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「この味は!…ウソをついてる『味』だぜ…ジョルノ・ジョバーナ!」。現在放送中のテレビアニメ「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」で、後に仲間となるブローノ・ブチャラティが、主人公のジョルノのほおを不意に舐め、このようなセリフを吐くシーンがあるのだが、似たような行為が現実に起きてしまった。

兵庫県警宝塚署は11月1日、学習塾で教え子の男子中学生(3年生)の耳をなめたとして、強制わいせつの疑いで塾講師を逮捕した。

報道によると、塾講師は8月14日午後5時ごろ、生徒が友達とふざけ合っていた際に、「うそをついていないか耳をなめて確認するぞ」と言って、両腕をつかみ、右耳をなめまわしたという。塾講師はわいせつ目的ではなかったと、容疑を一部否認している。

この事件を受けて、ネットでは、ジョジョの奇妙な冒険との関連性が話題になったが、もし本当にうそをついていないか確認するためだったとしても、強制わいせつの疑いとなってしまうのか。西口竜司弁護士に聞いた。

●わいせつ目的かどうかに関わらずアウト、ブチャラティの場合は…

「ジョジョですか、懐かしいですね。子どものころよく読んでました。

刑法176条では、『13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする』とされています。

中学3年生に対して、『うそをついていないか耳をなめて確認するぞ』と言って、両腕をつかんで右耳をなめまわすことは、『暴行又は脅迫を用いて』ということになるでしょう。

あとは、『わいせつな行為』といえるかどうかです。『わいせつな行為』とは、本人の性的羞恥心の対象となるような行為をいいます。例えば、無理やりキスをすれば『わいせつな行為』にあたります。

耳を舐めるのもキスと同様の行為であり、被害者の性的な羞恥心の対象になりますので、当然に『わいせつな行為』にあたります」

もし、ブチャラティのように、うそをついてないか確認する目的で、わいせつ目的ではなかったとしてもダメなのか。

「現在の最高裁判所の考え方(2017年11月29日の最高裁判決)によりますと、犯人の性的意図は不要であると判断されており、本罪の関係とは無関係です。性的意図があったかなかったかは関係ありません」

ジョジョの作品中では、ブチャラティがケーブルカーの窓の外から、車内にいる主人公ジョルノに迫り、不意にほおをなめるという行為だったが、これも日本で起きた場合には、強制わいせつになるのか。

「そういう可能性はあります。反抗できない状態でほおをなめる行為が暴行であり、わいせつな行為であると考えることができます」

(弁護士ドットコムニュース)

【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/