巨人・菅野智之【写真:Getty Images】

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パ16人、セ12人が今シーズン2000球超え、3000球以上は菅野と則本

 野球界で「投球数」が注目されるようになったのはここ20年程のことだ。国際大会が盛んになり「球数制限」が必要になったからだ。今季のNPBのレギュラーシーズンの投球数を見ていこう。

〇パ・リーグ2000球以上

1則本昂大(楽) 3085球/180回1/3
2多和田真三郎(西) 2779球/172回2/3
3上沢直之(日) 2665球/165回1/3
4西勇輝(オ) 2654球/162回1/3
5マルティネス(日) 2584球/161回2/3
6岸孝之(楽) 2551球/159.0回
7涌井秀章(ロ) 2511球/150回2/3
8菊池雄星(西) 2505球/163回2/3
9山岡泰輔(オ) 2490球/146.0回
10バンデンハーク(ソ) 2465球/138回
11千賀滉大(ソ) 2357球/141.0回
12榎田大樹(西) 2293球/132回2/3
13石川柊太(ソ) 2194球/127回1/3
14十亀剣(西) 2129球/124回1/3
15石川歩(ロ) 2123球/133回1/3
16武田翔太(ソ) 2066球/124回2/3

 楽天の則本が、唯一3000球を超えている。2500球以上が8人、2000球は16人。規定投球回数に達した投手がいなかったソフトバンクは、2000球以上が4人いる。

〇セ・リーグ2000球以上

1菅野智之(巨) 3129球/202回
2メッセンジャー(神) 2957球/173回2/3
3大瀬良大地(広) 2878球/182回
4ブキャナン(ヤ) 2819球/174回1/3
5ガルシア(中) 2773球/168回2/3
6山口俊(巨) 2579球/154回
7東克樹(De) 2445球/154回
8岡田明丈(広) 2441球/138回
9ジョンソン(広) 2433球/144回2/3
10小野泰己(神) 2302球/126回1/3
11岩貞祐太(神) 2163球/132回
12九里亜蓮(広) 2122球/120回1/3

 セ・リーグも菅野智之1人だけだ。2000球以上投げた投手はパよりも4人少ない。広島が4人。ローテーション投手の顔ぶれが安定していたことを表している。

規格外のスタミナを持つ楽天則本と阪神メッセンジャー

 しかし、NPBの先発投手の球数はMLBに比べれば決定的に少ない。日本に比べ試合数が多いMLBではシーズン3000球は、エース級の先発投手のノルマといってもよい。2018年はア・リーグ13人、ナ・リーグ14人いる。NPBでは両リーグ合わせて2人。しかも、2年連続で3000球以上投げる投手は限られている。過去5年のNPBで3000球以上投げた投手を見てみよう。

〇2014年
メッセンジャー(神) 3544球/208回1/3
則本昂大(楽) 3221球/202回2/3
金子千尋(オ) 3000球/191回

〇2015年
藤浪晋太郎(神) 3374球/199回
メッセンジャー(神) 3255球/193回2/3
大野雄大(中) 3250球/207回1/3
前田健太(広) 3189球/206回1/3
ジョンソン(広) 3174球/194回1/3
則本昂大(楽) 3196球/194回2/3
涌井秀章(ロ) 3127球/188回2/3

〇2016年
メッセンジャー(神) 3218球/185回1/3
則本昂大(楽) 3384球/195回
武田翔太(ソ) 3103球/183回

〇2017年
岸孝之(楽) 3004球/176回1/3

〇2018年
菅野智之(巨) 3129球/202回
則本昂大(楽) 3085球/180回1/3

 過去5年で複数回3000球を投げたのは、楽天・則本(2014、2015、2016、2018)、阪神・メッセンジャー(2014、2015、2016)の2人だけ。この2人は、NPBでは規格外のスタミナの持ち主だと言えそうだ。他の投手は、翌年、必ず球数を減らし、多くは成績も下落させている。NPBの先発投手にとって「シーズン3000球」は超えられない「壁」なのだ。

 懸念されるのは、今年、歴史的な快投を見せた菅野智之だ。菅野は2013年のデビュー以来、毎年規定投球回数に達していたが、昨年までは2016年の2863球が最多だった。しかし今年は、CSファーストステージでのノーヒットノーランの113球を加えれば、3242球も投げている。これは「危険水域」を超えたと言っていいだろう。

 日米野球を欠場した菅野だが、来季もエースとしてフル回転できるだろうか。(広尾晃 / Koh Hiroo)