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第1回:若き空冷ポルシェオーナー 箱根/首都高 ドライブの楽しみかた

 

AUTOCAR JAPAN sponsored by ポルシェ ジャパンtext:Takuo Yoshida(吉田拓生)
photo:Satoshi Kamimura(神村 聖)

もくじ

ー オープンエアの誘惑
ー 迫る山肌、海抜800mを駆け上がる
ー 海峡を越え、タイムスリップ

オープンエアの誘惑

都心や横浜あたりに住んでいるクルマ好きには、箱根や丹沢、秩父など「ちょうどいいワインディングロード」に辿り着くまでにはずいぶんと時間がかかって当然という意識があるはずだ。

けれど日本地図を眺めてみれば、実は街から山まで距離のある場所を探す方がむずかしいことに気づかされる。

瀬戸内海に面した広島県ももちろん海際まで山が迫っている地形がほとんどで、ワインディングはもちろんのこと、複雑に入り組んだ地形をそのままなぞったような海岸線の道も格好のドライビングコースとなる。

広島市の中心部からクルマで小1時間ほど、戦艦大和が建造されたことでも知られる呉の港からほど近いドライビングコースを教えてくれたのはSさん。

「ひとりでドライブする時はいつでも幌を降ろして、オープンエアを楽しんでいます」という20代半ばのマツダ・ロードスター・オーナーである。

Sさんのロードスターはまだ納車されて半年ほど。そしてこのクルマは、彼にとって初めてのオープンカーだという。

「ずっとオープンカーを所有してみたいという気持ちを持っていました。免許を取ったばかりの学生時代、クルマ好きの先輩が乗っていたクルマが先代のマツダ・ロードスターだったんです」

「夜中に先輩が運転するロードスターの助手席で満天の星空を眺める楽しみを覚えました。自分が運転して、恋人とふたりでドライブできたら最高だなって(笑)」

オープンカーに憧れを抱いたSさんだが、当時の彼の愛車は祖父から譲ってもらった4ドアセダンだった。その後はSUVやスポーツハッチといったクルマを乗り継いだが、マニュアルシフトで楽しむオープンエア・ドライビングへの思いは断ち切れず、先ごろようやくオーナーになったのである。

「さぁ、ここから山道がはじまります!」Sさんはそう言ってシフトダウンし、「さざなみスカイライン」と書かれた看板のある交差点を左折した。

今回のドライブ・ルート

ポルシェオーナのみならず、日本中にいるすべてのスポーツカーユーザーのドライブルートを視覚化。

スマートフォンアプリを起動してドライブするとあなたの走行したルートがマップ上にビジュアライズされる。

自分や全ユーザーのドライブルートはアプリやウェブサイトのマップを通して確認できる。

あなたが走ったルートが、日本の道をより美しく彩り、仲間とその体験を共有することも可能。

▶ アプリケーションをダウンロード 

迫る山肌、海抜800mを駆け上がる

さざなみスカイラインは瀬戸内海に面した海抜数メートルの地点から標高839mの野呂山の山頂付近まで続く全長9kmほどのワインディングロード。地元ではよく知られたドライブコースである。

最初の2kmほどは民家や工場などが点在するが、そこから先は中低速コーナーが絶妙に連なる走り甲斐のある山道となる。

「学生の頃、周囲にはクルマに興味ないから免許は取らないなんてひとが当たり前にいましたね。当時彼らに『クルマのどこが楽しいの?』なんて聞かれると、自分でもうまく説明できなかったんです」

「でもロードスターで山道を走る楽しさを知ってしまったら、クルマのどこが楽しいかなんて説明するだけヤボだってことに気づきました。だから僕が先輩の助手席で影響を受けたように、友達をこのクルマの助手席に乗せてあげました!」

Sさんはもちろん平成生まれ。だからだろうか、ワインディングを走るのが好きと言ってもひと昔前の「走り屋」のような感じとは無縁だ。クルマはタイヤ、ホイールを含めほぼノーマルで、走るペースも比較的ゆったりとしている。

「オープンの状態だと風を直に感じるのでスピード感があるし、マニュアルシフトでエンジンと対話しながら走っていると、ペースを上げなくても充分に楽しめますね」

さざなみスカイラインの道路わきにはたくさんの桜の木が植わっているので、春になったら夜桜ドライブが楽しめるに違いない。もちろん眼下に広がる街や行き交う本船の明かりを眺めながら走るナイトドライブは四季を通じて楽しめる。しかも一気に標高が高まるので、どんどん下がっていく外気温を肌で感じられる新鮮さもある。オープンカー・ドライビングはスピードではなく五感で楽しむものなのである。

「匂いも好きです。僕の故郷は九州なんですが、別府の街に近づいたりすると温泉の匂いが漂ってきて、それだけでいい気分に浸れます」

さざなみスカイラインの終点にある駐車場でSさんがスマホの画面を見せてくれた。「今まで走ってきたさざなみスカイラインが青いラインで表示されています。これは『ドライビングトラッカー』というアプリなんです」

走ったルートを記録できるドライビングトラッカーはポルシェのオフィシャルアプリだ。

「自分が大好きなドライブルートを共有して誰かに知らせることもできますが、僕の場合は知らない土地に行った時にいい道を教えてもらうことの方が多いですね。クルマ好きがお薦めしている道なら間違いないですから。でもこれから訪ねる安芸灘とびしま海道は僕が色々なひとにぜひ知ってもらいたいルートです」

今回のドライブ・ルート

ポルシェオーナのみならず、日本中にいるすべてのスポーツカーユーザーのドライブルートを視覚化。

スマートフォンアプリを起動してドライブするとあなたの走行したルートがマップ上にビジュアライズされる。

自分や全ユーザーのドライブルートはアプリやウェブサイトのマップを通して確認できる。

あなたが走ったルートが、日本の道をより美しく彩り、仲間とその体験を共有することも可能。

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海峡を越え、タイムスリップ

さざなみスカイラインを下りきった地点からものの数分で、下蒲刈島(しもかまがりじま)へと渡る安芸灘大橋の入り口に到着した。橋の下はまるで河のような潮流や渦潮が見て取れる。

「安芸灘とびしま海道は橋伝いに、下蒲刈島、上蒲刈島をはじめとする5つの島を回ることができるドライブルートです。さっきの山道はひとりで楽しみたい道ですが、こちらのコースは恋人とドライブデートに来ることが多いですね」

「昔ながらの街並みや海沿いの景色がきれいなのでCMとか映画の撮影の舞台になったりすることもあるみたいです。魚も美味しいし、僕はここに来たら必ず揚げたてのじゃこ天を食べることにしています」

下蒲刈島の東側には古い町並みが残されており、蘭島閣美術館や丸谷カフェのような観光スポットも点在している。街を抜けるとあとは島の海岸線を巡る道がぐるりと1周している。

道幅は決して広くないが、何しろ空いているし信号も見当たらない。海辺の道なので平坦なのだがカーブが連続しており、山道とは違ったドライビングの楽しみがある。

「ここのルートは週末でもあまり混まないのでマイペースで走ることができます。街並みで特にきれいなのは大崎下島の東端にある御手洗ですね。御手洗は保存地区にも指定されている観光名所で、江戸時代のような風景が楽しめるんです」

低い角度から黄色く色づいた陽光が差し込む夕暮れ時、海辺の景色にはオープンスポーツカーが良く似合う。五感で感じる山と海辺の道、昼と夜の表情の違いも実に興味深い。

いつもの走り慣れた道もいいが、スポーツカー乗りならば最高のステージを探求する気持ちも大切だ。何しろ日本には、まだわれわれの知らない美しい道がたくさんあるのだから。

今回のドライブ・ルート

ポルシェオーナのみならず、日本中にいるすべてのスポーツカーユーザーのドライブルートを視覚化。

スマートフォンアプリを起動してドライブするとあなたの走行したルートがマップ上にビジュアライズされる。

自分や全ユーザーのドライブルートはアプリやウェブサイトのマップを通して確認できる。

あなたが走ったルートが、日本の道をより美しく彩り、仲間とその体験を共有することも可能。

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