やっぱり人間関係! 職場で感じやすいストレスと対処法

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社会人になってから、職場でストレスにさらされているという女性は珍しくありません。気持ちよく働きながら最大限のパフォーマンスを発揮したいものですが、ストレスのせいでままならないということも。そこで、社会保険労務士の脊尾大雅さんに、職場でストレスを感じている女性へのアドバイスをもらいました。

■職場で感じやすいストレス5つ

まずは、職場でのストレスの原因について、主なものを5つご説明します(参考:厚生労働省「労働安全衛生調査」)。今職場でストレスを感じている人はもちろん、そうでない人も、原因を知ることによってストレスを自覚したり、対処したりすることができるでしょう。

◇仕事量

まず挙げられるのが仕事量。会社、あるいは部門ごとによって大きな差があるのが実態です。休憩時間がなかったり、プライベートがなくなってしまったりすることへの不満が蓄積されるのはもちろん、オーバーワークによる体調不良の原因にもなりかねません。

◇仕事の失敗

仕事でミスをすることは誰にでも起こりえること。ですがこの仕事の失敗を引きずってしまい、ストレスにつながっているケースもあるのです。また、同じ失敗を繰り返すのではという恐怖がストレスになることもあるかもしれません。

◇責任の発生

自分が責任をとらなければならない仕事を与えられてしまい、負担になっている場合もありえます。また、実際に責任をとらなければならない状態におちいってしまい、過度のストレスとなっていることもあるでしょう。

◇対人関係

職場内の特定の人間とうまくいかないケースも。また単にうまくいかないだけでなく、同僚のいるところで叱責されたり、実際に暴言をあびせられたりする、いわゆる「パワハラ」も、対人関係によるストレスの大きな要因のひとつです。バカ、トロイ……こんな言葉が日常的になっていることも。また、性的な内容の発言や不快なボディタッチなどの行動、すなわち「セクハラ」も対人関係のストレス要因として挙げられます。いうまでもなく、このようなパワハラやセクハラは、被害者にとってはうつ病にも追い込まれかねないストレスになります。

◇役割・地位の変化

昇進・昇格、あるいは異動などによって、役割・地位が変化してストレスになってしまうこともあるでしょう。これまでになかったプレッシャーに押しつぶされてしまったり、新人の指導が重荷になったりもするかもしれません。

■職場でストレスを感じ続けることによる変化

過度なストレスを感じ続けることによって、イライラや疲れが増したり、集中力が低下したりなどの心や体の変化があらわれるだけでなく、普段の生活習慣にも悪影響を及ぼす場合があります。以下に述べる生活習慣の変化が見受けられる場合は、要注意です。

◇お酒の量が増える

これまでに比べてお酒の量が増えた、飲むスピードが早くなっている、飲む頻度が増えているという場合、ストレスが原因であることも。意外と気づきづらいかもしれませんが、お酒を飲む人は日々の自分を意識してみるとよいかもしれません。量だけではなく、飲むペースが早い、飲む頻度が増えたなどもストレスの可能性があります。この状態が続くといわゆる依存の状態になってしまうため、早めの対処が必要です。

◇睡眠トラブル

なかなか寝つけない、何度も目が覚めてしまうといった睡眠トラブルが見られるようになった場合、ストレスが原因となっていることもあります。睡眠への影響は病気ではなくても起きやすいものなのです。睡眠トラブルによって遅刻が増えたり、ともすれば出勤そのものが困難になったりすることも珍しくありません。勤怠問題は労務管理上も重要テーマですから、会社でも問題となることがあります。ここまで来るとストレスの状態がかなり強くなっており、もっと具体的な対処が必要かもしれません。

■職場でストレスを感じたときの対処法

さきほど述べたように、ストレスが高まった場合のサインが出たら早めに対処をする必要があります。しかし、そのタイミングで対処する場合には遅いともいえます。「ストレスが高まった」ときからではなく、「ストレスを感じることが増えたと思った」ときに対処することが理想です。

では具体的にはどのように対処すればよいでしょうか。重要なのは、職場以外の時間を充実させることです。

◇週末に自分をリセットする

ストレスからの回復について書いた論文(Fritz Sonnentag,2005)によると、週末の社会活動が週明けのポテンシャルに影響し、健康増進やパフォーマンスの向上につながることが挙げられています。それには次の3つの理由があります。「仕事以外の活動にかかわることで仕事のストレス要因から離れられる」、「職場の人間関係に対して感情をコントロールする努力が少なくてすむ」、「周囲からのさまざまな援助が得られる機会となる」の3つです。これらの効果が得られるのは、社会活動に限ったことではありません。家族や友人との時間、または趣味の時間なども、ストレスの解消につながるといえるでしょう。仕事のない週末に自分自身をリセットするということが重要なのです。

◇スピルオーバー(流出効果)

スピルオーバーとは、一方の役割での状況・経験などが、他方の役割での状況・経験に影響するというもの。悪いものが影響することもありますが、当然ながらよいことも影響します。仕事がうまくいっていると私生活にもよい影響を与えることや、逆に私生活で母親として身につけた能力が仕事で活かせているといったことが、スピルオーバーの事例といえます。そのためスピルオーバーを意識するのなら、プライベートの時間をいかに充実させるかということが、職場でのストレスの予防につながるといえるのではないでしょうか。

■ストレスを受けて立ち上がれなくなる前に対策を

ストレスによってアルコールに依存してしまったり、睡眠障害で身体を壊してしまったりする前に対策をしましょう。働けなくなってしまったら収入を得ることができないのはいうまでもありませんが、自分自身がボロボロになってから治療をはじめたのでは、元通りになって社会に復帰するのにも時間がかかります。ちょっと気持ちが滅入ってきているかも……と思った時点でストレスを解消するよう意識したり、カウンセリングを受けたりできるといいですね。もし、はっきりとした症状があるのならすぐにでも対策をしてください。社会で輝くために、私たちはストレスを我慢するのではなく、対処しなければならないのです。

(文:脊尾大雅、構成:藤奈子)

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