不振に喘ぐ古豪ニューカッスルが、来年1月に幕が開ける冬の移籍市場で大胆な動きを見せようとしている。

 昨シーズンに昇格1年目ながら10位に食い込んだニューカッスルは、古豪復活を完全なものとするべく、今シーズンを迎えた。だがしかし、蓋を開けてみれば、プレミアリーグでは10節まで未勝利の2勝3分け7敗と大きく負け越して降格圏からわずか1ポイント差の14位と低迷中だ。

 そんなチームにあって何よりの課題は、リーグで下から3番目の9得点しか奪えていない攻撃陣だろう。

 開幕前の夏の移籍市場で、マインツから日本代表の武藤嘉紀、WBAからベネズエラ代表のサロモン・ロンドンという2枚のストライカーを獲得したものの、二人合わせて3点しかマークできておらず、現状では周囲を納得させる結果を残せていないのだ。

 その改善必至の拙攻にメスを入れるべくニューカッスルは、大枚を叩く覚悟を決めたようだ。地元紙『Chronicle』によれば、今シーズンの公式戦で13ゴールをあげているジェノアのポーランド人FWクシシュトフ・ピオンテク獲得に狙いを絞ったという。

 ピオンテクは今シーズンに一躍ブレイクを果たしている23歳の大型CFだ。セリエAでは、開幕から8試合連続ゴールをマークするなど9得点を挙げ、ユベントスのクリスチアーノ・ロナウドやインテルのマウロ・イカルディ、ミランのゴンサロ・イグアインら名うての点取り屋たちを抑え、得点ランクのトップに立っている。

『Chronicle』によれば、ベニテスは来る冬の移籍市場でのチーム強化をクラブ上層部に懇願しており、その補強リストのトップにピオンテクの名前が記されているようだ。さらにニューカッスルのスカウト陣は、10月28日のウディネーゼ戦(セリエA10節)と11月3日のインテル戦(セリエA11節)を視察済みで、今後は具体的な交渉が行なわれていくとも伝えられている。

 とはいえ、この逸材獲得は容易ではない。同胞のロベルト・レバンドフスキにも例えられるピオンテクには、すでにユベントスやチェルシー、ナポリといったビッグクラブが興味を示していることが報じられており、彼らを出し抜くのは、プレミアリーグで下位に低迷するニューカッスルにとって至難の業と言える。

 さらにピオンテクはジェノアと2022年6月までの契約を締結しているため、クラブ側との交渉が何よりの弊害となる。彼らが次代のエースをやすやすと手放すことは考えづらい。

 しかし、前述の通り、今夏にも補強を巡って指揮官と衝突したニューカッスル上層部もおいそれとは引き下がれない状況にはある。事実、『Chronicle』は、「マグパイズはピオンテク獲得に関してローン移籍を含めて考えている」と、クラブがあらゆる手段を講じる姿勢であることを報じている。

 この獲得に向けた動きが活発化した場合、今シーズンから古豪の一員となった武藤も、立場は危うくなる。それだけにニューカッスルの逸材奪取に向けた動向は引き続き、注視する必要がありそうだ。