2018年10月、アメリカの定番ドーナツショップ「ダンキンドーナツ」が、2019年1月からブランド名の「ドーナツ」を削除し、「ダンキン」だけになることを発表。アメリカではこのニュースが話題となっていますが、名前を変えたファストフード会社はこれが初めてではありません。誰もが知っている大手ファストフード店でも大胆な店名変更が行われてきているんです。

 

ドリンクに注力したい「ダンキン」

バラエティ豊かなドーナツがずらりと揃う「ダンキンドーナツ」といえば、アメリカでは超定番ファストフード店のひとつ。しかし、18年に発表されたのは、肝心の「ドーナツ」を名称から排除して「ダンキン」になるということ。同店ではコーヒーや紅茶などのドリンクメニューの売上が高く、特にコーヒーについてはアメリカの売上の6割を占めているそうです。なのでドーナツだけに頼らず、ドリンクメニューが主体であるブランドに刷新していきたい考え。そのために、看板メニューである「ドーナツ」をブランド名からはずすという大胆な戦略を取るんですね。20年までにアメリカでさらに1000店舗の新規出店計画があり、ファストフードというよりカフェ業界へ食い込んでいきたい野望が感じられます。

 

不健康な食材のイメージを払拭したい「KFC」

日本でもおなじみの「ケンタッキーフライドチキン」は、アメリカでは「KFC」と呼ばれています。元は「ケンタッキーフライドチキン」という名前で始まったのですが、同店のチキンは科学的に突然変異された鳥を使っているといった噂が消費者の間でまわり、1991年に店名変更に追い込まれました。英語の「フライド」には、「揚げる」という意味のほかに「薬づけの」という意味もあることから、この言葉の使用を避けたかったようです。また揚げ物メニューだけではないというアピールの意味もあるでしょう。

 

また、90年にケンタッキー州が「ケンタッキー」という言葉を商標登録し、企業名や商品名にこの言葉を使う際は同州にライセンスフィーを払わなければならなくなったという裏事情もあります。

 

ピザを超えるものがある? 「ドミノ」

世界中に展開する「ドミノピザ」は、赤と青のドミノ牌がデザインされたロゴマークが印象的な宅配ピザチェーン。そんなドミノピザは12年にロゴマークから「ピザ」の文字を削除しています。60年代に誕生してから一大ピザチェーン店として拡大したので、「ピザ」を大きくうたわなくても、「ドミノ」の名前だけで十分だと経営陣は判断。「ピザ以上のものがここにはある」と、消費者にさらにアプローチしているのだそうです。

 

ファストフード店はどの店に行っても、いつも同じメニューと同じ味があるものですが、実は時代とともに進化し続けているということですね。アメリカなど海外旅行に行ったときは、新しいブランド名やロゴに注目してみると、ちょっと面白いかもしれません。