「スパイダーマン」といえばアメコミヒーローの人気キャラクターとして有名ですが、1978年から1979年にかけ、日本で特撮テレビドラマとして放送されていたという過去があります。これはアメコミの人気ヒーローであるスパイダーマンを主役に据え、正式な契約の元で作られた特撮ドラマですが、内容は原作コミックの映像化ではなく、東映が独自に創作した脚本で、原作には登場しない巨大ロボやスーパーマシンが登場するというものでした。この東映版スパイダーマンに登場する巨大ロボ「レオパルドン」について、原作コミックを出版するマーベルがムービーで紹介しています。

The giant robots of the 1970’s Japanese TV Spider-Man | Earth’s Mightiest Show Bonus - YouTube

「70年代の日本のテレビ番組に登場した、空を飛んで戦うロボットを知ってるかい?」と、スパイダーマンをモチーフにしたスーツに身を包む番組司会のラングストン・ベルトン氏。「40年前、私たちの大好きなクモの戦士が主人公の番組が日本の放送電波に乗ったのよね」とハートのスパイダーマンが描かれたシャツを着るロレーン・シンク氏が答え、ベルトン氏が「東映版スパイダーマンから、信じられないロボを紹介するので覚悟してくれ!」とあおります。



東映版のスパイダーマンは、原作のスパイダーマンとほぼ同じ姿です。原作では「研究所でクモにかまれた少年のピーター・パーカーが特殊能力を得て、平和を守るために活躍する」という設定でしたが、東映版は「二輪レーサーの山城拓也が宇宙からやってきたスパイダー星人にクモの力を与えられ、父を殺した鉄十字団と戦う」という設定になっています。



手首につけたブレスレットは、クモ糸発射装置になるほか、宇宙戦艦マーベラーを呼び出すことも可能。巨大化した敵を前に「マーベラー!」とスパイダーマンが叫びます。



轟音と共に大地が割れ……



地底に眠っていたマーベラーが、渡辺宙明氏によるBGMをバックに発進します。全長48メートル・重量2万5000トンという超巨大宇宙戦艦のマーベラーは大気圏内をマッハ15で飛ぶことができ、宇宙空間であれば光速に近いスピードで飛行可能というモンスターマシンです。



マーベラーが到着するまで敵が黙っているわけがありません。巨大化した敵は地上にいるスパイダーマンを攻撃します。



原作さながらの身のこなしで、敵の攻撃を回避するスパイダーマン。



そこへやってくるのがスパイダーマシンGP-7。最高時速500キロメートル、空中ではマッハ5のスピードで飛ぶことができ、ボンネットには武器も内蔵しているスーパーマシンです。もちろん、スパイダーマシンGP-7は東映版オリジナルの乗り物で、原作コミックには登場しません。



スパイダーマンが乗ったスパイダーマシンGP-7が向かう先は、上空を飛ぶ宇宙戦艦マーベラー。



スパイダーマシンGP-7は後部からそのままマーベラーの艦橋にドッキング。



マーベラーのコックピットに着席したスパイダーマンが「マーベラー!チェンジ!レオパルドン!」と叫ぶと……



マーベラーが巨大ロボに変型します。



腕が伸び……



足が伸び……



巨大ロボ「レオパルドン」となって地面に着地します。



激しい爆炎に包まれながらも、勇壮に歩き出すレオパルドン



「アームロケット!」



レオパルドンの腕から拳が発射され……





敵にヒット。しかしあまりダメージは与えられなかった様子。



敵に当たった拳はちゃんと腕に戻ってきました。



「負けて……たまるか!」と叫ぶスパイダーマン。原作では軽口を叩きながら敵と戦うこともあるスパイダーマンですが、東映版では熱血で真面目なスパイダーマンになっています。



敵に足を拘束されて身動きがとれなくなったレオパルドン。



「アークターン!」



レオパルドンの額の飾りがまぶしく輝き……



ブーメランのように飛んでいって敵を攻撃します。



「レオパルドン!ソードビッカー!」



レオパルドンは右足から立派な剣を引き抜いて構えます。



敵に向かって……



剣で切りつけるのではなく、剣を振りかぶって投げます。



ものすごい速度で敵にすっ飛んでいく剣。



見事、剣は敵の胸元にぶっ刺さり……



大爆発。



「レオパルドンはちょっと昔のスパイダーマンのロボットだけど、ダン・スロットの『スパイダーバース』というマーベルコミックにもちょっと出演しているの」とシンク氏が紹介。「もし巨大な敵と戦うことがあれば、きっとスパイダーマン専用の巨大ロボが必要になると思うよ」とベルトン氏がコメントしてムービーは終わります。



戦隊物の特撮ドラマでは、巨大ロボが登場して戦うのがお約束となっていますが、東映版「スパイダーマン」のレオパルドンはその火付け役の1つであり、日本の特撮史においても重要な存在といえます。日本で独自の展開を遂げた東映版「スパイダーマン」はこれまで契約・権利の問題から公式には積極的に言及されていませんでしたが、2018年で放映開始40周年を迎え、それを記念してマーベルでも大々的に取り扱っている様子。

なお、レオパルドンが本家コミックの「スパイダーバース」に逆輸入されて登場した時は、アメコミファンの間でも大きな話題となりました。