ギガ使い切って公衆Wi-Fi生活、見えた課題
毎月数十GB使うヘビーユーザーがひょんなことから"ギガ"を完全消化。せっかくなので公衆Wi-Fi生活を体験してみました。

50GBを使いきってしまった


都内を飛び回る記者という仕事柄、筆者にとってモバイル通信環境はかかせません。テザリングでの利用も含めて、毎月平均で20〜30GBは余裕で使っています。

そんな筆者ですが、10月は取材が多く、データ容量を消費しまくり。20日で50GBを完全消化してしまいました。数ヶ月ぶりにかかった通信容量制限。せっかくなのでデータ容量を極力買い足さず、公衆無線Wi-Fiを中心に使えないか、試してみることにしました。

▲19日目にして容量のほとんどを消費してしまった図。容量の追加購入でしのぐのは諦めました。

キャリアWi-Fiに助けられる


まず使ったのが大手キャリアのWi-Fiサービス。実は、パソコンでも使えます。NTTドコモの「ドコモ Wi-Fi」は、アカウントさえ取得すれば、Windows PCからのログインにも対応しています(同時利用は1台まで)。また、auの「au Wi-Fi SPOT」では、契約しているスマートフォン以外にもう1台分のアカウントが付帯しています。

パソコンで使う場合、登録やアカウントの設定が必要になりますが、それさえ済ませておけば、あとはWi-Fiスポットに接続して、ログインするだけ。スムーズに使えます。

特に助けられたのがドコモWi-Fi。喫茶店など使いたい店にはだいたい配備されていて、通信も快適。ドコモWi-Fiの敷設はNTT BP社が行っており、大容量の光回線を用いているというのが、品質の差に繋がっているのでしょう。

ドコモWi-Fiが見つからないスポットでは、au Wi-Fi SPOTのパソコン用アカウントも活用しました。こちらはKDDIグループのWi2(ワイヤ・アンド・ワイヤレス)が敷設した回線。バスの車内など、意外なところがWi-Fiスポットになっているなという印象です。バックボーンにWiMAX 2+を用いているスポットもあるためか、通信品質はまちまち。アクセスポイントが見えていても接続できないスポットがそれなりにありました。

意外と見つかるフリーWi-Fi


東京都内に限って言えば、街中で使えるアクセスポイントが多く展開しています。これらのWi-Fiスポットは自治体などが提供しており、メールアドレスかSNSアカウントを登録して無料で使えます。

SSIDから「○○-FREE-Wi-Fi」となっているスポットにとりあえず接続してみて、ログイン認証画面が出たら登録して利用。これでほとんどのWi-Fiスポットは使えるはずです。

▲東京メトロの「Metro Free Wi-Fi」のログイン画面。サービスはNTT-BPが提供しています

街中に飛んでいるフリーWi-Fiの中には、通信内容を覗き見するための偽のアクセスポイントが紛れている可能性もあります。念のため、ログインページの利用規約やフッターで提供事業者を確かめてから利用しましょう。情報を安全にやり取りするためには、VPNも設定した方が良いでしょう。

実際に「ほぼWi-Fiスポットだけ生活」を体験してみて、「意外とこれだけでも大丈夫だ」という感触を得ました。カフェチェーンやコンビニ、自治体などが提供するアクセスポイントなどもかなり整備されてきて、複数の提供主体のスポットを併用すれば、活動圏内のだいたいのエリアをカバーできました。

大手キャリアがWi-Fiスポット数を競っていた数年前の状況からすると、どこへ行ってもなにかしらのWi-Fiを見つけられるほどには改善されているといった印象を受けました。


▲東京都心に「びわ湖 Free Wi-Fi」。なぜ? と見渡したら、滋賀県の物産館が目に入りました。

「Wi-Fiスポットだけ」の不便さ


とはいえ、Wi-Fiはあくまでその場所に留まって使うもの。移動しながらの利用には不便が伴います。特に電車に乗っているときなどは、車両内Wi-Fiでもない限りスマホがほぼ使い物にならない状態に。

盲点だったのが、同名のWi-Fiスポットでも、地点を変える度にログイン操作が必要になること。たとえば東京メトロのWi-Fiスポットでは、駅ごとにログインが必要になります。乗車中の電車から、せめて駅に止まっている間だけでも利用できないかと試してみましたが、このログイン操作が大きな手間に感じられます。

そこで思いついたのが、Wi-Fi接続アプリの利用。訪日外国人向けに提供されているWi-Fi接続アプリ「Japan Connected-free Wi-Fi」には、公衆Wi-Fiスポットへの自動ログイン機能が用意されています。ただし、これも結果は不調に終わりました。アプリを使うことで、接続操作自体はシンプルになりますが、実際のログインに時間がかかり、駅での停車時間では接続を完了するまでに至りませんでした。

なお、Wi-Fiの認証団体が開発を進める「Wi-Fi Vantage」には、こうした公衆Wi-Fiへのログインまわりの手間を解消する新技術も含まれています。将来的にはよりスムーズなログインが可能になる可能性があるでしょう。
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カウントフリーは速度超過時に便利


大手キャリアの通信制限は128kbpsとかなりタイトな速度に落とされます。どれだけ遅いかというと、Googleマップで現在位置が表示できなくなるくらい。つまりA-GPS(携帯電話網を使った高度な位置情報取得)に必要なデータ通信すら通らなくなるほど遅いということです(もちろん、スマホ単体でのGPS測位は可能です)。

このとき役に立ったのが、LINEモバイルの「カウントフリー」機能。SNSなどのデータ通信を無制限に行えるプランに加入していたため、Twitterのタイムライン表示やLINEでのやりとりではかなり助けられました。

結論:やはりモバイル回線は必要


Wi-Fiはつながれば高速ですが、本来はスポット周辺での通信のみを対象にしたもの。移動しながらの利用にはやはりモバイル通信の方が圧倒的に便利です。

また、公衆Wi-Fiは、利用のログイン認証を行う必要があるなど、認証周りも洗練されていない印象です。Googleマップを見るために、いちいちコンビニの公衆Wi-Fiに接続したりしましたが、時間がかかってしようがありません。

やはり、現代を生きるモバイラーにとって高速なモバイル回線は生命線と言えそうです。以前、孫正義氏が「無料Wi-Fi不要論」を唱えていましたが、その主張の核となる「モバイル通信の方が安全で便利」という内容は、実際Wi-Fiのみの生活を経験してみて大いに首肯できます。

理想を言えば、規制時の通信速度をもう少し高速にしてもらいたいところですが、「データ容量追加」も商品になっているので、難しいところかもしれません。

また、UQモバイルの「規制時300kbps」、楽天モバイルやUQ WiMAXの「規制時1Mbps」など、低速時にキャリア回線より規制が緩いことをウリにしている通信サービスもあります。万一の時に備えて、1つ用意しておくのも手かもしれません。
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