今日から実践! 健康のためのヨーグルト活用法

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執筆:吉村 佑奈(保健師・看護師)
医療監修:株式会社とらうべ


「近ごろ便秘気味…」そんなとき思い浮かぶ代表的な食品のひとつが、ヨーグルト。

健康志向と手ごろなお値段から、冷蔵庫に常備されている方も多いのではないでしょうか。

最近はどれを選ぶか迷ってしまうくらい、バリエーションも豊富ですね。

そこで今回は、ヨーグルトの選び方や食べ方をご紹介します。

腸内フローラに関心が寄せられる昨今、いつものヨーグルトをより効果的に摂取して、腸内環境改善に役立てましょう!

ヨーグルトを食べるメリット

ヨーグルトは、牛乳に乳酸菌を加えて発酵させた食品です。

大きく分けて2つのメリットが挙げられます。

腸内フローラの改善に役立つ

ヨーグルトに入っている乳酸菌やビフィズス菌などは

「プロバイオティクス」

として注目されています。
「プロバイオティクス」は、腸内環境を改善することによって健康によい影響を与える、生きた微生物を意味します。
「アンチバイオティクス(抗生物質)」に対比する用語として提唱されました。

腸内には、数百種類、数百兆個もの細菌がびっしりと棲みついて、

「腸内細菌叢(そう)」

を形成しています。
花畑のように見える様子から

「腸内フローラ」

とも呼ばれ、善玉菌・日和見菌・悪玉菌がせめぎあっています。
ヨーグルトを食べると、善玉菌の代表格である乳酸菌やビフィズス菌を摂取することができます。

カルシウムやたんぱく質などを効果的に摂取できる

ヨーグルトは豊富なカルシウムも含んでおり、牛乳をそのまま飲むよりも吸収率が高いため効率よく摂取できます。
牛乳を飲むとお腹がゴロゴロする人も、その原因となる乳糖が乳酸菌によって分解されているので、ヨーグルトであれば食べられる可能性もあります。

さらに

「ホエイ(乳清)」

には、吸収率の高い水溶性たんぱく質や、乳糖、水溶性ビタミン、ミネラル分なども含まれています。

ヨーグルトに寄せられる期待

ヨーグルトを食べることで期待できる効果について、具体的に見ていきましょう。

便秘の解消と予防


乳酸菌はブドウ糖や乳糖を分解して乳酸を生み出します。
乳酸は大腸の働きを活発化しますので、排便が促され便秘になりにくくなります。

免疫力の向上


腸内で善玉菌が増えると、免疫活性物質であるサイトカインの分泌が促され免疫力が高まります。

肌トラブルの解消


腸内で悪玉菌が増えると、食べものが腐敗して有害物質が発生し、それが腸で吸収されて全身に運ばれてしまいます。
この毒素は、肌荒れやニキビの原因と言われています。
ヨーグルトを摂取して乳酸菌などの善玉菌を増やすと、こうした肌トラブルの予防や改善に役立ちます。

また、ビタミンB群には新陳代謝を活発にする効果があります。
肌細胞が順調に作られて肌のターンオーバーが促進され、美肌につながります。

生活習慣病の予防


乳酸菌は、悪玉コレステロールの増加を抑えるのを助けると期待されています。

骨粗鬆症予防


ヨーグルトの中に含まれるカルシウムは、骨を形成する栄養素となります。

ヨーグルトの選び方


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健康に寄与する成分がたくさん含まれているヨーグルト。

多くの製品の中から、どのような基準で選べばよいのでしょうか。

オリゴ糖で効果アップ

オリゴ糖

は、大腸内にいる善玉菌のエサとなり、腸内環境改善に役立つ食物

「プレバイオティクス」

の代表格です。
オリゴ糖入りの製品もありますが、自分で良質なオリゴ糖を加えてもよいでしょう。

普段使いはプレーンタイプ


ヨーグルトには「砂糖」や「果糖ぶどう糖液糖」の入っている製品も多くあります。
いくらヨーグルトが健康によいとはいえ、こうした糖分も一緒に摂取し続けていると、血糖値の上昇や肥満のリスクを招きかねません。
普段食べるのはプレーンタイプにして、甘いヨーグルトはときどきにしましょう。

自分に合った菌種を探り当てる


ヨーグルトには必ず乳酸菌が入っていますが、ビフィズス菌が加えられている製品もあります。
また、乳酸菌も種類によって効能もさまざまで、人それぞれ腸内フローラと相性のよい菌は違います。

どれが自分に合っているかを知るために、最低1〜2週間ほど、毎日同じヨーグルトを食べてみます。
量は、少なくとも一日100〜150g程度です。
その結果、便通や肌の調子、アレルギー症状などに良い兆候が感じられたら、そのヨーグルトは自分の身体に合っていると言えます。

何も改善が見られなかったり、逆に悪化したりした場合は、別の種類をまた1〜2週間試してみましょう。

「生きたまま腸に届く」という要素は必ずしも必要ではない


胃酸に弱い乳酸菌は、90%程度が胃で死んでしまうと言われています。
しかし、仮に死菌になっても、その分泌液などがもともと腸内にいる善玉菌のエサとなったり免疫細胞を活性化したりします。
ですから、生きたまま腸内に届くことよりも、効果が実感できているかどうかが重要です。

ヨーグルトの食べ方

健康のために効果的な食べ方をご紹介しましょう。

毎日継続して摂る


腸内細菌のバランスは、日々移り変わっています。
そのうえ、外から取り入れた菌が腸内に定着するのはたやすいことではありません。
しかし、毎日一定量を継続的に摂取することで、少しずつ腸内環境の改善が図れるでしょう。

オリゴ糖と一緒に食べる


ヨーグルトと一緒に乳酸菌のエサになるオリゴ糖を食べると、腸内で発酵が促されます。
オリゴ糖は、大豆や小豆などの豆類・ゴボウ・タマネギ・バナナ・ハチミツなどに含まれます。

食物繊維の多い食事をとる


水溶性食物繊維は腸内細菌のエサになり、不溶性食物繊維は腸の中を掃除してくれるので、どちらも善玉菌が働きやすい腸内環境を作ります。

ほとんどの食品には、水溶性・不溶性の食物繊維が両方含まれています。
精製されていない穀類・海藻類・いも類・野菜類・豆類・きのこ・果物などを毎日積極的に食べましょう。


冷たいヨーグルトは、お腹の負担になることもあります。

お腹の弱い人は40度くらいに温めて食べてもよいでしょう。

乳酸菌は、味噌やぬか漬け、納豆やキムチなどの発酵食品にも含まれています。

体質的にヨーグルトが合わないときは、無理をしないで他の食品から摂りましょう。


<執筆者プロフィール>
吉村 佑奈(よしむら・ゆうな)
保健師・看護師。株式会社 とらうべ 社員。某病院での看護業務を経て、現在は産業保健(働く人の健康管理)を担当

<監修者プロフィール>
株式会社 とらうべ
医師・助産師・保健師・看護師・管理栄養士・心理学者・精神保健福祉士など専門家により、医療・健康に関連する情報について、信頼性の確認・検証サービスを提供