マルとハル。と呼び合う2人。結束は固い

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選手を支えるキラリと光る“最高のマネージャー”を発掘する連載。今回は「九州産業大学準硬式野球部」です。

【写真を見る】九州産業大学準硬式野球部マネージャーの王丸紗希さん(左) と古賀遥さん(右)

まだ少し暑さの残る10月初旬。朝7時から準硬式野球部が練習を始めている九州産業大学グラウンドで今回、主役のお二人、王丸紗希さんと古賀遥さんが出迎えてくれました。さっそく給水のためのお茶作りや道具の準備にとりかかる王丸さんと古賀さん。

「4年生の先輩マネージャーの方々が8月に引退されて、今は2人しかいないので、一緒に動いてしまうと仕事が偏ってしまうから、選手の行動を観察して何を求めているのか考えながら、一つでも多く仕事をするようにしてます」(王丸さん)

■ 2人だからできる事

マルとハル。と、お互いを呼び合う2人は共に人間科学部スポーツ健康科学科で学ぶ1年生。一足先にマネージャーを始めていた王丸さんに誘われる形で、古賀さんも入部しました。

「学科で仲良くなって、マルとだったら一緒に上手くやっていけるだろうな、と思いました。私は結構マイペースで、マルは結構せかせかしているので気付いたら私の仕事までやってくれている事もあります(笑)」(古賀さん)

テキパキと互いに仕事をこなし、2人が練習準備を整えた頃にはアップを終えた選手たちがグラウンドに入ってきます。監督が今日の練習の課題を告げ、学生コーチたちを中心にキャッチボールやバッティング練習が開始されます。王丸さんと古賀さんもグラウンドに入り、選手たちの練習をサポートします。

「硬式野球部は事務の仕事が多くて、グラウンドに一切入れないんです。自分はやっぱりグラウンドで選手のそばに居たいし、そっちの方が自分の中では“マネージャー”っていうイメージがあるので。『硬式じゃなくていいのか?』と監督さんに言われた時にも『いや、自分はグラウンドに入れる準硬で』と」(王丸さん)

■ 硬式でも軟式でもない準硬式とは?

硬式野球と準硬式野球の違いは、使用するボール。プロ野球などで用いられる硬式球の表面をゴムで覆った準硬式球が用いられます。見た目は軟式球でも中身は硬式球というイメージ。硬式野球よりも道具面での金銭的な負担は少なくすみながら、硬式野球と変わらないプレー感を得られるといいます。プロ野球選手を複数輩出し、リーグ戦や選手権大会も盛ん。学業とスポーツ、そしてキャンパスライフ全体を充実したものにしたい学生にとってふさわしい部活動となっています。

■ アクシデント発生!

この日、守備練習であるノックの最中にアクシデントが起きました。選手の1人が飛んできたボールを歯にあてて負傷。他の選手の練習は継続されるため、王丸さんはノッカーのサポートを、古賀さんが急遽アイシングをつくり選手のそばに寄り添います。グラウンド全体を見渡しながら練習を見守る、2人のチームワークが光る場面でした。

「ケガはつきもので、私は心配性なのでメチャメチャ心配にはなりますけど、そういう時はコッチが冷静になっとかなきゃ!と思います。選手が不安な時は助けてあげて、選手たちはみんな優しいので、逆にマネージャーのことも気にかけてくれます。『今日、元気なくない?』とか言ってくれます」(古賀さん)

■ マネージャーとしての『極意』『ひみつ道具』

《マネージャーの極意》

「選手の前では弱音を吐かない。笑顔を絶やさない。コミュニケーションが大切なので、選手からみても、先生方からみても接しやすい雰囲気づくりを心がけています」(古賀さん)

《ひみつ道具》

絆創膏・ティッシュ

「ケガとか、日常でも使うから。けして『女子力』とかではないです(笑)。夏だったらタオルとか経口補水液。いきなり熱中症になった時イイんですよね。自分も選手の時に飲んでたから」(王丸さん)

■ 王丸さん・古賀さんの『ここが最高!』

選手としての目線も知っているからこその気配り。

先ほど《ひみつ道具》の際に王丸さんが触れた通り、実は2人は高校時代にはソフトボールを選手としてプレー。さらに2人とも大きなケガも経験しています。その経験が今のマネージャー業に生かされています。

「自分が選手の時のマネージャーから『実は私たちも悩んでいた』と、引退してから聞いたんです。それは選手から見たら全然わからなくて。選手は勝つために一生懸命練習しているので、マネージャーの方に目がいかない時もあるんですよね。どちらかと言えば、マネージャーの方から動かなければならないから、自分の思いと選手の思いを埋めるように、選手を第一に考えて動かないとなぁ、と思ってます」(王丸さん)

■ 日本一のマネージャーになる

九州産業大学準硬式野球部は、先ごろの全日本大学準硬式野球選手権大会で準優勝。あと一歩のところで日本一を逃しています。

「日本一のマネージャーになりたい」(王丸さん)という目標のもと、「欠けてもらったら困る存在。マルは、心の拠り所です。私も彼女にとってそういう存在になりたいですし、大切な存在です」(古賀さん)

お互いを信頼しあう2人のマネージャーと共に九州産業大学準硬式野球部はさらなる高みを目指します!(九州ウォーカー・山本真己)