森保ジャパンで3試合4得点と抜群の決定力。トップ下で躍動した南野拓実

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森保ジャパンで3試合4得点と抜群の決定力。トップ下で躍動した南野拓実

■南野は香川、堂安は本田、中島はメッシ

10月、森保ジャパンが臨んだパナマ、ウルグアイとの2連戦で、南野拓実(ザルツブルク)、堂安 律(フローニンゲン)、中島翔哉(ポルティモネンセ)の若手アタッカー3人が持てる能力を存分に発揮し、連勝(3-0、4-3)に貢献した。

何しろトップ下の南野はパナマ戦で1ゴール、ウルグアイ戦で2ゴールを挙げ、森保ジャパンの初陣だったコスタリカ戦から数えて3戦連続得点をマーク。

右MF堂安はウルグアイ戦でスペースのないなか、酒井宏樹(マルセイユ)とのワンツーでゴール前に侵入するや鮮やかな切り返しで相手DFを外し、代表初ゴールをゲット。

そして左MF中島は、ウルグアイ戦において得意のドリブルで相手守備陣を翻弄(ほんろう)しただけでなく、南野の先制点をアシストし、際どいシュートをたびたび放つなど、存在感を見せつけた。

サッカージャーナリストの後藤健生(たけお)氏が言う。

「ウルグアイ戦での南野はスゴかった。先制点はパナマ戦でのゴールと同様、ゴール前中央で敵DFを背負いながらパスを受け、一瞬の反転で敵を置き去りにしてシュートまで持っていったのですが、背負ったのがアトレティコ・マドリーでセンターバックを張るゴディンですからね。

ゴディン相手にあのプレーができるのなら、どんなDFに対しても同じことができるはず。南野は今、選手として急激に伸びています。その高いレベルを維持できれば、世界的な選手になれるでしょう」

同じくサッカージャーナリストの西部謙司氏は、南野のプレーに古巣・C大阪の先輩の姿を重ねる。

「香川真司(ドルトムント)に似て、俊敏でボールコントロール力に長(た)け、狭い場所でプレーできるタイプですが、よりシュート意識が強い。現時点で、森保ジャパンのトップ下の一番手は南野で決まりでしょう」


ウルグアイ戦で代表初ゴール。東京五輪でも活躍期待のレフティ、堂安 律

続いて堂安。ウルグアイ戦での日本代表初ゴールシーンを「時間がフッと止まったような感覚があった。不思議とどこに打っても入る気がした」と、週刊プレイボーイで隔週連載中のコラム『堂安律の最深部』で振り返ったが、彼も、ベテランジャーナリストのおふたりから高い評価を受けた。

「ウルグアイの左サイドはMFもDFも相当攻撃的だったのですが、堂安は同じ右サイドの酒井とのコンビネーションで、相手の裏を取ってどんどん攻め立てました。結局ウルグアイは日本の右サイドからの圧力に対抗するため、後半に入るとMFとDFを前後入れ替え、守備を固めざるをえませんでした。

堂安はひとりでグイグイ仕掛けるというより、周囲の選手と絡みながら決定機をつくるアタッカーなのですが、ウルグアイ戦は彼の持ち味がよく出ていました。そして得点シーンは、猛烈なスピードで突っ込んでいって、なおかつあれだけ強いパスを完璧に切り返してゴディンを置き去りにしました。南野や中島も含め、どんなに速いボールでも難なくコントロールできるのも彼らの強みです」(後藤氏)

「身長172cmでありながら、フィジカルコンタクトをものともしない。ウルグアイ戦では大柄な選手と競り合った場面でも、腕一本入れば勝てるという強さを見せていました。サイズは違いますが、けっこう本田圭佑(メルボルン)と共通点があるんです。

左利きの右サイドで、当たりに強くて、強烈なシュートも打てる。しかも本田より敏捷性(びんしょうせい)とテクニックがある」(西部氏)


左サイドからのキレッキレのドリブルで、ウルグアイ守備陣を翻弄した中島翔哉

そして中島に対しては、特に西部氏から惜しみない称賛が送られている。

「ケタ違いのプレーでしたね。スピードがあり、小柄なので、メッシ(バルセロナ)と同じで相手DFの歩幅が合わず、ウルグアイは彼をどうやっても止められない。自分の間合いに入っているのに小刻みに動けるため、DFは中島を制御することができないんです。

その上、シュートもパワー抜群。もうキレッキレの無双状態でした。彼がウルグアイ守備陣に与えた心理的圧力は大きかったと思います」(西部氏)

もちろん後藤氏も、ウルグアイ戦の中島を高く評価している。

「徹底的にドリブルで仕掛けて、ウルグアイを苦しめていました。何しろ、反転して切り返すだけで自分のマークをひとり外せるんですから。彼は典型的なドリブラーなんですが、ただ突破してチャンスをつくるだけではなく、ゴールに向かってドリブルし、いつでもどこからでも隙あらばシュートを狙っていますから、相手にとっては脅威です。

日本の2点目となった大迫勇也(ブレーメン)のゴールも、中島がペナルティエリア外から正確に放ったシュートのこぼれを押し込んでのものでしたし」(後藤氏)

■大事なのは次の移籍先を間違えないこと

南野、堂安、中島。誰が呼んだかこの3人は"新ビッグスリー"と称される。"新"とつくからにはもちろん"元祖"のビッグスリーもいるわけで、そちらは香川、本田、岡崎慎司(レスター)のこと。厳密に言えば中島と岡崎のポジションは重ならないのだが、果たして新は元祖を超えられるのか? いや、ひょっとして、すでに超えてる?

「代表での存在感という意味では、新はピーク時の元祖には及んでいないかな。でも、このままいったら、間違いなくあと1、2年で肩を並べるでしょう。

何しろ彼ら3人は、まだまだ成長段階なんですから。となると今後大切になるのが、クラブレベルでのステップアップを間違えないこと。本田や香川はそこでつまずいてしまいましたからね」(西部氏)

「お金をいっぱい出してくれるところとか、名前のあるところにいきなり移籍しても、出場機会を失ったのでは意味がない。それよりサッカーのレベル自体が高く、自分のプレースタイルに合っていて、適度に名の通ったチームでもう一段上の経験を積み、そこを足がかりにビッグクラブを目指すのが得策でしょう」(後藤氏)

じゃあ、次の移籍先として、日本人選手の生かし方を知っているクラブが多いドイツあたりなんてどうですか、新ビッグスリーの皆さん!

撮影/ヤナガワゴーッ!