その計算、男は何故見抜けない!? ボディタッチの強弱で人を操る、“ソフトタッチ”をするあざとい女
世の中には、なぜか“女に嫌われる女”というものが存在する。
女がその女の本性に気づいても、男は決して気づかない。それどころか男ウケは抜群に良かったりするのだ。
そんな、女に嫌われる女―。
あなたの周りにもいないだろうか?
明治大学卒業後、丸の内にある証券会社に勤務する高橋太郎(28)は、ただいま絶賛婚活中。
さまざまな女性と出会う中で、太郎は女友だちから「見る目がない」と散々ダメ出しを受ける。
最近、太郎は気がついたことがある。
毎回、可愛いと思う子に限って裏の顔があり、あまり興味のない女性に限って意外に性格が良い、ということに。
そんなジレンマに陥っている太郎を心配し、仲の良い女友達が食事会を開催してくれることになった。そして太郎は既に心に決めている。
-もう、惑わされない、と。
◆
「へぇ〜太郎さんって、ランニングが趣味なんですか?」
女友達が開いてくれた食事会で、太郎の隣に座る里恵は、なかなか可愛い子だった。そして太郎の話を一生懸命聞いてくれている。
「そうなんだよね、里恵ちゃんは?」
「私はジムで走る程度ですが、本格的にランニングを始めたいなぁと思っていて」
里恵は 一生懸命、ランニングの知恵を振り絞って会話を広げ、これから距離を縮めようとしている。
-この子、サッパリしていて、話しやすくていい子だなぁ。
太郎が里恵に対して好感を持ち始めた時だった。
「あ、ごめん!今、蹴っちゃった?」
テーブルの対面に座っていた由梨加。
彼女の脚が、テーブルの下で太郎の脚とぶつかってしまったのだ。
“ペタペタ”と“ベタベタ”の違いはどこにある?
ソフトタッチの女王・現る
「え?全然大丈夫だよ」
太郎は里恵との会話を一旦中断し、由梨加に丁寧な返事をする。目の前に座る由梨加も、里恵に負けず劣らずの可愛い子だ。
「太郎ちゃん、ごめんね♡あ、メニュー取ってもらってもいい?」
可愛らしい笑顔で、急にタメ語でメニューを要求する由梨加。
そんな由梨加に押され気味になりながらも、“もちろん”と太郎が由梨加にメニューを渡そうとした時だった。
またうっかり、指と指がぶつかってしまったのだ。
「あ・・・ゴメン!」
「いや、こちらこそ」
微妙な空気が流れつつも、不覚にもニヤついてしまった太郎がいた。
「太郎ちゃんって、どういう子がタイプなの?」
そして気づけば、里恵がお手洗いに立った隙に、太郎の横には由梨加が座っていた。
「優しい子、かなぁ。由梨加ちゃんのタイプは?」
「私も優しくて、ちょっとガッチリしている人がいいかも。太郎ちゃんは、何かスポーツしてた?」
学生時代にサッカーをしていたくらいだが、最近筋トレにはまっており、一応身体は鍛えている。
「筋トレしてるの!?太郎ちゃん、細く見えるのに」
由梨加はそう言いながら、太郎の腕を触ろうとする。
しかし女子によくある“ベタベタ”触ることはなく、軽く“ポンポン”っと太郎の上腕二頭筋あたりを触り、 “ふ〜ん”とだけ言うと、 手をパッと離した。
食事会でよくある“ベタベタ”と触られるかと身構えていた太郎は、少しだけ肩透かしを食らった気分になる。
距離間は妙に近く、見た目や話し方は女の子らしさ全開だが、実際はそうでもないのだろうか。
「本当だ。太郎ちゃんって意外に、筋肉があるんだね。それより太郎ちゃん、飲んでる?さっきまで里恵と話していたのに、なんか割り込んじゃってごめんね」
急に会話を変えてきた由梨加に、慌てて現実に戻る。
「いや、全然大丈夫だよ」
すっかり由梨加のペースに振り回されてはいるものの、二人で楽しく会話をしている時だった。
「私、ちょっとお手洗い行ってくるね」
そう言って、太郎の肩にふわっと手を置いて颯爽と化粧室に立った由梨加。
その時間、約3秒。
そんな一瞬なのに、由梨加が肩に置いた手に、不覚にもドキッとしてしまった。
そこも計算だったの!?呑気な男性は全く気がつかない女の裏の顔
「太郎さん、さっきの食事中に、完全に由梨加の計算に引き込まれましたね」
食事会が終わり、2軒目へ移動しようと皆で歩いている時だった。最初に話していた里恵が、ススーっと太郎の隣に寄ってきたのだ。
「え?け、計算?」
太郎は、今一度さっき参加していた食事会を思い出す。
由梨加が計算高い女には思えないし、不自然なところなんて何もなく、むしろ好印象しかない。
「・・・というか、そもそも由梨加ちゃん、計算とかしてた??」
どう考えても、由梨加の計算高さが見えてこない。むしろ、ちょっと距離が近くて嬉しかったくらいだ。
そう素直に伝えると、里恵は大きなため息をついた。
「本当に、男性って女性の計算とか見抜けないんですね」
「そもそも、机の下で足をぶつけてきたのもワザと気を引くためですよ。それにメニューを貰う際も、手を触れてきたのは意図的ですし」
「え?どうして蹴らないといけないの?」
太郎には、意味が分からなかった。足がぶつかるのは偶然だろう。そんなことをして、何の意味があるのだろうか。
「よっぽど、太郎さんと話したかったんでしょうねぇ」
益々理解ができぬまま、太郎は曖昧に頷く。
「そもそもボディタッチだって、太郎さんにしかしていない。つまり完全に計算して、触る相手を見極めている、ってことですよ」
由梨加の左隣にはもう一人、佐伯という男がいたのだが、佐伯には全くお構い無しで、ノータッチ。
そう言われ、太郎はふと考える。
-触られると言うことは、少なからず好意を持たれているということなのか・・・!?
つまり由梨加は、太郎に好意があったと捉えて良いのだろうか。そう思うと、途端にテンションが上がってきた。
しかし再び里恵と目が合い、太郎はニヤついていた顔を慌てて戻す。
「太郎さん。見え透いたボディタッチをする女はもう古くて、今時のあざとい女子は、さりげなく、一部を“ふわっ”と触るんです」
-ふわっと!?
言われてみれば、由梨加は見え透いたボディタッチでもなく、あくまでも自然だった。
だからこそ、そこに計算など見えなかったのだ。
「しかも“あ、ごめんなさい。触っちゃった♡”なんて台詞も、 “普段はこんなボディタッチなんてしないんですけど、あなたは特別です”っていうアピールのためなんです!」
里恵の話を聞いているうちに、太郎はもはや何が計算で何が素なのか分からなくなってきた。
「でもさ、その見極めって難しいよね・・・しかもそれが可愛い子からだったら嬉しいし、ベタベタされている感じもなかったから・・・」
ボソボソと話す太郎に対し、里恵は再び大きなため息をつき、納得いかない様子だ。
しかし、世の男性は大多数が女のボディタッチの強弱や見極めなど気がついていない。
ボディタッチが嫌いな男もいるが、さりげなく、自然に触られるのは大歓迎である。むしろちょっと触られることで、テンションすら上がっている。
「ソフトタッチをする女って、やっぱりモテるんですね〜。しかし、そんな簡単なテクニックで、男性は簡単に落ちるんですねぇ」
僕の話を聞きながら、ブツクサと呟いている里恵。
「もう、惑わされない」と決めたものの、女性の巧妙さに、またしてもやられてしまった太郎であった。
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人のダイエットを邪魔してくる女