MCの内村光良さん(Getty Images)

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 連日、「世界の果てまでイッテQ!」(日本テレビ系)のやらせ疑惑に関する報道が飛び交い、11月16日には日本テレビの大久保好男社長が謝罪。人気コーナーの「世界で一番盛り上がるのは何祭り?」は休止に追い込まれてしまいました。

 事の発端は、「週刊文春」が「ラオス『橋祭り』やらせ疑惑」を報じたことですが、火に油を注いだのは、日本テレビが発表した文書。責任を現地のコーディネーター会社に求めるような内容に人々のモヤモヤが募り、さらに「週刊文春」が「タイの『カリフラワー祭り』やらせ疑惑」を報じたことで、大ピンチに追い込まれてしまったのです。

 しかし、「イッテQ!」は、ある意味で文春砲よりも恐ろしい、3つのプレッシャーを抱えています。

かつてない強敵の「ポツンと一軒家」

 1つ目のプレッシャーは、日本テレビ社内の空気。「イッテQ!」は高視聴率をキープし、バラエティー番組のトップに君臨してきた日本テレビの絶対的なエースであり、期待値は計り知れないものがあります。

 もともと「ザ!鉄腕!DASH!!」「イッテQ!」「行列のできる法律相談所」が放送される日曜夜は、日本テレビの稼ぎ頭。「3つの番組を連続視聴してもらう」という流れを作ったことが勝因だけに、「真ん中の『イッテQ!』がコケることは許されない」のです。

 日本テレビのエース番組で、稼ぎ頭の真ん中であり、さらに「ザ!鉄腕!DASH!!」が山口達也さんの騒動をようやく乗り越えようとしているところだけに、「何やってるんだよ」「どうにか持ちこたえてほしい」という社内のプレッシャーは相当なもの。会社トップの社長が謝罪したことで、「これ以上、謝る人がいない」状態となり、さらなるプレッシャーが推察されます。

 2つ目のプレッシャーは、裏番組の「ポツンと一軒家」(テレビ朝日系)。これまで「イッテQ!」は、テレビ朝日、TBS、フジテレビが仕掛ける新番組をいとも簡単に退ける無双状態でした。しかし、「ポツンと一軒家」は今秋のスタート直後から視聴率2桁をキープ。11月11日の放送では、「イッテQ!」の16.6%に対し、「ポツンと一軒家」は15.4%(ビデオリサーチ、関東地区)と肉薄しています。

 同番組の魅力は、「人里離れた場所にポツンと建つ一軒家を捜索する」というドキュメントバラエティー。へき地に住む人々を突撃取材し、それぞれの生き方を紹介するヒューマン要素が人気を集めています。

「ポツンと一軒家」も「イッテQ!」も、「何が起こるかわからない」というドキュメントバラエティーですが、映像のムードは真逆。「ポツンと一軒家」は、人々も自然も素朴でのんびりとしたムードである一方、「イッテQ!」は長時間ロケをギュッと凝縮して笑いどころを詰め込んだおもちゃ箱のようです。

 業界内では、「イッテQ!」のムードに飽きた人が「ポツンと一軒家」に流れ始めているのでは……という声も少なくありません。

「やらせの有無」よりも重要なこと

 3つ目のプレッシャーは、世間の厳しい目。今回の騒動で世間の人々は、「『イッテQ!』の関係者は、『やらせをした』『うそをついた』だけでなく、『他の企画でもやっているのではないか』」という疑いの目を持つことになりました。つまり、「二度あることは三度ある」という見方をされているのです。

 しかし、本質的な問題は「文春砲の第3弾があるか」ではありません。もし第3弾があったとしても、世間の人々が厳しい目を向けるポイントは、すでにやらせの有無ではなく、「『イッテQ!』がどんな対応をするか」に移っています。少しでもごまかそうとしたり、保身の姿勢を見せたりしたら、すぐに見透かされ、厳しい批判にさらされるでしょう。

 ただ、裏返せば、真摯(しんし)に対応し、全力で改善できれば、多くのファンから、「私たちの好きだった『イッテQ!』が帰ってきた」とサポートしてもらえるということ。人々の厳しい目線は、テレビ番組に限らず人気商品の宿命であり、自分たちの取り組み次第で称賛に変えられるものです。

「イッテQ!」は3つのプレッシャーをはね返して、バラエティーのトップに君臨し続けることができるでしょうか。子どもから大人までファンの多い番組だけに、たくましく騒動を乗り越える姿を期待しています。