元交際相手に放火され、全焼した自宅(画像は『Metro 2018年11月15日付「Woman’s life saved by mistake she made in her diary」(Picture: BPNS)』のスクリーンショット)

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元交際相手の襲撃で命を落とすところだった女性が、とんだ勘違いをしたおかげで命拾いをしたというニュースがイギリスで報じられた。男に放火されて自宅が全焼したものの、女性は「守護天使が守ってくれた」と話している。『Metro』などが伝えた。

ドーセット州ウエスト・ムーアズに住むエマ・ポールさん(42歳)は、フィリップ・エヴァンズ(55歳)と3年間交際していた。やがてエマさん宅へ移り住んだフィリップは、エマさんの着る服を勝手に選びお金まで管理するなど、コントロールしたがる性格を露わにするようになった。エマさんは、他の男と話すのが嫌だという理由でフィリップに仕事まで辞めさせられ、門限まで決められていたという。

そんな生活に我慢の限界を感じたエマさんは、昨年9月に意を決してフィリップと別れた。しかしそれを受け入れず、再びフィリップが接触してきたために、エマさんは破局から2か月後にフィリップに対する接見禁止令を申請せざるを得なくなった。

フィリップはこれに逆上したのか、禁止令を守らずその2か月後の今年1月9日、エマさんの自宅に可燃性の化学薬品アセトンを2缶持って現れ、家に火を放った。エマさんともども死ぬつもりだったフィリップは、エマさんの家にバールを使って侵入したが、エマさんの留守を知ってひとりで死ぬつもりだったのだろう、室内にアセトンをまき散らして放火した。

しかし熱に耐えきれず、フィリップは1階の窓から飛び降り避難した。自宅が燃えていることを友人からの電話で知ったエマさんは急遽、車で自宅に戻った。この日、偶然にもエマさんはフィリップが現れる少し前、脚の怪我のため理学療法士に会いに出かけていた。ところが予約した日は翌10日で、エマさんは完全に勘違いしていた。しかしこの勘違いのおかげで、命拾いしたのである。

このほどボーンマス刑事法院で、他人の人生を危険に晒し放火した罪を認めたフィリップには6年と4か月の実刑判決が下された。現在、安全な宿泊施設に身を寄せているエマさんはこのように語っている。

「あの男の目的は私を殺すことです。以前にもそうやって私を脅していました。私がいつも家にいるのを知っていて放火を計画したのです。偶然にも予約日を間違えて外出していたのですが、普段の私なら予約した日は必ず覚えています。でもあの日だけは、なぜか勘違いして出かけてしまいました。きっと守護天使が私の命を守ってくださったのでしょう。」

フィリップには実刑判決のほか、出所後もエマさんとエマさんの母親への接触を禁じられており、公共にとって危険な存在であることから仮釈放となった場合には、残刑期間よりも3年間長い保護観察に付されるという条件での出所のみ認めることを言い渡した。しかしフィリップが刑期の半分で出所する可能性があることから、エマさんは不安を隠せない。命が助かったとはいえ、自宅が完全に燃やされた光景を目の当たりにしてエマさんは愕然とし、なんてことをしてくれたのだとフィリップに怒りを感じて涙が止まらなかったという。子供時代の思い出や大切な写真、衣類もすべて失ったしまったために、フィリップの刑期は不十分だとエマさんは訴えている。

「判事にあの男が危険だとわかってくれたことで安堵しましたが、出所後は何が起こるかわからないので恐怖を感じています。居場所も身元も変更しなければならないと言われたのですが、なぜ、私がそんな苦痛を強いられなければならないのかと不公平に思います。6年と4か月という実刑判決は不十分ではないでしょうか。」

それでも結果的に、判決が下ったことでエマさんはようやく自分の人生を前に進んでいけると語った。また、自分のようにDV被害に遭っている他の被害者たちへも「声を出して助けを求めて」と呼び掛けている。

このニュースを知った人からは、「この判決もやっぱり甘い。たぶん男は3年ほどで出てくるでしょう。こんな甘い判決だから、犯罪が世の中から減らないわけだ」「殺人の意図があって放火したのに、なぜこんなに刑期が軽いの!」「似たような事件を女が起こしたら、執行猶予付きで終わりだろうな」「イギリスの司法は最低だ」「放火は殺人罪と同様に罪が重いはず。終身刑でもいいぐらいだ」などという英司法の甘さに対して、非難の声があがっている。

画像は『Metro 2018年11月15日付「Woman’s life saved by mistake she made in her diary」(Picture: BPNS)』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)