予選落ちの悔しさに涙したイ・ボミ 2日目にはカットラインを巡るドラマがあった(撮影:鈴木祥)

写真拡大

<NOBUTA GROUP マスターズGCレディース 3日目◇20日◇マスターズゴルフ倶楽部・兵庫県(6,528ヤード・パー72)>
2日目も終盤を迎えたあたりで、クラブハウス、そして報道陣もざわついていた。そのざわつきの理由は『カットライン』にあった。「カットラインまで一打及ばずに…」という文言は、ゴルフ報道でよく目にするもの。プロトーナメントでは毎試合、一打が“天国”と“地獄”を分けている。それだけに、予選カットが行われる日の全体ホールアウト前後には、ボーダー上にいる選手や関係者らが、パソコンやスマートフォンとにらめっこし、自らの“当落”をチェックするのはよく見る光景だ。

しかし、そんな“日常”が、今回の「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」では際立って見えた。それだけに、いつもとは違うざわつきが、クラブ全体を包んでいたのだ。その中心にいたのが、ホステスプロのイ・ボミ(韓国)と、日本最終戦の可能性が高いアン・シネ(韓国)だった。ボミは今大会予選落ちなし、シネは予選落ちとなれば見納めとなる可能性もある。話題の選手2人が、カットライン上で右往左往していたため、現場ではその行方が大きな関心ごとになった。
今大会で予選を突破できるのは50人(タイまで)。最終組の4つ前のシネらがホールアウトした時点で、トータル1アンダーは51位タイ。シネをはじめ、プレー中だったホステスプロのボミらが、このままでは予選通過できない状態だった。
しかし2アンダーでラウンド中だった新垣比菜が、18番でボギーを叩き、状況は大きく変わる。これで1アンダー勢が50位タイとなり週末にプレーできる位置まで上がってきたのだ。クラブハウスの各所で情報を聞きつけた1アンダー勢の陣営が、ここで胸をなで下ろした。
だが、喜びもつかの間。1アンダーの小祝さくらがこの日3番目の難易度を誇った17番パー3でバーディを奪取。2アンダーとなり、再び1アンダー勢は51位タイに。そのままホールアウトを迎え、トータル2アンダー以上の50人が週末のプレーへと駒を進めた。
明暗を握っていた小祝は、17番での状況を振り返り「ボードとかを見たりしていて、2アンダーにしなければ予選通過はできないと思っていました」という。
「17番で1アンダーは51位タイだったので、バーディを獲りにいきました。難しいピンでしたが、残り2ホールでバーディを獲りにいかないと予選は通らないと思っていたので。本当は安全なところに逃げる予定だった。でも、そんなこと言っていられなかった。だから、ピンまで届くクラブを持った」(小祝)
結果、ピン1mにピタリ。「奥のギャラリーさんが“入った”って言っていたから、入ったと思って、みんなでハイタッチしていた(笑)」というほどの会心の当たりでバーディを奪取。「狙ってボギーになったらしょうがないと思っていましたが、まさか獲れるとは。狙った甲斐がありました」と意地を見せた。
ホールアウト後に、このバーディで1アンダーの選手達が予選落ちとなったことを聞いた小祝。「まさか自分がバーディを獲らなくても、(私を含めた)1アンダーの人が通ると思っていなかったので、申し訳ないなという気持ちもあります」と話すが、小祝がティショットを打った時点では、まだ新垣はボギーを打っていなかった。そもそも勝負の世界なのだ。申し訳ないと思う必要は全くない。
一方でシネは、予選を突破するかどうかでコメントの内容が大きく変わるため、最終組がホールアウトするまで取材は待機となり、アテストエリア付近で立っていた。予選落ちが分かると取材に応じ、クラブハウスを後にした。またボミは小祝と同じ最終組だったため、アテスト後テレビ局のインタビューへと向かい、そしてその途中に涙が頬を伝った。初めて喫した今大会での予選落ちの悔しさがどれほどだったかが、痛いほど伝わってきた。
人数がちょうどカットライン上となったため、選手以外の関係者や報道陣も手に汗握るかたちとなった第2ラウンド。アマチュアの安田祐香のプロトーナメントでの連続予選通過記録更新がかかっていたことで、何かと“予選通過”という言葉が取り沙汰されたこともあり、優勝争いの最中とは違う、別の緊張感がクラブハウスに充満していた。(文・秋田義和)
<ゴルフ情報ALBA.Net>

■「NOBUTA GROUP マスターズGCレディース」3日目成績
■ホステスプロのイ・ボミは大会初の予選落ち 目に涙を浮かべ「残念です…」
■これで見納め?アン・シネ これまでのセクシーウェアを一挙振り返り
■石川遼が優勝争いに名乗り!「ブリヂストンオープン」3日目成績
■松山英樹猛チャージ!米国男子「ザ・CJカップ at ナイン・ブリッジス」3日目成績