昨年のFIA-IDCの場で白煙を挙げながらドリフトをする川畑さん

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自動車を横に滑らせながら走らせる「ドリフト走法」の世界チャンピオンを決定する、都内で唯一の世界自動車連盟公認競技「FIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップ」が11月3日と4日、東京・お台場の特設会場で行われる。

【写真を見る】先日SHIBUYA 109で行われたPRイベントで、愛車の横に立つ川畑さん

ちょっと興味はあるけれど、いったいどこを見えればいいのかわからない方のために、大会主催者であるサンプロスの斎田社長と、選手で昨年の世界チャンピオンである川畑真人さんに大会の見どころ、楽しみ方を伺った。

■ エンターテイメントの要素が強いのでイベントそのものを楽しんで

ドリフト競技は、ドリフト姿勢の美しさ、正確さを点数で競う『単走』と、2台の車両が走行し、先行車両に対して後続車がどれだけ接近したかを見る『追走』の2種類が行われる。いずれも採点競技なので初めて見る人には、どこで勝負がついているのかわかりにくいかもしれない。

プロモーターである斎田さんは「ドリフトは主観競技なので、パッと見ただけでは判断がつかないと思います」とドリフト競技の難しさを認識しつつも「そのため実況や解説の人たちの声がスタンドで聞こえるようにしています。そこが他のモータースポーツと大きく異なるところですし、一箇所でスタートからフィニッシュまで見ることができます。結果としてエンターテイメントの要素がとても強いので、初めての方でも楽しめると思います」と、イベントそのものの雰囲気を楽しんで欲しいと語る。

■ 今年のコースはズバリ「ハイスピード」

コースは昨年とは大きく変わった。斎田さんは「今回のコースはズバリ「ハイスピード」です。昨年は早めにターンをする加速重視のコースレイアウトで、車両性能に依存する形でした。ですが、今年はまず自動車競技では一番難しいブレーキングから入ります。去年はクルマがある程度できていたら、ある程度は形になったのですが、今年は失敗したら壁にぶつかるか、ふらつくという問題がおきます。ですので去年に比べて遥かにハイテクニックが必要になります」という。スタート地点から最初のコーナーまでの距離は約190メートルしかないのだが、現在の競技車両では、190メートルあれば時速200km/h近くまで加速してしまうという。それでは危ないので120km/h〜130km/hでコーナーに侵入するよう、スタート地点の位置を調整するそうだ。

とはいえ、運転手からしたら垂直に切り立った壁に向かって加速をしていくという恐怖との戦いにもなる。川畑さんも「今年はスピードが出るところからの侵入というのが、クルマのトラクションの差や運転技量の差が出やすいと思います」と、最初のコーナーが鍵を握るとの認識であった。

■ どこの席で見ても面白い!その中でのオススメは?

そのような難コース。どの席で見るのがよいのだろう。斎田さんは「スタジアムのように作っていますので、どこで見ても面白いように作っています。たとえばメインストレートの正面からみたら「こんなスピードで曲がるのかな?」と思われうことでしょう。いっぽうで、個人的に僕が好きなのは向こう正面でして。クルマを目で追うと背景がものすごいスピードで流れますから、ものすごいスピード感があってカッコいいのですよ。ですので、私個人でチケットを買うならEスタンドを買いますね(笑)。でも何処で見ても面白いと思いますよ」

川畑さんは「特設コースなので、全てが見渡せるのでどこの席でもオススメかと」と前置きをしたうえで「B、C、Dが見やすいかと思います。どこから見ても、接近戦が見られると思います」と話をしてくれた。その中で「スタートの駆け引きを見て欲しいです。多分巨大モニターでスタートが見られると思うので、その差がどういった形でフィニッシュラインまで行くのか、というのがわかりやすいかと思いますよ」と、選手から見た観戦ポイントを教えてくれた。

■ ズバリ!注目の選手は? 誰をマークしている?

今大会では世界各国から選手が集まる。答えづらい質問とは思いつつも注目している選手について両名に伺った。斎田さんは「正直、誰が上手い下手というのはわからないんですよ。日本の選手は昔からやっているので技術力はあるとは思うのですが、海外の選手の方が持つセンスがそれらを上回るかもしれない。もちろんコースの得意不得意や選手や車両のコンディションなどもあるでしょう。本当にやってみないとわからない。そこが国際競技の面白さだと思います。例えば鈴鹿でF1をやっていますが、長年走ってるはずの日本人選手が必ずしも優勝するわけではないですよね。世界のトップドライバー達は僅かな練習走行でコツだけでなくセットアップを決めてくる。それはどんな世界でも同じです。」という。

いっぽうの川畑さんも「世界のドリフトのレベルはどんどん上がっているので、彼らに負けないように勝ち進みたいと思います。特にロシア勢はすごく強いので、全力で戦いたいなと思います」とロシア勢をマーク。静かに闘志を燃やしていた。

■ クルマのすぐ近くまで行ける!選手と触れ合える

さて、レース以外に、このイベントはどのような楽しみがあるのだろうか。最後にお二人に伺ってみた。斎田さんは「出展エリアには自動車会社の新車を見ることができますし、自動車のパーツもあったりします。ステージイベントなどがあります。グッズもそれほど高価なものはないですし、あと女の子も多いですね(笑)。またピットエリアにも入りやすいのも他のモータースポーツイベントとは大きく異なるところです。いらっしゃった方はクルマを見たりドライバーとお話がしたいですよね。ですので、いつでもクルマとドライバーと近い場所に行けますし、ドライバーのサインを貰えるというのも容易にできますよ」と、選手とのコミュニケーションが容易であることを訴える。その選手である川畑さんも「他の選手との距離がとても近いのが、他のモータースポーツと大きく異なるところですよね。自分がピットの前に出ている時は、どんどん声をかけて欲しいですね」と、笑顔で話をしてくれた。

「初めて見る人には、2台走るクルマのどっちがいい点数だったかとかは気にしなくていいと思います。街を走る乗用車が横を向いて走るという不自然な動きというのを単純に楽しんで頂きたいです。見ていると目を惹くところあると思います。スピードと角度を楽しんでください。強いて言うなら速くて角度をつけている人が上手い人ですので、そこを見定めていただければと思います」と最後に見るポイントを改めて教えてくれた。

お台場で行われるモータースポーツの世界大会「FIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップ」。11月3日・4日は世界レベルの戦いを見に足を運んではいかがだろう。(東京ウォーカー・栗原祥光)