ベルテンス戦で途中棄権となった大坂は涙を流した【写真:小林 靖】

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涙の棄権後、ベルテンスと抱擁、会場にスタンディングオベーションが起こる

 女子テニスのツアー最終戦、WTAファイナル(シンガポール、DAZN独占生中継)は26日、1次リーグ第3戦の世界ランク4位の大坂なおみ(日清食品)がキキ・ベルテンス(オランダ)戦で第1セットを3-6で落とした後に途中棄権。3戦全敗で敗退が決定した。試合後は涙を流し、ベルテンスと抱擁。会場から総立ちでスタンディングオベーションが送られたシーンをWTAが動画付きで公開し、海外ファンに「早く復帰してナオミ」「テニス界にはあなたが必要」とエールと感動が広がっている。

 夢のWTAファイナル、最後の景色はゆがんで見えた。第1セットを終えるとベンチで涙を流し、棄権を宣告。これが敗戦とともに敗退を意味することは理解していた。自然とこみ上げるものがあった。だから、2戦連続2時間超の死闘を経て、テーピングを巻いて挑んた一戦。そんな奮闘した21歳を会場にいた誰もが称えた。

 すぐさま歩み寄ったベルテンスと抱擁。そして、涙をぬぐって主審と握手を交わした。勝ったベルテンスも配慮し、コートの中央に出て声援を受けず、大坂に歓声を向けた。すると、会場も総立ちとなって敗れた日本の全米女王へ拍手喝采。退場する様子をベルテンスも手を叩き、見守っていた。感動的なシーンだった。

 笑みを作りながら、声援に応えた大坂。まさかの結末となったが、WTAは「キキ・ベルテンスがWTAファイナルの準決勝に勝ち進んだ! ナオミ・オオサカは怪我のため棄権を強いられた」と公式ツイッターにつづり、一連の様子を動画付きで速報。すると、目の当たりにした海外ファンも勝者より大坂に言葉を向けていた。

大坂に向けられた労い「早く回復してナオミ。悲しいわ」

「悲しい。彼女にとって残念な大会となった」
「早く良くなってね、オオサカ。このシーズンの疲れを取って」
「早く回復してナオミ。悲しいわ」
「復帰することを祈る。チャンピオン、ナオミ・オオサカ」
「2019年はさらに力強くなってね」
テニス界にはあなたが必要。早い復帰を祈ってる」
「全豪OPでのあなたが待ちきれない」
「悲しまないで、ナオミ」
「早く治ることを願ってる」

 このように労いの声が相次ぎ、反響を呼んでいた。第2戦では左太ももを気にする仕草を見せ、「体が悲鳴を上げている」と明かしていた大坂。しかし、この日も強行出場し、一度はメディカルタイムアウトを取りながら再びコートに立ち、限界までプレーした。若き全米女王が示した姿は、3戦全敗の結果よりファンの記憶に残った。(THE ANSWER編集部)