マグロの肉片が飛び散るのは日常茶飯事(市場関係者提供)

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 報道では「大盛況」「大勢の観光客」「飲食店に大行列」といった見出しが並び、順調な滑り出しに見える豊洲市場だが、10月11日の開場から1カ月足らずで、見逃せない問題が発生した。市場の建物内で強烈な「腐敗臭」が漂い始めているという。

中央市場労組の中澤誠氏が語る 豊洲市場の問題点と客減少

「開場後、数日間は問題なかったんだけど、日を追うごとに生臭さがヒドくなってきてますね。特に仕事が終わる直前の午前10〜11時になると、腐ったような強烈な臭いがします」と言うのは、ある仲卸関係者。

 特に、仲卸売場棟内の店舗をグルッと囲う周回通路の周辺で清掃が不十分になり、臭いのもとになっている可能性があるという。

「周回通路ではターレ(小型トラック)やフォークリフトに積んだ荷物から、魚を冷やすための氷水や魚肉片が頻繁にこぼれ落ちるんです。仕事が終わった後も、パレットに載った大荷物が通路に放置されていることが多く、パレットの下の床は掃除ができません。だから、汚れがたまるんでしょうね」(前出の仲卸関係者)

 建物内の排水溝にも問題があるようだ。

「築地には縦横40〜50センチで深さ1メートルほどの大きな排水溝がありましたから、清掃時に水を大量に流し、多少、魚のウロコなんかを流してしまっても問題はなかった。でも、豊洲の排水溝は深さがたった20センチ程度です。築地と同じ感覚で水を流すとすぐに詰まってしまう。場所によっては、魚の血肉の混ざった水があふれ出ている所もあるようです」(別の市場関係者)

 つまり、豊洲は築地に比べ、清掃が行き届きにくい構造だということ。常に外気にさらされ風が通り抜ける築地とは違い、閉鎖型で空気が滞留しやすいことも臭いの原因になっているようだ。

“悪臭”は閉鎖型のはずの建物内部だけでなく、外にも漂い始めているという。

「臭いは汚れた市場の床を歩く人の『足』に付着します。業者の人なら意識して靴の汚れを落とすのですが、買い付けに来るお客はそこまで気にしないものです。築地では短時間で買い物を終えていましたから問題ありませんでしたが、豊洲は広いので、長時間市場内を歩き回る。その分、靴に付着する汚れも多くなるんでしょう。豊洲市場の最寄りのゆりかもめの駅を降りた途端、生臭さを感じる人もいるようです」(前出の仲卸関係者)

 都に問い合わせると、「臭いをとるための換気設備については、現在24時間稼働している状況です。生魚を扱っているので、多少臭いが残るのでしょうが、今後も換気を徹底していきたい」(中央卸売市場設備課)と説明。加えて、清掃も徹底する方針というが、効果的な対策は特にないようだ。市場移転問題に詳しい建築エコノミストの森山高至氏はこう言う。

「築地では排水溝に向かって水が流れ出やすいように、床面に傾斜がついていました。豊洲でも床面に傾斜がついていますが、もともと建物内で水を大量に流さないことを前提に設計されていますから、築地と比べると傾斜が緩く、水平に近い箇所が多いのです。『水はけ』が悪いということは、小さな魚のウロコや肉片が残りやすいということ。これが悪臭のもとになっている可能性があります」

 最新の魚市場が周辺に腐敗臭をまき散らすなんて、シャレにならない。