犬の膠芽腫の治療研究

犬のガン治療は、世界中で多くの研究が行われ、様々な治療法も開発されています。
その理由のひとつは、犬と人間の病気の治療には共通点が多く、人間の病気の治療への応用がしやすいということがあります。

ガンの中でも、治療が非常に難しい膠芽腫(こうがしゅ)と呼ばれる悪性の脳腫瘍があります。
犬の脳腫瘍というと、やや珍しいような印象を受けますが、人間の場合と比べて発生率が低いということはないのだそうです。
ただ、犬は言葉で症状を説明できないので、飼い主が気づいたときにはかなり進行している場合が多いこと、CTやMRIを使って検査をする機会が少ないこともあり、発見が難しいということです。

その膠芽腫について、アメリカのバージニア工科大学の獣医学部の研究者が、新しい治療方法の開発に取り組んでいます。

進行中の臨床試験

研究チームでは、開発した治療薬の臨床試験のために膠芽種を有する犬が登録されています。
そして、現在その中の1匹が試験的に治療を受けています。

治療を受けているのは、2018年初めに膠芽腫と診断された10歳のポーチュギーズウォータドッグのエミリーです。
普通の動物病院では、この攻撃的な脳腫瘍の治療は不可能か、又は選択肢がとても少ないのですが、飼い主さんは「希望があるのならどんなことでもやります。」と、臨床試験に登録したのだそうです。

治療薬は、脳の腫瘍に直接注射するため、健常な脳組織には損傷を与えることなく、ガンだけを攻撃します。

将来は人間の治療にも希望が

エミリーは、治療開始から6週間、脳腫瘍から来るてんかん様発作が起こっていません。
また、MRIスキャンではエミリーの腫瘍は順調に縮小していることが示されています。
研究者は、「腫瘍の細胞が死に至り、治療の目的は達成されています。これは本当に良いニュースです。」と語っています。

膠芽腫の診断後の生存期間の中央値は、およそ15か月と言われています。
そのようなガンにおいて、治療開始後の数週間でこの経過が見られることは、非常に大きな成果と言えるのだそうです。

犬における臨床試験の結果が、非常に有望であることから、国立衛生研究所が臨床試験のための資金を提供しており、最終的には人間の同じ病気の治療につながることが期待されています。

人間の膠芽腫は、2009年にテッド・ケネディ上院議員、2018年にジョン・マケイン上院議員の命を奪った脳腫瘍です。
著名な議員が闘った病ということもあり、膠芽腫が克服されるかもしれないというニュースは大きく期待されています。

まとめ

非常に治療が難しく、攻撃的な悪性の脳腫瘍「膠芽腫」の犬における臨床試験が、とても有望な結果を出しており、将来は人間の同じ病気の治療につながることが期待されているというニュースをご紹介しました。

ガンに限らず、他の慢性病や難病においても、犬のために開発された治療法が人間の同じ病気にも役立つ例はたくさんあります。
それは言い換えれば、犬の病気の研究に多くの資金や人材が注ぎ込まれ、注目されているということでもあります。

もちろん人間のために開発された治療法が、犬に応用されている例もあります。
「犬は人類の最良の友」というのは、たくさんの場面で使われ続けてきた言葉ですが、医療の世界においてもその通りだということですね。

《参考》
https://www.cbsnews.com/news/experimental-brain-cancer-treatment-in-dogs-could-one-day-help-humans-with-glioblastoma/