藤原竜也

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 藤原竜也といえば、舞台、ドラマ、映画のすべてで主役を張るオールラウンドプレイヤーだ。およそ21年前、奇才の演出家・蜷川幸雄(故人)さんに弱冠15歳で見出された、蜷川イズムの継承者だ。そんな藤原が、役者というペルソナをかなぐり捨て、きわめてフラットな状態でカメラに映され続けたのが、4年前に放映された『藤原竜也の一回道』(テレビ東京系)である。

 男性スタッフから移動車内でインタビューされ、ユルりと下車。街ブラ。食レポ。一流俳優らしからぬ体験をさせられたドキュメント番組だった。それが、今クールに復活。装いも新たに『藤原竜也の二回道』(同)となって再スタートを切っている。

 ちなみに前回は、車内で生着替えをして、股間部を藤原の顔写真で隠すというお笑い芸人さながらのシーンがあった。ほかにも、スタッフと駐車場で短距離走をしたり、頭上から振り落とされた竹刀を両手で阻止することができず、脳天を命中させたり。世間が抱くイメージとかけ離れたものだった。

 そして迎えたセカンドシーズン。我らが竜也は、期待を裏切らない。のっけから、「おもしろいことしないよ」、「無理」、「遅せぇな」、「早く行って」、「嫌だ」、「面倒くさい」と、ネガティブ発言を連発。気心知れた堤智志プロデューサーは、藤原の横に座って小型カメラを回し続けるが、藤原は彼がプランした他局の『7つの海を楽しもう!世界さまぁ〜リゾート』(TBS系)をチェックしているようで、ラクして番組を作ったことを理由に、「反省しなさいよ」と説教。その前提を踏まえ、「今回はちゃんとした内容にしてもらわないと、僕、何にもやりませんよ」とプレッシャーをかける。藤原なりに、テレ東のドラマ枠、深夜帯、自分だけが出演する30分番組という重責を感じているようだ。

 堤Pを、「おまえ」、「何度もメシ食ってるとき」と言ったことから、2人はかなり近い距離感であることがわかる。だからこそ止まらない徹底“口撃”。番組は今回のために、4Kの新機材を取り揃え、藤原の一挙手一投足はすべて4K映像で届けられる。さらに、BSジャパン、ひかりテレビでもオンエアされる。そのため、セカンドシーズンを迎えるにあたって、さまざまな新番組名が候補に挙がったという。

 『窓から日本を見てみよう』。『財布の中身をぜんぶ抜く』。『おねだり!!マスコット』。『のみすぎ都市伝説』。『俺の番組』。『未知とのSo Good』。『アッコにおまかせ!』。真面目にふざけるテレ東。藤原が所属するホリプロつながりで、和田アキ子の名前まで、しかも他局のTBSまで堂々とパクろうとしている。

 ここから3か月。我流のテレ東と天才俳優は、どんな化学反応を起こすのか。

(伊藤雅奈子)