『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』公開延期、2019年へ。「想定以上に制作に時間」
映画『この世界の (さらにいくつもの) 片隅に』が公開延期を告知しました。

当初の2018年末予定から、変更後は「2019年中の公開に向けてスタッフ一同、鋭意制作中」へ。

制作委員会によると、延期の理由は「当初の想定以上に制作に時間を要しており、本編完成までには数か月単位での期間が必要になることが判明」したため、「製作委員会としては、良質な作品をお届けすることでお客様のご期待に応えたいという考えから、公開時期の延期を決断するに至りました」。

映画『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』は、2016年に公開された片渕須直監督の『この世界の片隅に』をもとに、約30分の新規シーンを追加した新作。

こうの史代の同名漫画をもとにした映画『この世界の片隅に』は、原作に惚れ込んだ片渕監督が映画化を望んだものの様々な理由......まあ簡単にいえば収益性への疑問から資金調達が難航し頓挫しかけたところ、クラウドファンディングを通じて有志が提供した約4000万円でパイロット版の制作にこぎ着け、説得材料にすることでスポンサーを集め映画化できたという経緯も話題になりました。

結果は初日から日が経つごとに観客が増え上映規模も拡大し、 初週動員数10位だったのが4週目に4位に浮上するという異例のパターンでヒット。累計観客動員数200万人以上、興行収入は国内だけで27億円を超える大成功となったのは記憶に新しいところです。

恐ろしいことに、とうにパッケージソフト化されたどころかNetflixで見られる現在も、映画館での上映が約2年にわたり継続中でもあります。


とはいえ公開前には全く予測できなかったため、公開された『この世界の片隅に』は当初約150分だった構想から、制作資金の制約でエピソードを省き、約120分に再構成したバージョンでした。

公開が延期された新作「さらにいくつもの」は、この当初構想に近い、「長尺版」と言われてきたバージョン。しかしエピソードの再構成、具体的には出番が大幅にカットされた主要登場人物の復活によりテーマ性自体もやや変化するため、完全版やロングバージョンではなく、別のタイトルを持ったもうひとつの映画として制作中でした。

長尺版は『この世界の (さらにいくつもの) 片隅に』。もう一本の『この世界の片隅に』12月公開 (2018年7月)

長尺版の構想や絵コンテは以前から存在したものの、映画が大ヒットしたことから監督は世界中の舞台挨拶や授賞イベントを回る激務を続けており、夏に「年末には公開します!」と正式発表された際には「早い??」「いつ作ってたんだ??」と驚く反応もありました。



片渕監督が04、5に続き脚本を担当する空戦ゲーム ACE COMBAT 7 SKIES UNKNOWN は PS4 / Xbox One で2019年1月発売です。PC (Steam)は2月1日。