チケット補償にペットの病気保障も…「ニッチ保険の注意点」

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身の回りに起こりうるさまざまなトラブルを、かゆいところに手が届く形でカバーしてくれる保険の市場が拡大中。お守り代わりに、加入を検討してみるのもアリかも!

職場で上司のセクハラに遭っていて弁護士に相談したい、予定していたコンサートに急に行けなくなった、ペットが病気になったら病院に連れて行きたいけれども費用が不安……。こうした日常のさまざまな“困ったこと”に対応してくれる保険「少額短期保険」が相次いで発売されている。

「’06年の保険業法改正以降に生まれた保険で“ミニ保険”とも言われています。保険期間は生命・医療保険は1年間、損害保険は2年間と短期間で、保障の内容も死亡保険なら300万円以下、医療保険は80万円以下、損害保険は1,000万円以下などと決められています。そのぶん、保険料が月額数百円〜と安いのが特徴です」

そう解説するのは、保険に詳しいファイナンシャルプランナーの平野敦之さん。少額短期保険会社の登録第1号は、日本震災パートナーズ(現SBIリスタ少額短期保険)が’06年から販売している「地震補償保険Resta」。地震保険は損害保険会社が取り扱い、火災保険とセットで契約するのが基本だったが、単独で加入できる商品にした。大きな地震が発生するたび、災害に関する保険を見直す人は多い。

その後、かゆいところに手が届くミニ保険、いわば“ニッチ保険”が続々登場。日本少額短期保険協会によると、今年3月末の時点で加盟社は97社。契約件数は753万件、収入保険料は923億円にのぼる。

「99歳まで更新できる死亡保険もあります。コンサートを“ドタキャン”したときでも、チケットぴあで購入した国内の公演であれば代金の一部が戻ってくる『チケットガード』というものも。人気のペット関連の保険では、飼い主が死亡した場合、ペットを託す身内に死亡保険金を支払うタイプも出てきました。ただし、ペット保険は損害保険会社が販売しているものもあるので、各社の保障内容をよく比較しましょう」

そんな「ニッチ保険」を紹介。

■レスキュー費用保険(日本費用補償少額短期保険)

登山やアウトドアスポーツなどで遭難した際、300万円まで捜索救助の費用などを支払う。保険料:年額4,000円。

■チケットガード(AWPチケットガード少額短期保険)

急な病気やけが、突然の出張などでコンサートをキャンセルしたとき、チケット代を補償。保険料:チケット代金による(7,000円のチケットの場合690円)。

■ペットのお守り(アスモ少額短期保険)

飼い主が死亡、入院したとき、ペットを託せる身内に死亡保険金、入院日額を支払う。死亡保障金100万円〜、入院日額5,000円。保険料:死亡保障金100万円の場合、50歳女性で月額1,487円。

■あんしんペット保険(楽天少額短期保険)

通院、入院、手術に対してかかった費用の70%補償(Mプラン)。年間支払い限度額70万円、免責金額1万4,000円、支払い限度回数は無制限。保険料:「Mプラン」の場合、月額猫(0歳)740円〜、犬(小型犬2歳)840円〜。

■げんきナンバーわんSlim(ペット&ファミリー少額短期保険)

通院、入院、手術に対してかかった費用の70%補償(プラン70)。年間支払い限度額70万円、免責金額3,000円、支払い限度回数は無制限。保険料:「プラン70」の場合、月額猫(1歳)1,390円〜、犬(1歳)1,530円〜。

■SBIいきいき少短のペット保険(SBIいきいき少額短期保険)

通院、入院、手術に対してかかった費用の70%補償(プラン70ライト)。年間支払い限度額70万円、免責金額7,000円、支払い限度回数は無制限。保険料:「プラン70ライト」の場合、月額猫(0〜2歳)910円〜、犬(0〜2歳)980円〜。

保険料の安さに加入を即決したくなるが、注意しておきたい点も。

「まず、支払う保険料が保険料控除の対象にならないこと。医療保険やがん保険は介護医療保険料控除の対象になり、所得税の控除が受けられるので年末調整や確定申告で書類を提出しますが、少額短期保険は控除の対象になりません。また、少額短期保険会社は経営破綻したときに備えて、契約者を守り経営を安定させるため、一定の供託金を法務局に預けることが義務付けられています。生損保と契約者保護の仕組みが違うので、万が一のとき保険はどうなるのかは把握しておきましょう」

加入する前に、資料を取り寄せて条件をよく読むこと、複数の保険と比較することを忘れずに。