[チューリヒ/ベルン 31日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)のジョルダン総裁は31日、世界的な通商を巡る緊張の高まりでスイスフラン相場は影響を受ける可能性があるとし、全面的な通商戦争が勃発すればスイスは最も大きな痛手を受ける国の1つとなるとの見方を示した。

ジョルダン総裁はベルンで行った講演で、関税引き上げを受け消費者の間で物価がじりじりと上昇していくとの見方が広まれば、中央銀行はインフレリスクの回避に向け金融政策を引き締めざるを得なくなると指摘。ただインフレが安定的に推移していれば、経済が成長減速に直面するなか、中銀は景気刺激に向け金利を引き下げることもできるとの見方も示した。

そのうえで、スイスフラン相場は通商を巡る緊張の高まりの影響を受ける可能性があると指摘。ただ「通商戦争が勃発した際、スイスフランは安全通貨と見なされるのか、それとも規模が小さく開放的な経済を持つスイスは世界貿易の縮小に特に大きな影響を受けるとして下向き圧力にさらされるのか」とし、スイスフラン相場がどのような反応を示すのか予測するのは難しいとの考えを示した。

米国はこれまでに中国からの全輸入のおよそ半分に相当する2500億ドル分に制裁関税を発動。中国も報復措置として、米国からの全輸入の約85%に当たる1100億ドル分に制裁関税を課している。

ジョルダン総裁は先行き不透明感の高まりでこれまでのところスイスフラン相場に持続的な影響は出ていないとしながらも、「通商戦争が勃発すれば状況は変化する可能性がある」と指摘。「すべての国が世界的な通商戦争によるマイナスの影響を受けるが、スイスのように規模が小さく、かつ開放的な経済を持つ国は最も大きな痛手を受ける国の1つとなる」と述べた。

そのうえで、現在のように緊張が高まっている状況下では金融政策運営が一段と困難になっているとの認識も表明。「少なくとも市場状況の変化に経済が調整している間は、金融政策上の誤りを犯す公算は大きくなる」と述べた。

ジョルダン総裁は講演後の質疑応答で、スイス中銀は近くバランスシートの規模縮小に着手する必要はないとの考えを表明。

バランスシートは「将来的にもなお重要な政策ツールとなる」とし、「バランスシート規模が非常に近い将来に縮小されるとは予測されていない」と述べた。