当日、現場で「セリフを覚えるだけじゃなく、気持ちの投げ合いを大切にしたほうがいい。何かを言われて何かを思うから次のセリフが出る。」と言われました。その言葉は、これからもずっと大切にしていきたいと思っています。

――今なら理解できるかもしれないけど、当時は難しかったんじゃないですか?

蒔田 難しいですよね。ただ、当時は台本がないことに喜びを感じてました(笑)。現場で監督に教えてもらってすぐ演じる、という感じだったから、セリフを覚えるプレッシャーがないので。

だから、逆にそこから次の現場に入るのが大変でした。ほかの現場では、基本的に台本があるので、撮影前に、セリフを覚えなきゃいけないって(笑)。

――でも、そこで台本がなくてもできちゃうのがすごい! 

蒔田 いや、是枝監督のおかげですね。中学生になって映画『三度目の殺人』に出演したとき、監督から「台本いる? いらない?」って聞かれたんですよ。そこで初めて台本をもらって、監督のなかで子役から女優になれたようでうれしかったです。

――いい話ですね! 台本をもらったことで、作品への向き合い方は変わりました?

蒔田 そうですね。物語の始まりと終わりが分かっているので、流れを理解したうえでのお芝居ができたのかなと思います。高校生の役だったこともあるので、子役の頃とは意識が変わりました。

――是枝監督ってどんな人なんですか? 怖い?

蒔田 いつもスタッフさんや役者さん、みんなのことを見ていて、怖い顔をしているところは見たことがないです。

でも、アングルを決めるときなどやっぱり真剣な顔になるときがあって、それが子どもの頃の私から見てもすごくかっこ良かったのを憶えています!

――「蒔田彩珠といえば是枝作品」と言われることってどう思います?

蒔田 うれしいです。私が何をがんばっているのかを一番理解してくれてる監督ですし。成長とともにお会いしてるので、お父さんというか親戚なのかなみたいな(笑)。

――もう長い付き合いですもんね。現在は映画やドラマはもちろん、CMなど幅広く活動してますが、これまでの仕事で一番大変だったことは?

蒔田 大変だったこと......。実は嫌な現場はひとつもなくて、楽しいことしかなかったんです。大変な思いをするのは、きっとこれからなんだと思います!

●来週月曜日(11月26日)配信の後編に続く!

(スタイリング/岡本純子 ヘア&メイク/石川奈緒記 衣装協力/レイビームス 撮影協力/日生劇場)

●蒔田彩珠 Makita Aju
2002年8月7日生まれ、神奈川県出身
◯7歳で子役デビュー。10歳の頃、是枝裕和監督のドラマ『ゴーイングマイホーム』で注目され、2018年は映画『猫は抱くもの』『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』など多数出演。12月8日から始まる音楽劇『道』にヒロイン役で出演。特技は、ギター。
公式Instagram【@makita_aju】

取材・文/釣本知子 撮影/北岡稔章