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もくじ

ー 複数のEVを検討中
ー ディーゼルエンジンを廃止
ー 新たなEVプラットフォームを開発
ー 911のEV化には問題も

複数のEVを検討中

ポルシェはバッテリー式EVのSUVに加え、ボクスターやケイマン相当の電動スポーツカー、さらにタイカン・タルガを2022年までに投入する方針を示した。

ポルシェのファイナンスディレクター、ルッツ・メシュケは先週ドイツで行われたイベントにおいて、バッテリーSUVとスポーツカーの計画を明かした。「おそくとも2022年までにはSUV BEVをお目にかけることができるでしょう」とだけ語った。

さらにメシュケは「ボクスターやケイマンは電動化に適していると考えています」とも付け加えた。フォルクスワーゲングループの前CEO、マッティアス・ミュラーは2023年までに全ブランド全車種に電動仕様を設定するとしており、ポルシェも例外ではない。

メシュケはこのモデルについて、「大型SUV」と説明しており、カイエンと同等サイズと考えられる。しかし、カイエンは登場からわずか1年であり、2025年ごろまでは交代しないだろう。テスラ・モデルXのライバルとなるはずだ。

電動SUV市場に素早く食い込むため、ポルシェは2021年ごろモデルチェンジするマカンの代替に設定する可能性もある。しかし、現時点で考えられるのはアウディEトロンの改良版、カイエンの改良版、さらに全く新しいSUVの3パターンだ。

ディーゼルエンジンを廃止

ポルシェはディーゼルゲート問題以降BEV開発に力を注いでおり、4年にわたって開発を行ってきたタイカンは2019年後半に発売される予定だ。

今月、ポルシェはラインナップからディーゼルを廃止することを発表した。これに最も影響を受けるのは、ディーゼルエンジン搭載車の割合が高いマカンだろう。

ポルシェはアウディとともにPPEと呼ばれる新開発の完全電動プラットフォームの開発を進めている。PPEは新開発というものの、タイカンに使われるJ1プラットフォームで得たノウハウを使用している。

メシュケは「タイカンの派生モデルが既に公開されています」と語っており、今年ジュネーブで公開されたクロス・ツーリスモ・コンセプトが市販化される可能性が高い。

さらに、タイカンを生産するツッフェンハウゼン工場ではそのタルガバージョンを準備中という情報が入っている。その詳細は不明だが、タイカン・タルガはリアハッチに大きな開口部が設けられているようだ。

新たなEVプラットフォームを開発

またJ1プラットフォームはショートホイールベースの2ドアにも対応しており、コンパクトスポーツカーにも使用可能だ。ただし、この場合バッテリーのサイズを小さくせざるを得ないため、航続距離やパフォーマンスに影響するかもしれない。

タイカン以降の電動車を準備するため、PPEアーキテクチャはタイカンと並行して開発が進められている。2022年ごろまでにはSUVに使用して市販化するようだ。

PPEプラットフォームが複数のパワートレイン配置やバルクヘッドの高さに対応しているかは不明だ。ポルシェは7年前にボクスターEのプロトタイプを製作している。これはテスラ・ロードスターのライバルとも目されるモデルだ。

ボクスターEはフォルクスワーゲンのゴルフ・ブルーeモーション譲りのコンポーネンツを使用し、123psのモーターで走行するクルマだ。本来エンジンがあった場所に340セルのリチウムイオンバッテリーが搭載されていた。

911のEV化には問題も

ポルシェはボクスターEから得たノウハウを元に、バッテリーによる動力性能とハンドリングへの影響を研究してきた。あるひとは昨年AUTOCARの取材に対し、「完全な電動化は縦方向の加速性能には貢献するでしょう。しかし、問題はハンドリングです」と語った。911をEV化するかどうかは議論の的となりそうだ。

メシュケは今年中に発売される次期型911(992型)にハイブリッド版が設定されることを明かした。911ハイブリッドは2022年までに投入されるようだ。

以前ポルシェのエンジニアらは、バッテリーEVでは911らしいハンドリングと2プラス2の実用性を両立できないと語っていた。

昨年、あるエンジニアは次世代型の小型軽量な固体バッテリーの開発により、911のEV仕様が現実味を帯びてきたと話した。しかし、その実用化には10年程度かかると見られている。