SWCが問題視した衣装。帽子にナチス親衛隊の紋章らしきものが見える

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韓国のアイドルグループ「防弾少年団(BTS)」の「原爆Tシャツ」をめぐる問題が、過去に披露した「ナチス風衣装」の問題に波及し、米国のユダヤ系人権団体「サイモン・ウィーゼンタール・センター(SWC)」が2018年11月11日付(現地時間)で非難声明を出した。

SWCは、ホロコースト否定論やユダヤ陰謀論を唱えるメディアに対して、広告主を巻き込みながら激烈な抗議活動を展開することで知られ、日本では1995年に文芸春秋社の月刊誌「マルコポーロ」が廃刊に追い込まれている。こういった「コワモテ」ぶりが影響しているのか、SWCのアカウントには「ナチスとは無関係」といった「釈明ツイート」が殺到している。

偏狭さや不寛容を「クール」さと同一視する危険性

声明は、エイブラハム・クーパー副所長名で出され、「原爆Tシャツ」を「過去をあざけってきた、このグループの直近の事案に過ぎない」として、過去のステージでナチスのかぎ十字に似たマークが入った旗が登場したり、メンバーがナチス親衛隊の紋章らしきものが入った帽子をかぶった写真がSNSに投稿されたりしたことを問題視。メンバーに加えて運営者も公に謝罪すべきだと主張した。

「このグループは国連での講演に招かれており、日本国民とナチスの犠牲者に対して謝罪する義務があるということは言うまでもない。それだけでは十分ではない。このグループのキャリアをデザインし、宣伝している人々は、あまりにも過去の記憶を過小評価している。その結果、韓国と世界中の若者が、偏狭さや不寛容を『格好いい(クール)』ことだと同一視し、歴史の教訓を消し去ってしまう可能性が高くなるだろう。グループのメンバーだけでなく運営者も公に謝罪すべきだ」

「声明は見直すべき」「この衣装は『ナチ風』ではない」...

これを受けて、韓国メディアからは「反発」というよりも「釈明」に近い声が出ている。中央日報は、問題とされた帽子については(1)メンバーではなくスタイリストの持ち物だった(2)メンバーは撮影の場で様々な衣装を身に着けるが、そこまで(ナチスの紋章があることまで)は確認できなかったとファンは説明している(3)過去にもこの件は問題になり、その時点で雑誌会社と所属事務所は謝罪し、写真も削除した、などと経緯を報じた。

旗については、1990年代に活躍したアイドルグループ「ソテジワアイドゥル」(編注:「ソテジと仲間たち」の意)の楽曲「教室イデア」のもので、旗についていたロゴは、時計を意味するローマ字数字、学士帽と卒業ガウンを赤い線で表現した模様を組み合わせたものだとしている。SWCのツイッターアカウントには、1800件以上の返信が殺到。その内容は、

「声明は見直すべき」
「(SWC)評判を傷つける、誤った情報を拡散していることに気づいてほしい」
「この衣装は『ナチ風』ではない」
「衣装は誤解を生む不適切なものだったが、大きな問題ではない」
「ナチスとは無関係」

といった、BTSを擁護するものが多い。

BTSは、米国の週間アルバムチャート「ビルボード200」で、2作連続で初登場1位にランクインさせている。それだけに、米国で「反ユダヤ」の印象がつけばマーケティングの上で大きな障害になる可能性が高い。

この問題では、 高須クリニック院長・高須克弥氏が「何故大騒ぎしないんですか?」などとSWCに写真つきでツイートし、問題を取り上げるように求めていた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)