鹿島アントラーズは11月11日、イランのアザディ・スタジアムで行なわれたアジア・チャンピオンズリーグの決勝第2戦でペルセポリス(イラン)と対戦し、0-0で引き分けた。ホームでの第1戦に2-0で勝利した鹿島は、2戦合計2-0とし、クラブ初のアジア王者に輝いた。
 
 この結果は、韓国でも報じられている。
「鹿島、クラブ史上初のACL優勝…アジアチャンピオンに」(『sportalkorea』)
「水原三星を破った鹿島、アザディでACL優勝の胴上げ…日本勢が2年連続で頂上に」(『MKスポーツ』)
「今度は鹿島…Jリーグ、2年連続でACL優勝チームを輩出」(『スポーツ韓国』)
 
 この決勝第2戦には試合前から関心が寄せられており、「“8万人の観衆”が集まる…ACL決勝、歴代最多観衆記録の更新が目前」(『スポーツソウル』)と報じるメディアもあった。公式発表によれば入場者数は10万人を記録したというが、そんな大観衆が見守った試合の内容も、韓国メディアは詳しく伝えている。
 
 例えば『InterFootball』は、「第1戦で2-0で勝利した鹿島は無理をする必要がなかった。安定的に試合を運び、アザディ・スタジアムの雰囲気に動揺しないようにした」としたうえで、「焦ったペルセポリスは神経戦を展開したが、鹿島は揺らがなかった」と報じた。また、同メディアは鹿島の守備にも注目。「鹿島は継続して堅固な守備を構築した。ペルセポリスは、そんな鹿島をちっとも圧迫することができなかった」と綴っている。
 
 また、韓国人選手の活躍にスポットライトを当てるメディアも多い。
「日本の鹿島、ACLで初優勝…クォン・スンテとチョン・スンヒョンの鉄壁の守備が助けた」(『聯合ニュース』)
「クォン・スンテとチョン・スンヒョンの鹿島、ACLで初優勝」(『ソウル新聞』)
「“クォン・スンテとチョン・スンヒョンが活躍”日本の鹿島、ACLで初優勝」(『スポーツ朝鮮』)
 といった具合だ。
 
 前出の『sportalkorea』は、第1戦で敗れたペルセポリスは序盤から一方的に攻撃を仕掛けていたと振り返りながら、「しかし、ペルセポリスはクォン・スンテを貫くことはできなかった。シュートはすべてクォン・スンテのファインセーブに阻まれた」と報道。「守備もチョン・スンヒョンがよく持ち堪え、相手の攻撃を効率的に防ぎ、隙を見せなかった」としている。
 
 なにより目を引いたのは、JリーグとKリーグの状況を比較する記事だ。
「鹿島が優勝しJリーグ勢がACL2連覇、Kリーグの不振は偶然ではない」と題した『スポーツ朝鮮』の記事は、昨年の浦和レッズに続きJリーグ勢が2年連続でアジア王者となったことを紹介し、「Kリーグは2016年にACLで優勝して以来、2シーズン連続でライバルのJリーグの優勝を見届ける羽目になった」と報じた。

 そのうえで、「韓国の専門家たちはJリーグが上昇気流に乗っている要因として、システムと資本の結合を挙げている」として、JリーグはDAZNとの10年2100億円の放映権契約によってクラブの資金の流れが良くなったと分析。その流れのなかで、韓国からA代表レベルの選手たちも日本に渡っていると伝えている。
 そして、「KリーグJリーグの経済規模はすでに大きな差が開いている。その差がパフォーマンスにつながるならば、ACLはもちろん、A代表や年代別代表でも韓国が引き続き劣勢に立たされる可能性が高い」という韓国サッカー関係者のコメントを紹介しながら、「Kリーグがぐずぐずしている間にアジアプロサッカーの覇権が日本に渡った」と報じた。
 
 クラブ史上初のアジア制覇を果たした鹿島。韓国にとっては、日本勢の2連覇を受けてKリーグの現状を省みるきっかけになったようだ。
 
文●李仁守(ピッチコミュニケーションズ)

参照元:『スポーツ・ソウル』
“8万人の観衆”が集まる…ACL決勝、歴代最多観衆記録の更新が目前