南極の溶けはじめた氷から聞こえる「奇妙な歌」の正体

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南極のロス棚氷(ロスたなごおり)では氷が溶け出す時に奇妙なサウンドが発生していることが、科学者たちの研究で明らかになった。

学術誌「Geophysical Research Letters」に発表された論文によると、この奇妙な音は、氷の融解と風によってロス棚氷の表面が振動することで出ている。

南極西部にあるロス棚氷には高性能な地震センサーが取り付けられたが、当初の目的は音を検知することではなく、南極の下の地殻とマントルを研究するためだった。

センサーを設置して2年、氷がほぼ常に様々な周波数で「歌っている」ことが判明した。音は万年雪に高周波が閉じ込められることによって起きている。風が吹くとこの万年雪が振動し、埋め込まれている地震センサーがそのサウンドを記録している。

気温が0度以上に上昇し氷が溶け始めると、音波が遅くなり始めピッチも下がる。気温が氷点下に戻ると万年雪は再び凍るが、ピッチは溶ける前と同じにはならない。

科学者たちが万年雪の融解状況を知ろうとするのは、今後数十年の海面上昇に関係するからだ。南極の氷床が完全に溶けると、海面は60メートルも上昇すると言われている。

陸上の氷が全て溶けて海に流れ出すという最悪の事態が起きた場合、海面は216フィート(約66メートル)も上昇すると見られている。これは、どんなに早く起きても数千年後のことだが、現実になった場合、現在の沿岸部の都市のほとんどが海に沈むことになる。

南極の棚氷の振動を観測することによって、将来的にどの程度海面が上昇するかを予測できる。これは人類にとって非常に重要な問題だ。