1万円からはじめられる本格的プログラミング「Raspberry Pi」とは?

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文部科学省は2020年度より「プログラミング教育」を小学校から高等学校で必修化することを発表している。
これは学習指導要領として各学校で順次実施するというものなのだが、その狙いは今後さらに需要が高まるIT技術者の人材不足の解消にある。

プログラミング教育は、政府の成長戦略の一環であり、AIやIoTそして5Gなど将来を見据えたものだ。
しかし、このプログラミング教育というのは、即戦力となるIT技術者のためのプログラミング言語を学ぶというものではない。

ものごとをプログラミングの視点で捉える「プログラム脳」を指導するというものであるという。

たとえば、
家の照明器具はスイッチが押されたら点灯する、
もう一度押されたら消える。
こうした当たり前のものごとをプログラミング的な視点で捉えると、
・スイッチが押されなければ何もしない
・スイッチが押されたら次のアクションに移動
・照明が光っているか?
・照明が光っていなければ、照明を光らせる
・照明が光っていれば、照明を消す
これが照明をコントローするためのプログラミングの考え方だ。

もし、スイッチが「光る」ボタンと「消す」ボタンの2つが用意できれば、プログラミングの処理はもっとシンプルになる。この2つのボタンの仕組みはプログラミングだけではなく、使いやすさを考えたユーザーインターフェイス(UI)のデザインを取り入れた考え方でもある。

こうした物事の捉え方と、実際にパソコンのツールを使った実践によって、イメージを形にしていくことを学ぶ言うわけである。
こうした教育はプログラマーになるために必要というわけではない。
ものごとを分解して考えられるようになれば、
・新しいことをはじめようとしたとき
・なにかトラブルにあったとき
こうした状況で原因を切り分けて冷静に考えることができるようになるなど、自分を強くする上で役立つものとして注目している。

さて、こうした動きにあわせて富士通やNECなど日本のPCメーカーは、子ども向けのパソコンを発表している。
子どもが使っても安心なフィルタリングや教育ソフトの充実などのほか、落としても壊れないような耐久性を訴求する製品もある。


今回、紹介したいのはこうした高価なパソコンではなく、家庭用のTVにつないですぐにプログラミング環境がそろう手のひらサイズのコンピュータ「Raspberry Pi」と、家庭用ゲーム機向けにも販売されているプログラミングツール「Pi STARTER」だ。




Raspberry Piは、5000円ほどで購入可能ないわゆるシングルボードコンピュータ。
昔でいう“ワンボードマイコン”を手のひらサイズで実現したものである。
ボード上には、
・CPU
・メモリー(RAM)
・無線LAN(Wi-Fi)
・HDMI出力
・USB端子
これらがあり、基本ソフト(OS)などはストレージとして利用するmicroSDカードから起動する。

仕組み的には、画面がないスマートフォンといったところ。
タッチスクリーンのディスプレイを接続すればタッチ操作も可能なシステムを作ることもできる。

基本的な使い方としては、
・USBキーボードとマウスを接続
・HDMI出力でTVやモニターに繋いで情報を表示する
こうすることでプログラミングのための文字入力や、マウスによるマウスカーソル操作が可能となる。

Pi STARTERは、PCショップ「TSUKUMO」の店頭およびネット通販サイトで取り扱っており、Raspberry Pi本体も購入可能である。

今回使用したRaspberry Piは、2018年春から発売されている最新モデル「Raspberry Pi 3 Model B+」だ。
・CPU クアッドコアながら1.4GHz
・RAM 1GB
最近のスマートフォンと比較するとエントリーモデル以下のスペックだが、スマートフォンのように通話の待受や各種同期をしながら、同時に多くのことを動かすわけではない。Raspberry Piは、一つのプログラムを低消費電力で実行し続けるということに重きを置いている。
このため、上記のスペックでも遅くて使いものにならないと言うわけではない。




Pi STARTのパッケージ 内のmicroSDカードをRaspberry Piにセットして電源を入れ、初回の認証コードを入力することで、プログラミング言語「SmileBASIC」が起動する。




「SmileBASIC」は、80年代のパソコンに搭載されていたBASIC言語を現代風にしたものだ。
馴染みやすく、安心してプログラミングの世界が楽しめる。




もともと家庭用ゲーム機で動作していたものなので、ゲーム制作のためのキャラクターやグラフィックス操作やサウンドコントロールなどが得意で、画面上に多くのキャラクターを表示しても快適に動作する。

こうした機能が高価なパソコンを買わずに、1万円程度で揃えることができると言うのは魅力的だ。

シングルボードコンピュータであるRaspberry Piには「GPIO」というプログラミング可能な専用の端子がある。
GPIOの電源をコントロールして、外部のLEDの操作をするプログラムをPi STARTERで作成することもできる。

アイディア次第では、ミニ四駆の電源回路をRaspberry Piに接続することで、発進のコントロールをBluetooth接続したゲームコントローラーで操作するという電子工作も可能だ。

Raspberry Piはパソコンのように画面にアウトプップすることで、役立つプログラムを作ることができる。
それだけでなく、GPIOを使った電子工作や機器コントロールといったこともできるため、自由度も高い。
さらに市販のカメラキットなどを接続することで、ペットの見守りカメラを自作するなど、ハードウェアとリンクすることでアイディアを具現化することもできりる。

Raspberry PiとPi STARTERは、
・教育目的
・大人が楽しむ電子工作やゲームプログラミング
など、購入する目的にあわせて、手頃な価格で本格的に楽しめるコンピュータなのだ。


執筆  mi2_303