SQDC(ケベック・マリフアナ組合)という大麻専門店には、解禁日に大麻を求めて長蛇の列ができた

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SQDC(ケベック・マリフアナ組合)という大麻専門店には、解禁日に大麻を求めて長蛇の列ができた

「最高にいい気分よ。カナダに生まれて本当によかったわ。10代の頃から吸っているけど、堂々と吸う大麻は格別においしいわね!」(トロント在住の40代女性)

 10月17日、カナダ全土で大麻(マリフアナ)の使用が解禁――。それを祝うパーティーが全国で開催され、大勢の大麻愛好家が気持ちよさそうに煙をくゆらせた。

「広場やクラブで大麻パーティーが連日行われています。中には大麻を吸いすぎたのか、ボーッとした表情でふらついている人も」(カナダで取材をしているジャーナリストのローラ・マー氏)

 カナダでは全人口の16%、490万人が大麻を違法に使用しており、そのほとんどが犯罪組織の資金源となっていた。あまりに多くの国民が常習者になってしまったため、犯罪の資金源になるよりは、いっそ解禁してしまおう、という一種の暴挙的措置で、大麻が合法化されたのだ。

 ただこれは、恐ろしい未来を招くかもしれない。国立精神・神経医療研究センター依存性薬物研究室長の舩田正彦氏は大麻の危険性をこう警告する。

「大麻を吸うと陶酔感や多幸感が得られる反面、常用すると依存症に陥る。さらにタバコやアルコールと違って、大麻精神病を引き起こす危険性があるんです。大麻に含まれているTHCという成分が脳の海馬に影響し、記憶障害や学習障害を引き起こす場合がある。大麻を長期間乱用すると、脳に影響を及ぼすため、重篤な健康被害をもたらすのです」

 覚醒剤が化学物質を元に合成されるのに対し、大麻は栽培により入手できるため、簡単に成分を摂取できる。そういった入手が容易な点も大麻が危険だと言われる所以だ。舩田氏が言う。

「大麻は特別な技術や装置が無くても、栽培することは可能です。今回カナダで解禁されたことで、日本人が興味を持ってしまう恐れがある。試しにカナダで吸ってハマってしまい、日本に持ち帰ろうとする人が増えるかもしれません」

 カナダに旅行や留学に行って、現地の人と仲良くなり、誘われて……なんてこともあるだろう。もちろん日本では、外国から持ち帰るのも、使用するのも違法だ。それでも、海外から輸入される大麻は増加している。財務省の発表では、過去5年、ほぼ毎年摘発件数が増加し、’17年には全国の税関で171件が摘発された。元厚生労働省近畿厚生局麻薬取締部捜査第一課長の高濱良次氏が指摘する。

「薬物の密輸は、日本に入ってくる水際、税関の検査で食い止めるのですが、見つかっているのは氷山の一角です。国内の使用者も’14年以降毎年増えており、年間3000人近くが検挙されている。日本でも大麻が確実に広まっているんです」

 カナダでの解禁を見て、大麻は安全だという誤解も一部で広まりつつある。一歩間違えれば、日本でも若者を中心に爆発的に広がる可能性がある。

「種さえ手に入れられれば、いくらでも大量生産できてしまう。ブツの大きさも小さく保存が利くので、種の売買が主流になりつつあります。さらに今はネットで大麻の種を持っている売人と直接やり取りできてしまう。捜査が追いついていないのが現状です」(前出・高濱氏)

 あなたの隣人が、いつの間にか大麻中毒者になっている――そんな恐ろしい未来が目前に迫っているのだ。

大麻パーティーでは、写真のような長く巻いた大麻をみんなで回して吸い、陶酔感を味わう

カナダの大麻専門店で売られている大麻は1グラム1000円程度で購入できるが、まだ闇市場の方が安い

PHOTO:アフロ