塩害で季節外れの”桜” 全国で350件、開花相次ぐ

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塩害で季節外れの”桜”全国で350件、開花相次ぐ

2018/10/16 15:23 ウェザーニュース

10月9日頃から、ウェザーニュースに「春に咲くはずの桜(ソメイヨシノ)が今頃咲いている」という目撃情報が届き始めました。上の写真は、実際に届いた宮崎県延岡市のソメイヨシノで、ほとんど葉が落ちた枝に数輪咲いている様子が分かります。そこで、ウェザーニュースでは、周辺のソメイヨシノが咲いているかについての緊急調査を実施しました。(10月12日(金)〜14日(日)に実施、全国10,490人が回答)

その結果、ソメイヨシノが「咲いている」という報告は354件あり、九州から北海道の広いエリア分布していることが判明。中でも、関東南部・東海・近畿エリアを中心に「咲いている」報告が目立っており、また沿岸地域に限らず内陸エリアでも咲いているところがあるようです。そこで、日本花の会樹木医和田博幸さんに取材してみると、各地のソメイヨシノが秋に開花したのは、台風24号などによる「塩害」が大きく関係しているというのです。

塩害や強風による落葉が原因

春に咲く桜は本来、桜の花芽は通常7〜8月に作られます。この時期は気温も高いので花芽は咲いてもいいのですが、咲くことができません。それは花芽の付け根についている葉から、植物ホルモンであるアブシシン酸が花芽に送り込まれていて、動き出すのを止めていると言われています。アブシシン酸は植物ホルモンの一種で、植物の成長を抑制する機能があります。葉が着いているうちは葉から送り込まれるアブシシン酸によって気温が高くても咲くことができません。(日本花の会樹木医 和田博幸さん)

ところが、今年は台風21号や24号による強風や塩害で葉が落ちてしまったため、花芽を止めていたアブシシン酸が送り込まれなくなってしまいました。その後も、20℃を超える高い気温の日があったため、咲き出してしまったのではないかと思われます。(日本花の会樹木医 和田博幸さん)

来春の桜はどうなる?

来春の開花についての影響についても、和田さんに伺いました。「この秋に花が咲いた分、花の数は少なくなりますが、その絶対量は0に近い数なので、見た目には分からないでしょう。それよりも大枝が折れたり、根元から倒れたりしたものも目につくほどありますので、その方が花見景観に影響があると思います。また、大枝が折れたものは、折れた枝を適切な位置で切りもどさないと、折れたところから腐朽し始めます。これはサクラの樹勢衰退につながり、数年後には酷い状態になることも考えられます。大枝が折れたサクラは、きちんとケアしてあげることが大切です。うまくケアしてあげられれば、元気になることも可能です。」(日本花の会樹木医 和田博幸さん)台風21号、24号の爪痕は、こんなところにまで深く残されていたんですね。