重慶市バス事故の教訓生かされず、運転の邪魔をする乗客(画像は『shanghaiist 2018年11月5日付「Passenger who missed stop grabs bus steering wheel, has learned nothing from Chongqing tragedy」』のスクリーンショット)

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15人もの死者を出した中国・重慶市のバス転落事故。先月28日に起こったばかりのこの悲劇は、世界中のメディアで報じられた。しかしながらこの悲劇を教訓にせず、中国で運行中のバス運転手の妨害をする乗客が相次いでいるという。『shanghaiist』などが伝えている。

10月28日、重慶市の長江にかかる橋の上から50メートル下へバスが転落し、乗客15人全員が死亡するという事故が発生した。

15人もの尊い命が奪われた原因は、ひとりの女性客(48歳)と男性運転手(42歳)の口論によるものだった。各メディアでは、この女性が降りようとしていたバス停が工事中でバスが通常の走行ルートを変更したことから降りることができず、バスの運転手に食ってかかったと伝えていた。監視カメラの映像では、女性に携帯電話で頭を殴られた運転手が右手で反撃した瞬間にハンドルを持つバランスが崩れ、バスはセンターラインを割って前から走ってきた車に激しくぶつかった後、橋へと転落していく様子が映し出されている。

事故の後、降車できなかったことに腹を立て運転手を攻撃する女性客の態度は中国全土で物議を醸し、怒りの声が相次いだ。中国ではこうした乗客と運転手の諍いは日常茶飯事のようだが、特にこの事故が起こってからは中国全域に懸念を呼び起こしていた。しかしながら再び、起こってしまったのである。

11月4日、湖南省湘潭市で市営バスに乗っていた高齢男性がバス停を見逃し、男性運転手にバスを止めるよう指示。しかし運転手が断ったために、高齢男性は突然ハンドルに掴みかかり右に回した。その時の様子は運転席近くに設置された監視カメラが捉えているが、運転手は男性の顔を叩いて妨害を阻止し、すぐにバスを停止した。

また、その2日前にも江西省新余市で似たような出来事が起こっていた。停留所を見逃した65歳男性が、女性運転手が握っていたハンドルをいきなり掴んで回し「止めろ!」と激しく文句を言う姿が監視カメラに捉えられている。女性運転手はバスを止めた後、警察へ通報。その後女性運転手は重慶市での事故を思い出し、自分にも起こり得ることだと恐怖に涙していたという。幸いにもこの2件は事故に繋がらなかったが、このように乗客に運転を度々妨害される運転手はたまったものではないだろう。

ハンドルの誤操作は当然事故に繋がり、全ての乗客の命が危険に晒される。悲劇からの教訓を乗客が学ぶのは、いったいいつなのか。

画像は『shanghaiist 2018年11月5日付「Passenger who missed stop grabs bus steering wheel, has learned nothing from Chongqing tragedy」』のスクリーンショット
(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)