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●日本で4回目の「Synology Tokyo」、秋葉原ベルサールで開催

10月18日、台湾のNASメーカー「Synology」のユーザーイベント、Synology Tokyo 2019が開催されました。企業向けの第一部と、個人ユーザー向けの第二部という構成です。ここでは第二部をレポートします。会社帰りでも立ち寄れる夜のイベントとあって、開場前はかなりの混雑でした。

会場には新製品も展示されていましたが、SynologyのNAS製品を使っている多くのユーザーは、「これでうちのNASが古い製品になってしまった」とはあまり感じません。なぜなら、SynologyのNAS製品はOSをアップデートすることで、最新の製品とあまり変わらない状態で利用できるからです。

DiskStation Manager(DSM)と呼ばれるNAS OSは、現在のバージョンが「6.2」ですが、今回のイベントで2019年春にバージョン「7.0(のβプログラム)」がリリースされると明らかになりました。

DSM7.0は、新しいログイン画面に代表されるように、見た目が大きく変わり、UIも統一されました。何らかの問題が発生したときのガイダンス表示が数多く用意され、エラーコードを見てインターネットで探したり、マニュアルをめくったりする必要がなくなります。

Synologyは2009年からモバイル向けのアプリもリリースしており、スマホからのNAS利用が簡単になりました。現在は15種類ものモバイルアプリがあるそうですが、今回は「DS Finder」というアプリを用意し、NASのセットアップがスマホだけで可能になりました。

SynologyのNAS製品は、多くがストレージを内蔵しない「NASキット」です。ユーザーは自分で好きなHDDを用意し、組み込んで利用します。HDDは長く使うとどうしても故障するものですが、過去のSynologyユーザーの故障履歴を学習したデータを使い、HDDが壊れる前に警告を出せる新機能が加わっています。現在、90%の確立で予測できるそうです。

ちなみに、HDDを3台以上格納できる上位製品は、1台のHDDが故障してもデータを保護しつつHDDを交換可能なRAID 5構成に対応します。故障したHDDを交換してRAIDを再構築する必要がありますが(通常は長い時間がかかります)、その時間が短く済むようになったのもうれしいポイントです。

○将来はWindows Cloud Filter対応に

DSM7.0にはまだ含まれていませんが、将来はWindows 10の標準機能であるWindows Cloud Filter対応になることがアナウンスされました。たとえば、OneDriveは標準で15GBしか使えませんが、SynologyのNAS製品において、OneDriveと同じような同期と必要なときだけデータをダウンロード(ストリーミング)して利用できるようになります。

●メッシュネットワーク対応のWi-Fiルーターにも新製品

昨年(2017年)発表されたものの、日本市場に投入されていなかったメッシュネットワーク対応Wi-Fiルーター「MR2200ac」が、日本の認証を取得して11月下旬に発売される予定です。

メッシュネットワークを簡単にいうと、複数のWi-Fi(無線LAN)アクセスポイントを使って広い通信エリアを構築します。PCやスマホなどの子機が通信エリア内のどこにいても、最適なアクセスポイントに接続し、最高の転送速度を得る仕組みです。

新モデルのMR2200acは、すでに日本市場で発売されいているメッシュネットワーク対応Wi-Fiルーター「RT2600ac」とも組み合わせることが可能。これらのルーターも、Synology Router Manager(SRM)と呼ばれるOSを採用しており、10月には最新版のSRM1.2によって機能が大幅に向上しました。

NAS製品ではソフトウェアに強みを持つSynologyですが、ルーターも同様。設定が難しいVPNも比較的容易に構成できるだけでなく、2017年に公となったWPA/WPA2の脆弱性「KRACKs」にも、すばやく24時間で対応しました。また、SRM1.2では、先日策定されたWi-Fiセキュリティ機能「WPA3」にいち早く対応しています。

SRM1.2はアクセス制御機能も強化されており、従来は端末ごとだった設定が、プロファイルを使ったユーザー設定に変更されています。これによって「パパやママは夜中でもWi-Fiでインターネットにつながるけど、子どもは22時以降はWi-Fi利用不可」のような設定が可能です。

そのほか、オンライン状態の時間をGUIで確認できるため、「今月はネットを使いすぎ!」という目安にも応用できます。子どもを持つ家庭では、役立つ機能ではないでしょうか。

Synologyのルーターは値段がやや高いのですが(RT2600acで25,000円程度、MR2200acは20,000円程度の見込み)、豊富な機能や堅実なソフトウェアアップデートを考えると、安心して使えます。Wi-Fiルーターを選ぶとき、選択肢に入れておくとよいでしょう。