レアル・マドリー監督就任から約4ヶ月で解任となったフレン・ロペテギ氏【写真:Getty Images】

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「ロシアW杯を捨ててまで来たのに…」

 現地時間29日、レアル・マドリーは正式にフレン・ロペテギ監督の解任を発表した。リーグ戦10試合を終え9位と好成績を収めることができず、就任からわずか4ヶ月で指揮官の座を退くことになったのである。そんなロペテギ氏は今、何を思っているのだろうか。今回フットボールチャンネルでは、解任されたロペテギ氏が胸に秘めているであろう5つの言葉を勝手に代弁し、紹介する。

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 2016年にスペイン代表監督に就任したフレン・ロペテギ氏。その後はチームをうまく作り上げ、ロシアワールドカップ出場権をもたらすなど、好成績を収めた。

 もちろん、ロシアW杯本大会にも指揮官として出場することが濃厚だった。しかし、スペインサッカー連盟がロペテギ氏との契約を2020年まで延長していたにも関わらず、同氏は突如、レアル・マドリー監督就任を発表したのだ。これにスペインサッカー連盟が激怒し、ロシアW杯開幕前日というタイミングでロペテギ氏を解任したのである。急遽、フェルナンド・イエロ氏が代表監督に就任したが、スペイン代表はロシアW杯でベスト16敗退に終わるなど、低調なパフォーマンスに終始した。この結果、批判の的は選手のみならず、ロペテギ氏にも向けられる形となったのだ。

 スペインサッカー連盟、そして選手からの信頼も失った中でマドリーの監督に就任したロペテギ氏だが、それからわずか4ヶ月あまりでの解任となってしまった。ロペテギ氏は思っているだろう、「ロシアW杯を捨ててまでマドリーの監督に就任したのに…」と。

「C・ロナウドの移籍で得た約100億円って…」

 ロペテギ氏率いるレアル・マドリーが低迷した一つの理由に、深刻な得点力不足が挙げられる。今夏にクリスティアーノ・ロナウドがユベントスへ去ったことにより、最大の得点源が不在となったのが、やはり大きかった。そして、同選手の代役を確保できなかったのも、ロペテギ氏にとっては痛かった。

 マドリーがC・ロナウドの移籍によって得た額は1億ユーロ(約130億円)と言われている。そのような大金があるならば、同選手に代わる大物選手の獲得も、そう難しくはなかったはずだ。しかし、マドリーが今夏に獲得したのはティボー・クルトワ、アルバロ・オドリオソラ、マリアーノ・ディアスの3名である。クルトワは正GKとして活躍しているが、他の2名は控え扱いだ。当初はエデン・アザールの獲得も噂されていたが、それも実現はしなかった。

 ロペテギ氏からすれば、求めていた補強でなかったことは明らかだ。「C・ロナウドの移籍で得た約100億円って何に使ったの?」。同氏は大きな疑問を抱いているに違いない。

「僕のスタイルわかっていたでしょ?」

 レアル・マドリーのこれまでの強みはやはり「カウンター」だった。もはやこの強度は世界でもトップクラスのものがあり、「世界一美しいカウンター」と評されたこともあったのだ。

 しかし、ロペテギ氏が重んじるのはそれではなく「ポゼッションスタイル」である。もちろんスペイン代表監督の頃からそのスタイルは変わっていないし、マドリーというクラブの監督に就任してもそれを変えるなど考えていなかったはずだ。事実、マドリー指揮官就任からまもなくして、ロペテギ氏はチームに「ポゼッションスタイル」を植え付けた。

 そして、結果的にポゼッション率は著しく向上した。それと比例して成績は落ちた。やはりレアルにポゼッションスタイルは不向きだったのである。ただ、クラブのフロント陣は“それ”をわかった上で就任をお願いしたはずであり、長期的なプランを立てなければならなかった。だからこそロペテギ氏は「僕のスタイルわかっていたでしょ?」と思っているはずだ。

「ジダンみたいなカリスマ性があるわけないじゃん」

 昨季、レアル・マドリーはクラブのレジェンドでもあるジネディーヌ・ジダン氏に率いられて前人未到のチャンピオンズリーグ3連覇を果たした。もちろん同氏は、現役時代も数多くの人々を魅了し続けたスーパースターである。それは監督という立場になっても変わらず。選手のみならずサポーターにも多くの影響を与えるなど、驚異的な「カリスマ性」を持っていたのだ。

 しかし、ロペテギ氏にはそれがなかった。それに加え、ロシアW杯直前のスペイン代表監督解任の問題もあり、同国代表メンバーからの信頼も厚かったとは言えない。マルセロらマドリーに所属する他国の代表選手ですら、その件をどう捉えていたかはわからない。「ジダンみたいなカリスマ性があるわけないじゃん」。ロペテギ氏がこんなことを思っていても不思議ではない。

「だってC・ロナウドがいないから…」

 先にも述べたように、今季のレアル・マドリーは深刻な得点力不足に陥っている。クリスティアーノ・ロナウドが不在となったことが一番の原因ではあるが、カリム・ベンゼマやギャレス・ベイルが期待に応える活躍を見せられていないのも、一つの理由である。

 上記した2人はシーズン序盤こそ好調を維持していた。が、時間が経てば経つほど、パフォーマンスは落ちていったのだ。昨季までは、これらの選手が不調でも、C・ロナウドという大器がいたため、深刻な得点力不足には決してならなかった。しかし、今季はその「大器」がいないのだ。マルコ・アセンシオやマリアーノ・ディアスも、相手ゴールを脅かすような存在ではない。

 得点力不足を度々メディアに取り上げられた新生マドリーだが、ロペテギ氏はこう思っているだろう。「だってC・ロナウドがいないから…」と。

text by 編集部