ベネズエラ戦で活躍を見せた侍U-23代表・原澤(右)と堀内【写真:Getty Images】

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社会人・SUBARUの原澤が2安打3打点の大活躍

 コロンビアで行われている野球の23歳以下の世界一を決める「第2回WBSC U-23ワールドカップ」は26日(日本時間27日)、スーパーラウンド第2戦が行われ、大会連覇を狙う日本はオープニングラウンド全勝対決となったベネズエラを6-3で下し、28日(同29日)に行われる決勝進出を決めた。

 日本は初回に3点を失ったが、序盤で試合を振り出しに戻したのは、6番指名打者として今大会初めてスタメン起用された原澤健人内野手(SUBARU)だった。まずは初回、2死満塁のチャンスで左前2点適時打。1点差に迫ると、2打席目の3回にも1死三塁のチャンスで右翼線への適時二塁打。3-3の同点で迎えた8回にも1死二塁のチャンスで打席が回り、2ボールとなったところで相手バッテリーは敬遠を選択。1、2打席目の結果が終盤で相手にプレッシャーを与え、結果的に堀内謙伍捕手の決勝3ランを呼び込んだ。

「緊張したけど、毎試合準備はしているので、いつも通りいけた。チャンスだったので思い切って初球から振っていこうと思って打席に入った。(3回も)1打席目にいい形で打てたので、自分が勢いをつけようと思った。結果的にいいところに飛んでくれた。控えが少ないので疲れもあるが、自分がカバーでき、チームに少しでも貢献できて嬉しい」

 オーストラリア人の父を持ち、長打力が売りの原澤は、前橋工時代は甲子園出場こそなかったが、高校通算17本塁打。東洋大では1年時から試合に出場し、4年時には明治神宮野球大会の準々決勝・富士大戦で大会史上8人目となる1試合2本塁打を記録し、4強に進出。だが、大学時代はリーグ戦で思うように結果を残せず。プロ入りは叶わなかった。

「高校まではまずまず結果を残したが、大学では打てなかった。まったく打てなかった。社会人でこうやってチャンスをもらえて、もう1回(プロを)目指せる位置にいる。大学の時と同じ失敗をしないようにしたい」

 今大会のメンバー24人のうち19人がプロ選手。社会人からプロを目指す原澤には、NPBの選手に負けられないという思いもあった。

 稲葉篤紀監督は「(初戦から指名打者で出ていた)宮澤の状態が良くなくて、疲れもちょっと出ていたし、非常に悩んでいる状態だったので、昨日コーチミーティングをした時に原澤にしようと決めた」と、原澤のスタメン起用の理由を明かし「打撃練習でもシャープに、コンパクトに打っていたので、何とかやるんじゃないかなと思った。今までずっと(先発では)出ていなかったので、燃えてくるものがあるんじゃないかというところに賭けた。非常によく打ってくれた」と、期待に応えた原澤の活躍を喜んだ。

 連日、日替わりでヒーローが飛び出すU-23日本代表。この日は主役の座こそ堀内に譲ったが、原澤の序盤の3打点があったからこその、日本の逆転勝利だった。(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)