車の検査を巡る不正をなぜ繰り返してしまうのか。

 自浄能力のなさにあきれるほかない。

 SUBARU(スバル)は、ブレーキや速度計など安全性に関わる出荷前検査の工程で、新たな不正行為が見つかったと発表した。

 国土交通省の調査で発覚した。国の保安基準を満たさない恐れがあるとして、約10万台の追加リコールを国交省に届け出る。

 スバルは技術力の高さに定評がある。それを支持してきた根強いファンの信頼を損なう行為だ。

 9月末にブレーキの検査データ捏造ねつぞうなどを公表し、不正はもうないと説明していた。にもかかわらず、10月まで不適切な検査手法を続けていた点は見過ごせない。

 しかも、国交省が調査していなければ、不正が放置されていた可能性が高い。社内調査がずさんだったことになる。

 6月には社長が交代し、再生を誓ったばかりである。経営陣から現場まで危機意識が欠如していた。ガバナンス(企業統治)に問題があると言わざるを得まい。

 スバルは米国販売の強化で業績を伸ばしてきた。世界での年間販売台数は、この10年で約2倍に増えて100万台を超えた。

 中村知美社長は記者会見で、「急成長に伴うひずみや気の緩みがあった」と述べた。

 多少の不正には目をつむり、納期や効率を優先させる企業風土があったのではないか。

 スバルでは2017年10月に資格のない従業員に完成車検査をさせていたことが発覚した。それ以降、国交省や弁護士が調査を行う度に新たな問題が見つかった。

 検査不正によるリコールは今回が4回目で、対象台数は約53万台に膨らむ。こうした悪循環を今度こそ断ち切る必要がある。

 老朽化した検査設備の更新・改修や工程の自動化、検査人員の増強を含め、再発防止策を早急に講じなければならない。役職員の意識改革を進め、組織のあり方を抜本的に見直すことが不可欠だ。

 これまでに、日産自動車やスズキ、マツダで多くの検査不正が明らかになった。

 共通しているのは、利益につながらない検査部門が、社内で軽視されてきたことであろう。

 基幹産業である自動車メーカーの不祥事は、日本の製造業全体の信用を低下させかねない。

 品質管理をおろそかにすれば、長年かけて築いたブランドイメージは一瞬で失墜する。自動車業界は、そう肝に銘じるべきである。