〈噂の新店〉讃岐うどん&関西出汁のいいとこ取り!“原宿うどん”って何だ!?

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この秋原宿にオープンしたうどん店。プロデュースしたのはこれまでも話題のお店を手がけてきた飲食業界の革命児。一般的なうどん店と違った、コンセプトと魅力をレポートします。

原宿の真ん中に讃岐うどん店が誕生。仕掛け人はあの、飲食業界の革命児!

最先端のショップが立ち並ぶ原宿キャットストリート近くに今秋、讃岐うどん店がオープン。味に、ビジュアルに、食べやすさ。今までにない“原宿系うどん”が注目を集めている。

都心の一等地でありながら、価格は手頃

原宿キャットストリートから少し入った路地の一角、高級感のある店構えが目を引く。なお店頭に停められたキッチンカーは「ONE」という名の別店舗で、出汁巻玉子ドッグを販売。ただし時間帯によっては、「麺散」の店内で注文を受け付ける場合もある。

ここ「麺散」を手がけるのは、2016年に中目黒に誕生した“鮨屋が作るフィッシュバーガー”の店「デリファシャス」をプロデュースした岡田茂さん。前回のフィッシュバーガーはいわば飛び道具としてSNSを中心に話題を呼んだが、今回は一転して讃岐うどんという伝統的な料理を選んだ。「前回の経験を踏まえ、瞬間的にバズるのではなく、より日常に寄り添った店をやりたかったんです」という岡田さん。目指すのは週に2回、3回と気軽に足を運べる店だ。「原宿には人が多い割に、定食屋のような店が少ない。若者はもちろん、アパレルの販売員や美容師さんがふらりと来られる店がほしいと思いました」。だから価格も、かけうどん450円という手頃な設定にした。

「高級店ではなく、1,000円でどこまで感動させられるかに挑戦したい」と話す岡田さん。気軽に通えつつ、かつしっかりと心に刻まれるおいしさを目指している。将来はこの原宿系うどんのパッケージを持って、アメリカ進出をするという夢もあるという。

もちろん原宿でやるからには、さまざまな工夫も詰め込んだ。たとえば岡田さん自身がデザインした内装。キッチンまわりはアメリカン、奥のカウンターは落ち着いた茶室風、手前のテーブル席は下町の洋食屋をイメージ。それらの多彩な要素が絡み合い、雑多なようで統一感のある独特な雰囲気が生まれている。このバラエティ豊かな内装は、使い方を限定せず、さまざまなニーズに寄り添う効果も。ひとり静かなランチ、グループで賑やかに飲み会、飲んだ後の〆うどんなど。外国人観光客がふらりと訪れうどんを味わう光景も日常的だ。

カウンター上に貼られた菱形ステンレスは、アメリカから取り寄せたもの。テーブル席は浅草にある老舗洋食屋からヒントを得てデザイン。和洋折衷のモダンインテリアは、現代の飲食店の重要ポイントである“写真映え”も意識して設計された。

讃岐うどんと関西出汁の夢のコラボレーション

ここ「麺散」の料理長・知久平さんは、行列の絶えない新宿の名店「うどん 慎」の出身。岡田さん自身も同店で2カ月間アルバイトを経験し、まずはうどんの基本を学んだ。しかし名店の味をただ持ってくるのではない。まず基本を知って、ようやくスタートライン。そこに大胆な発想で個性を加えていくのが岡田さん流だ。

名店「うどん 慎」出身の知久平料理長。打ちたて、切りたて、茹でたての最高の状態でうどんを提供する。独自にブレンドしたゴマ油で揚げる、香ばしく軽い天ぷらにも定評あり。

そこで採用したのは、讃岐風でありつつ細めに切って食べやすくした特製麺。その食感は、コシよりもモチモチとした弾力が際立ち、つるりとした喉越しと噛みごたえを同時に楽しむことができる。女性客も多い場所柄、大きく口を開けずにすんなりと食べられる麺を目指したのだという。一方で出汁は昆布をベースにした関西風。通常、讃岐うどんにはイリコ出汁が合わせられるが、上品な関西出汁にして、よりあっさりと味わえる一杯に仕上げた。香りを楽しんだ後、味が薄いと感じたら卓上のうどん用醤油をかけて、好みの濃さに調整することもできる。「讃岐と関西の良いとこ取り」という進化系のうどん、いわば“原宿系うどん”というわけだ。

太白と太香という2種のゴマ油のブレンドで香り高く揚げる天ぷら、山形県「山田ガーデンファーム」の濃厚な卵など、トッピングの素材も厳選。夜は一品料理が多彩に揃う居酒屋に変わるが、どの時間帯でもうどんだけの注文が可能。手頃でおいしく、使い勝手も抜群。原宿でじわじわと存在感を増す理由も、納得できる新店だ。

讃岐と関西出汁をミックスした“原宿うどん”、3つの自信作

1. 釜たま山 明太子トッピング 750円

濃厚な紅花たまごの釜たまうどんに、とろろを添えた釜たま山。とろろは加賀野菜の丸芋と山芋を混ぜることで、強い粘りと風味を演出。トッピングは明太子のほか、天ぷら、納豆、梅肉、牛肉など各種揃っている。

2. かけうどん 肉ごぼう 950円

定番のかけうどんに、甘辛出汁でサッと煮た牛肉と香ばしく揚げたごぼうの天ぷらを合わせた一品。天然真昆布をベースにしたあっさり目の出汁と、モチモチ麺のおいしさをダイレクトに味わうことができる。

3. ぶっかけ ちく天玉 950円

大根おろし、九条ネギ、金ゴマ、すだちとともに濃い目の出汁で味わうぶっかけうどん。トッピングは紅花たまごを揚げた天ぷらと、ちくわの磯辺揚げ。キュッと冷やすことで、うどんの弾力がいっそう際立っている。

豊富な酒の肴が揃う一品メニュー

18時からは珍味や魚介から揚げたての天ぷらまで、酒の肴がずらりと並ぶディナーメニューが登場。夜の時間は一杯のうどんをシェアして味わうことも可能。酒はビールやハイボールからワイン、酎ハイ、マッコリまで定番が一通り揃う。ある日はランチに、またある日は一杯飲んでうどんを〆に。原宿という場所にありながらさまざまなニーズに対応してくれる、通い続けたくなる新店だ。

写真:岡本寿

取材・文:鴫原夏来