by Rob Boudon

2018年10月26日、アメリカ議会図書館とアメリカ著作権局は「Exemption to Prohibition on Circumvention of Copyright Protection Systems for Access Control Technologies(アクセス制御技術のための著作権保護システムの迂回禁止に関する免除)」という裁定を発表しました。その中では、ビデオゲームの保存も公正使用としてデジタルミレニアム著作権法(DMCA)免除対象となる可能性が明確に示されていて、今後のゲーム保存活動にとって大きな追い風となりそうだと報じられています。

Exemption to Prohibition on Circumvention of Copyright Protection Systems for Access Control Technologies

(PDFファイル)https://s3.amazonaws.com/public-inspection.federalregister.gov/2018-23241.pdf

Copyright Law Just Got Better for Video Game History - Motherboard

https://motherboard.vice.com/en_us/article/zm9az5/copyright-law-just-got-better-for-video-game-history

今回の裁定は、航空機の電子制御ソフトから農機具診断ソフトに至るまで、アメリカ連邦法であるデジタルミレニアム著作権法のさまざまな免除対象について、85ページにわたって列挙したもの。この中ではビデオゲームについても言及されていて、「保存期間が合法的にビデオゲームのサーバーコードやローカルコードを所有しているという、比較的離散的な状況では拡大が認められるということを記録は示している。このような状況では、公正使用である可能性が高い」と述べられています。

海外メディアのMotherboardは「博物館やアーカイブスがゲームのオンライン認証を回避してもよい」とアメリカ著作権局が決定したことは大きな勝利だ、と評価。ハーバード・ロー・スク−ルのサイバー法講義の指導教員であるKendra Albert氏は「今回認められた免除は、2015年の法改正よりももっと広い解釈が潜在的に可能となっています」とコメントしています。



by Tarcil Tarcil

例えば、今回の裁定ではサーバーコードに言及していて、オフラインのゲームだけではなくオンラインゲームも公正使用における保存活動の対象となり得ます。オンラインゲームは、プレイヤーが自分のコンピューターで実行するソフトウェアだけではなく、サーバーで実行されるソフトも必要になります。これまでにも「Everquest」や「World of Warcraft」のようなオンラインゲームを保存しようという動きはありましたが、公式から独立してサーバーソフトを稼働させることは、過去にメーカーから訴訟を起こされたケースもあり、非常に難しいものがありました。今回のアメリカ議会図書館による裁定では、オンラインゲームの保存活動にも公正使用の免除が適用される可能性が高くなります。



by Joi Ito

ただし、この裁定は「完全な」ゲームだけを免除の対象としています。つまり、オンラインゲームを保存したいと考える人は、ゲームコードとサーバーコード両方のオリジナルを使用できるようにする必要があります。さらに、図書館や博物館など保存施設への物理的外部からの公共アクセスは許可されず、研究者や訪問者のみがプレイ可能であることが必要条件です。この裁定では、「World of Warclaft」のような「一度に何千人も同時アクセスしてプレイする」というMMORPGをアーカイブする意味が一部損なわれてしまう、とMotherboardは指摘しています。

また、オンラインゲームのサーバーコードのエミュレーションやレコーディングは、DMCAの免除対象ではなく、これまで通り違法となります。National Videogame Museumのディレクターであるジョン・ハーディー氏は「サーバーコードを保存している人はほとんどいないでしょう。今まで企業側が『はい、これがサーバーコードです』といって渡してきたケースなんて一切ありませんでした。サーバーコードは往々にして保存されないものです。十中八九、フォーマットされたり、サーバーと一緒に廃棄されてしまうものです」と語っています。

Albert氏は今回の動きについて「ビデオゲームの保存に関してはまだまだ法的な問題が山積みとなっていますが、今回の裁定はいくつかの曖昧な状況を解消し、ゲームの保存活動がより容易になりました。今回の勝利は、Museum of Art and Digital Entertainment(MADE)やThe Software Preservation Networkの保存活動が実を結んだものです。ゲーム会社のロビー活動団体であるEntertainment Software Associationは昔から免除に反対していましたが、常に正しいとは限らないのです」と語っています。