日テレ・ベレーザの宮澤は開幕戦から存在感を発揮。シーズンを通じた活躍で4連覇と二冠達成に貢献した。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 2018プレナスなでしこリーグ1部は、最終節を残して日テレ・ベレーザが優勝を収めた。
 
 今季はリーグの最終節と皇后杯JFA第40回全日本女子サッカー選手権大会を残すのみだが、2018年を振り返ると、U-20女子ワールドカップでU-20日本女子代表が優勝を収めるなど、若手選手の国内外での活躍がめざましいシーズンだった。

 
 日テレが達成したプレナスなでしこリーグカップとリーグ戦の二冠という偉業にも、若手の活躍は欠かせなかった。左右のサイドバックで日テレのリーグ最少失点(17試合で6失点)に貢献したMF宮川麻都、リーグカップで8得点を決めて得点王となったFW植木理子、リーグ開幕戦のデビュー戦で鮮烈なゴールを決めたFW宮澤ひなたは、シーズンを通してハイパフォーマンスであった。それぞれの持ち味を十分に発揮するこれらの若手選手は、日本で最も熾烈なポジション争いがあるチームの競争にさらなる拍車をかけ、他を寄せ付けない日テレの強さを形成していった。
 
 INAC神戸レオネッサも新人のDF牛島理子がリーグ後期から試合出場時間を伸ばし、堅実なプレーでチームのなでしこリーグ準優勝を支えた。
 
 リーグ1部2年目でクラブ史上最高の3位となったノジマステラ神奈川相模原は、早稲田大から新加入したボランチのMF松原有沙がここまでリーグ全試合に出場しており、早くもチームに欠かせない存在となっている。
 
 浦和レッズレディースは、シーズン途中で監督交代となったが、DF南萌華がリーグデビューを飾ってCBで試合出場を続け、代表チームやユースチームでCBだったDF高橋はなは、トップチームでFWとして出場し、勝点3をもぎ取る貴重な得点も挙げている。
 
「これまで日テレ・メニーナやベレーザの練習と試合で、なでしこリーグの速くて強いプレーを経験しながら学んできた」とは、宮川の言葉だ。先述したように、夏にはU-20日本女子代表が世界一に輝いたが、いくつかの選手は、それ以前からなでしこリーグでレギュラーを掴んでおり、なでしこリーグでの日々の研鑽がU-20日本女子代表の世界一につながったとも言える。
 
 宮川に限らず、今回名前を挙げたこれらの選手たちは、各チームのスーパーサブではなく、位置づけとしてはすでに重要な主力としての役割を担っていることが大きい。それを選手自身も自覚しているため、責任感のあるプレーにつながっているのだ。
 
 次節のリーグ最終節を終えると、11月11日には鳥取県でなでしこジャパンが国際親善試合・ノルウェー女子代表戦を迎える。
 
 通常より多い28人の代表メンバーの中には、U-20日本女子代表から4人(南萌華、長野風花、宮澤ひなた、遠藤純)が選ばれた。これは「(U-20日本女子代表から)女子ワールドカップに何人か連れて行くつもり」と話した、なでしこジャパン高倉麻子監督のチーム内競争をさらに加速させようとする狙いがあるはずだ。植木も今回の代表メンバー入りが有力視されていたが、脳震盪と左上顎骨骨折によって見合わせたと見られる。植木以外にも、今季のなでしこリーグで存在感を示した選手には、来年の女子ワールドカップメンバーに滑り込む可能性が十分にある。
 
 鳥取でのノルウェー戦でスタメンを勝ち取り、既存の主力クラスを驚かせるくらいの貪欲で積極的な若手のプレーに期待したい。
 
取材・文●馬見新拓郎(フリーライター)