自衛隊初の国産ヘリ『OH-1』通称“ニンジャ” 極限まで追求された防御力・宙返りも可能にする機体構造…チート級の性能を解説

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 川崎重工業によって製造された陸上自衛隊初の国産ヘリコプターをご存知でしょうか。

 今回紹介するのは、Thunderboltさんが投稿した『ゆっくり魔理沙の自衛隊装備講座 第七回』という動画では、音声読み上げソフトを使用して、同人ゲーム『東方Project』の霧雨魔理沙(きりさめ まりさ)と博麗霊夢(はくれい れいむ)のふたりのキャラクターが、陸上自衛隊初の国産観測ヘリコプター「OH-1」の驚くべき機体性能について解説を行います。

ゆっくり魔理沙の自衛隊装備講座 第七回 陸上自衛隊初の国産ヘリ「OH-1」――愛称は「ニンジャ」!?

魔理沙:
 今回は自衛隊初の国産ヘリで、意外と変態装備とは認識されていないらしいOH-1だぜ。

霊夢:
 愛称は「ニンジャ」だけど、これは一般公募じゃないのね。川崎重工の製品だからってわけじゃないの?

魔理沙:
 それは置いといて、本題に戻るぜ。このOH-1はOH-6の後継として設計・開発されたヘリで、前述の通り川崎重工業製だぜ。

霊夢:
 1992年の計画開始から96年には初飛行という他に例を見ないハイスピードで開発された機体で、1997年度に制式化され実用試験の後、2000年度より量産機の配備が開始されているわ。

魔理沙:
 F-2戦闘機の時みたいなアメリカからの横槍を回避すべく、機体やエンジンなどの主要箇所の開発目処が立ってから計画が開始されたなんて話があるくらいだぜ。

霊夢:
 F-2は性能面はともかく、選定と開発の過程で色々あったから仕方ないかもね。

魔理沙:
 ATD-Xを基とする次世代機は是非とも二の舞にならないでほしいぜ。

霊夢:
 本当にね。

 「OH-1」は、他に例を見ないハイスピードで開発された機体。コメント欄では、「5年で制式化とか恐ろしいな」「要素研究開発はそのずっと前からしていたんだゼ。」といったコメントが寄せられました。

性能が評価され、権威あるハワード・ヒューズ賞を受賞!

魔理沙:
 で、OH-1だけど、偵察を任務とするため生存性を第一とした設計となっているのが特徴だぜ。

霊夢:
 まず、前面投影面積を小さくするためコックピットは攻撃ヘリに多いタンデム配置とし、胴体幅はほぼ1mとAH-1S並の細さに設計されているわ。

 乗員保護に関しても座席周囲の装甲化と風防を防弾ガラスとすることで、OH-6とは比べ物にならない防御力を有するわ。

魔理沙:
 乗員は操縦を担当する前席のパイロットと偵察機器の操作を担当する後席の観測員の2名。

 ローターマスト前部に可視光カメラ、赤外線カメラ、レーザー測距装置を一体化した索敵サイトを装備し、こいつで偵察活動を行うぜ。

霊夢:
 AH-1やAH-64等の攻撃ヘリでは機首に配置されているけど、OH-58D カイオワ・ウォリアみたいにローターマスト上についている機種もあるわね。高い位置ほど偵察時の隠密性は高くなるものの振動の影響が大きくなるという問題があり、一長一短だと言われているわ。

魔理沙:
 他に、操縦系や油圧系といった機体操作に必要な部分は全て二重化するなど、冗長性を持たせているぜ。

霊夢:
 固定武装はないものの、胴体両側の安定翼下のハードポイントに91式携帯地対空誘導弾を箱型の2連装ランチャーに搭載して左右1基ずつ計4発を装備できるわ。

魔理沙:
 次にメインローターだけど、グラスファイバー複合材を使用した四枚ブレードで12.7亠―特督度までの耐弾性を有するぜ。

 そして、変態装備を変態たらしめるのがローターハブの構造で、

 大多数のヘリと異なり継手が存在しないヒンジレスハブローターとすることで、普通なら墜落しかねない機動性能を獲得してるぜ。

霊夢:
 岐阜県各務原市の航空宇宙科学博物館でOH-1とOH-6のローター部分が共に展示されてるわ。

魔理沙:
 実物のローターハブを常時展示してるのは恐らくここだけだぜ。一度見に行ってみたいぜ。

霊夢:
 次はテールローターだけど、8枚のブレードが騒音を抑えるため不等間隔に配置され、低空飛行時の破損えお防ぐためダクテッド方式と呼ばれる機体埋め込み型の形状を採用してるわ。

魔理沙:
 ローターを駆動させるエンジンも変態性能の一翼を担うもので、三菱工業が設計・開発したTS1‐10ターボシャフトエンジンを双発で搭載してるぜ。

霊夢:
 ヒンジレスローターハブと強力なターボシャフトエンジンで垂直上昇、80度急降下、宙返り、後ろ向き宙返り、バレルロール【※】など、ヘリでは非常識なレベルの機動を可能としているけど、エンジン出力は「余裕の音だ、馬力が違いますよ」とまではいかず、そのまま重武装化として攻撃ヘリに転用と言うわけにはいかないらしいわ。

※バレルロール
航空機が空中で行う機動の一つ。横転と機首上げを同時に行うもので、仮想の樽の胴(バレル)をなぞるように螺旋を描く。

魔理沙:
 機動性能に関してもう少し解説するぜ。このOH-1、運動性能だけでなく空中静止の能力も優れていて、パイロットが両手を離しても自動でホバリングできる高度な制御システムを有するんだぜ。

霊夢:
 イベントではパイロットが両手を離して小さな国旗を振ってみせたりするわね。

魔理沙:
 あれって平然とやってるから大したことないと思うかもしれないけど、AH-1SやOH-6でやろうとしたら最悪次の日の新聞一面を飾ると思うぜ。

霊夢:
 じゃあ、その能力の一端を見てもらいましょう。

魔理沙:
 見ての通り、普通のヘリでは「やらない」と言うより「やれない」機動を平然とやってのけるのがこのヘリの真骨頂だぜ。

霊夢:
 この変態っぷりが評価され、アメリカに本部を置くAHS Internationalというヘリコプター関係者の権威ある国際的団体から、優れたヘリコプター開発者に贈られるハワード・ヒューズ賞を、OH-1の開発チームが受賞してるわ。

魔理沙:
 ちなみにこの賞、アメリカ以外の開発プロジェクトが受賞するのはOH-1が初だそうだぜ。

 アメリカ以外で初めてハワード・ヒューズ賞を受賞した「OH-1」。「そこにシビれる憧れる!」「凄いやんか」といった感想が寄せられました。また、「OH-1が良かったというより、短期間で上手に開発できましたという理由」といったコメントも。

「OH-1」の問題点とは?

霊夢:
 ではおまちかね(?)、いつもの問題点いきましょう。

魔理沙:
 まずは避けて通れない問題が調達価格で、OH-6が2億〜3億5000万円程と言われるのに対し、OH-1は19億〜25億円というべらぼうな価格のため、34機という少数で調達が終了しているぜ。

霊夢:
 元々はOH-6の置き換えを企図していたけど、対戦車ヘリコプター隊以外では特科の弾着観測などといった用途のためオーバースペックも甚だしく、結局、現在でもOH-6が運用されてるわ。

魔理沙:
 これだけど、対戦車ヘリ部隊専用の機体なんて予算が下りる訳ないから、全機更新を建前に対戦車ヘリ部隊の分だけを調達したなんて話を聞いた事があるぜ。

霊夢:
 ゴシップ的なうがった見方かもしれないけど、そもそもスペックからしてOH-6の全機更新なんて色々と現実味がないし、あり得る話じゃないかしら? あくまで個人的見解だから、本気にしないでね。

魔理沙:
 結果的に対戦車ヘリコプター隊専用装備となったわけだけど、データリンクなんて手段がなかったためAH-1Sとの行動では無線以外に連携手段がなく、その後、後継として採用されたAH-64Dとのデータリンク運用のために、「観測ヘリコプター用戦術支援システム」搭載の改良型が登場してるぜ。

霊夢:
 攻撃ヘリのアパッチ・ロングボウに関しては……何も言わないわ。

魔理沙:
 AH-64D採用を知った時は「遂に陸自も採用か」と思ったのが懐かしいぜ。

霊夢:
 調達数が僅か13機とか、どこかのブーメラン戦隊みたいな特殊部隊なのかしら?

魔理沙:
 あれの13機は配備数だぜ。スーパーシルフの生産数はもっと多かったはずだぜ。

霊夢:
 まあ、それは置いといて、OH-1の改良型への改修も頭打ちだろうし、本格的に攻撃ヘリへ転用可能かの研究が重要になるんじゃないかと思うわ。

魔理沙:
 明野駐屯地ではOH-1を使った次世代機のためのテストが今なお行われているらしいぜ。

霊夢:
 AH-1Sでは対戦車戦闘は大分厳しいだろうし、数のないAH-64Dでは運用能力が限られるから、後継を何とかしてほしいものね。

魔理沙:
 AH-64Dのブロック3とか無難だけど高価な機体に決定しそうな気がするぜ……。

 OH-6の置き換えを企図していたが、高価格すぎて34機しか調達できなかった「OH-1」。コメント欄では、「下手すりゃ戦闘機が買えるわ」「こればっかりは・・・防御品なんだから輸出しろよなあ。ホント日本の重工業損してるぜ。」といったコメントが寄せられました。また、「OH-6と比べてはいけない気がする」といった意見も……。

 陸上自衛隊初の国産観測ヘリコプター「OH-1」についての解説をノーカットで楽しみたい方はぜひ動画を視聴してみてください。

▼動画はこちらから視聴できます▼

『ゆっくり魔理沙の自衛隊装備講座 第七回』

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